ステップワゴンのスマホ置き場を考える④
~耐熱性への挑戦・完結編~
【最後の課題は耐熱性】
前回、ようやく完成したスマホスタンドと小物トレー。
見た目も使い勝手もいい感じ!
ところが、ここで気になることが一つ。
これ、真夏の車内温度に耐えられるのか?
一般的に真夏の車内はかなりの高温になります。
JAFの実験では、外気温35℃の炎天下で、
・車内温度:最高57℃
・ダッシュボード表面:最高79℃
まで上昇したそうです。
一方、手持ちの3Dプリンター用フィラメントはPLAとPETG。
代表的な熱変形温度を調べてみると……
材料 熱変形温度の目安
一般的なPLA 約50~60℃
PETG-Matte 約71℃
PLAはちょっと厳しそう。
PETGなら多少余裕がありますが、スマホの重量を支え続けることを考えると、もう少し耐熱性が欲しいところです。
【新しい材料に挑戦】
そこで見つけたのが、PolymakerのHT-PLA-GF。
ガラス繊維を配合したPLAで、アニール(熱処理)によって耐熱性を大きく向上できるそうです。
HT-PLA-GF(未処理) | 約76℃
HT-PLA-GF(アニール後) | 約115℃

これは試してみたい!
ということで、フィラメントをポチ
さらに、アニール用にコンベクションオーブンもポチ(笑)
【耐熱性は上がるけど…】
早速アニールに挑戦。
ところが、熱処理後の部品に荷重をかけると、積層部分に割れが発生。
アニールによって硬さが増した一方で、靭性が低下し、局所的な荷重に耐えられなくなったようです。
**熱には強くなったけど、今度は割れやすい!**
なかなか思いどおりにはいきませんね(笑)
【印刷条件と形状を見直す】
そこで、私の3Dプリンタのスペック制約でここまでが材料選択の限界です🫤
どうするか、、、
大変なのはわかっているものの造形条件と形状を見直しするしかない😭
いきなり結論です。効果があったものをまとめました。
・壁の積層を厚くする
・底面、トップ面の積層を厚くする
・境界部分を補強する
・局所的に荷重を受ける部分を厚くする
・角部にRを設け、応力集中を緩和する
単純に全体を分厚くするのではなく、必要な場所に必要な強度を持たせる考え方です。
これらを見直すことで、アニール後に発生していた割れの問題を解決できました!
【寸法変化への対応】
もう一つ気になっていたのが、熱処理による寸法変化です。
ガラス繊維配合のおかげか、寸法変化は比較的小さく収まっていました。
それでも実際に測ってみると、X方向に約0.1mm小さくなる傾向があることが分かりました。
わずか0.1mmですが、組み合わせる部品では無視できません。
そこで、縮みを見込んで設計寸法を修正。
ようやく納得できる仕上がりになりました。
【そして完成!】
最終的には、HT-PLA-GFをアニールした仕様を採用しました。
材料の選定から印刷条件、形状、寸法まで見直すことになりましたが、ひとまず狙いどおりのものが完成!
もちろん、真夏の車内での長期耐久性はまだ確認できていません。
ここは実際に使いながら検証していこうと思います。
【最後に】
振り返ってみると、前の車で使っていたスマホホルダーを流用したかっただけなのに……
固定方法を考え、小物トレーを追加し、形状を何度も変更。
最後は材料を変えて、オーブンまで買うことに(笑)
とはいえ、ちょうどフィラメントドライヤーも欲しかったところなので、これはこれでよかったのかもしれません。と自分に言い聞かせて。
そして何より……
このオーブンはビーフジャーキーまで自作できる!
つまみ食いと家族の争奪戦で写真撮れず🤣
食品調理と樹脂の熱処理では、安全面からオーブンの使い分けも考える必要がありますが(笑)
ずいぶん遠回りしましたが、モノづくりの楽しさを満喫できました。
これにて、スマホ置き場づくりはひとまず完結!
また何か問題が見つかったら、改良していこうと思います。
Posted at 2026/10/15 18:22:53 | |
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