

最近、補機バッテリーの充電制御について調べているうちに、気になっていた公開特許の原文へたどり着くことができた。
これまでも検索すると特許番号までは見つかる。しかし原文にはなかなかたどり着けない。
ようやく原文を読むことができた。内容はかなり難しく、現在の車両へ採用されているかどうかも分からない。
このブログは特許の解説ではなく、考察の材料として読んでみた感想である。
補機バッテリーで一時的な放電を観測したことがある。
私にとっては気になる現象だったが、車両側では特に異常として扱われていなかった。
この件については以前、整備手帳「補機バッテリー番外編② BT-7200APPで気になる電流変化~測定の信頼性確認~」でも考察している。
https://minkara.carview.co.jp/userid/3842986/car/3906313/8813401/note.aspx
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このような挙動があらかじめ想定された過渡現象であれば、設計段階から考慮されていた可能性があります。その場合、一時的な電流変化や電圧変動によって不要な異常判定を行わないようなロジックが組み込まれていると考える方が自然です。放電に関するログが確認されていないことも、そのような考え方と矛盾しません。
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と書いた。その時点では私の仮説に過ぎなかった。
今回特許を読んでいて興味深かったのは、異常を検出することだけでなく、誤判定を避けるという考え方である。
もちろん、私が観測した現象との関係は分からない。
「放電したのに異常扱いされなかったのはなぜだろう」
という以前からの疑問と、特許に出てくる考え方の方向性が少し似ているように感じた。
メーカーも同じようなことを考えていたのかもしれない。
今回の収穫は、答えを見つけたことではない。
面白そうな入口を見つけたことだった。
DC-DCコンバータ関連と思われる特許も見つかっている。
まだ読めていないが、どんな考え方が出てくるのか少し楽しみである。
バッテリー上がりについて調べていると、「夏はエアコンを使うのでバッテリーが上がりやすい」というイメージを見かけることがある。
補機バッテリーの調査を続ける中で、最近は「バッテリーそのもの」よりも、「バッテリーモニターが何を表示しているのか」の方が気になってきた。
現在使用しているモニターは、
ABESHOKAI バッテリーライブモニター BLM1
BTMETER BT-7200APP(主に電流測定用)
である。
みんカラなどを見ると、バッテリーモニターのSOC(State of
Charge:充電率)を見ながら補機バッテリーの状態を評価している例をよく見かける。
一般的には、バッテリーにどの程度の電気が残っているかを表す指標とされている。
しかし、ふと疑問に思った。
バッテリーモニターのSOCは、実際には何を表しているのだろうか。
BLM1の「充電状態」を調べてみた
BLM1にはSOCではなく「充電状態」という表示がある。
実際の表示値と電圧を多数採取して散布図を作成してみたところ、
充電状態(%)
≒ 168.6 × (V − 12.016)
という近似式が得られた。
もちろんメーカーが公表している計算式ではなく、実際の表示値から求めた近似式である。
完全一致ではないが、かなり強い相関があり、「充電状態」は電圧から換算された値である可能性が高そうだ。
電圧だけでは正確なSOCは求められない。
そのためBLM1では、SOCではなく「充電状態」という表現を採用しているのかもしれない。
ただし、これは表示値から推定した結果であり、メーカー仕様を確認したものではない。
BM200/BM6のSOCは何を表しているのか
では、BM200やBM6に表示されるSOCはどうだろうか。
SOCを高精度に推定するには、本来であれば充放電電流や温度、過去の使用履歴など様々な情報が必要になると考えられる。
しかし、これらのバッテリーモニターは基本的に電圧端子と温度情報程度しか取得できない。
今回の考察では、私自身がBM200やBM6を所有して測定したわけではなく、公開されているレビュー記事やグラフ画像を参考にしている。
そのため、以下は公開情報から読み取れる範囲での考察である。
掲載されているグラフ画像を見ると、SOCは比較的ゆっくり変化しており、電圧の細かな変動をそのまま追っているようには見えなかった。
何らかの平滑化処理や履歴補正が行われている可能性はあるが、実機による検証ではないため断定はできない。
少なくとも表示されるSOCは、単なる電圧表示ではなく、何らかの推定値である可能性が高そうだ。
プリウスのSOCはどうだろうか
ここでさらに気になることがある。
プリウスの補機バッテリーには電流センサーが搭載されている。
車両側は、
電圧
電流
温度
使用履歴
READY状態
車両状態
などを把握していると考えられる。
情報量だけを見れば、一般的なバッテリーモニターよりも有利な立場にあると言えそうだ。
そのため、車両ECUが推定するSOCの方が実際の状態に近いのではないか、という考え方もできる。
ECUにも見えない時間があるかもしれない
ただし、ここで一つ気になることがある。
プリウスを駐車すると、多くのECUは一定時間後にスリープ状態へ移行する。
一方で補機バッテリーからは暗電流が消費され続けている。
もしECUがスリープ中に電流積算を行っていないのであれば、
車両が推定するSOCは実際の補機バッテリー状態の間に差が生じる可能性も考えられる。
もちろん実際の制御方法は分からない。
そのため、これは現時点では単なる疑問であり仮説である。
逆にバッテリーモニターが有利な部分もある
一方で、バッテリーモニターや電流ロガーは24時間連続で測定を続けることができる。
そのため、
駐車中の放電量
長期間の電流収支
暗電流による変化
などは、むしろこちらの方が把握しやすいかもしれない。
ECUにはECUの強み、バッテリーモニターにはバッテリーモニターの強みがあるように思える。
SOCは誰のSOCなのか
ここで最初の疑問に戻る。
車両ECUが把握している状態、BM200やBM6が表示するSOC、BLM1が表示する充電状態、実際に取り出せる残容量
これらは本当に同じものなのだろうか。
私は必ずしもそうではないように感じている。
私自身、60系プリウスで補機バッテリー上がりを経験した。
前車とほぼ同じ使い方をしていたにもかかわらず、納車から約1年で発生した。
もちろん、その原因をSOC表示だけで説明できるとは思っていない。
しかし今回調べていく中で、「SOC」という同じ言葉が使われていても、それぞれが表しているものは必ずしも同じではないのではないかと感じるようになった。
データを見るときは結果より定義を見る
今回調べていて感じたのは、データを見るときは結果より定義を見ることの重要性である。
SOCが80%と表示されていても、どのような情報から求められたのか、何を表しているのか、どのような前提で計算されたのか、が分からなければ、本当の意味で比較することはできない。
同じSOCという言葉であっても、その定義が異なれば比較している対象そのものが違う可能性がある。
まとめ
今回調べてみて感じたのは、「SOC」という表示名だけを見ても、その中身は機器によって異なる可能性があるということである。
BLM1の「充電状態」は電圧との相関が非常に強かった。
一方でBM200やBM6のSOCは、履歴や温度などを考慮した推定値である可能性がある。さらに車両ECUは、それらとは異なる情報を利用している可能性がある。
SOCは一つではない。
同じ名前で呼ばれていても、その中身は必ずしも同じではないのかもしれない。
何を見たいのかを決め、その目的に合った指標を選ぶことが大切なのだと思う。
BT-7200APPを導入してから、補機バッテリーの長時間観測についてあれこれ考えています。
BT-7200で電流データを取得できるようになったので、最初はグラフ化してみようと思った。グラフ作成はAIに丸投げすれば何とかなるだろうと思ったのだが、思うようにいかない。結局、自分でグラフを作ることになった。
苦労してグラフを作ったのだが、出来上がったグラフを見て最初に思ったのは、「これを見て何が分かるんだろう?」だった。
確かに電流は変化しているし、車の動きに合わせてそれらしい変化も見えている。しかし、補機バッテリーの長期的な状態を知りたいのであれば、電流の波形を眺めていてもあまり意味がないような気がしてきた。
むしろ知りたいのは、
■駐車中にどれだけ電気を使ったのか
■走行中にどれだけ補充されたのか
■日々の収支はどうなっているのか
である。
そう考えているうちに、グラフを見るよりも電流を積算した方が面白いのではないかと思うようになった。電流値を全部足し合わせるだけなので、グラフを作るより手間も少なくて済みそうだ。
まだ実際に測定していないのでどうなるか分からない。長時間測定になるとクランプメータの電池切れという問題もある。
苦労してグラフを作った結果、知りたかったのはグラフではなかったことに気付いた。
せっかく作ったので、タイトル画像には使っておこう。
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