
「こんにちは、実車も見ずにベンツを買った男です」
よし、これからはこれを挨拶の言葉にしよう。うしし。
決して軽の中古より安かったことには触れないで、
あとは、新車で買って以来ずーっと、
ワンオーナーで乗っているような雰囲気を
醸し出せればカンペキ。精進?しよう。
ま、こんなこと言っている時点で
貧乏人丸出しですな。。。ぎゃふん。
それはさておき、面白いですよベンツ。
この面白さは、昔の自分では気づかなかったと思う。
ジャンクフードに慣れてしまって、
なんか刺激が足りないな・・・みたいな。
むしろ退屈していたかも。
乗っていてつくづく思うのは、
メルセデスは高級車メーカーじゃないな、ということ。
やはり機能重視の、実用車メーカーだと思う。
そして実際技術があって、真面目。
それが結果として「高級車」と評価されただけで、
本人達は別にそういうつもりはない、どうでもいいみたいな。
しかーし。ただ真面目というだけではなく、
このメーカー、本気で、雨の日に時速200キロで移動して
普通に仕事して帰ってこられることを想定している。
そういった意味ではクレイジーだ。とってもバカだ。
とにかく、ドライバーに余計な緊張を与えないことを優先しているように思う。
そのためにすべてが決まっている気がする。
エンジン、車体剛性、操作スイッチ類、みたいなハード的な部分から、
居住空間、エクステリアデザインなどのソフト的な部分まで。
だからこそ自発的にエアバッグやABSなどを積極的に採用したり、
ヘッドライトにワイパーをつけたりするんだろう。
お客様の声やお役所の指導なんて関係なく。
その代わり、シフトダウンのショックの大きさとか、燃費とか、
細かいところはそんなに気にしてない、みたいなところはある。
高速安定性が損なわれるから、むやみに軽量化もしないだろう。
その代わり、ネガティブ要素にならないように、
重量配分にはとても気を遣っている感じがする。
重量の使い方が上手い。意味のある重量になっている。
ウワサのタイヤの接地感もすごかった。
195/65R15なんてヤル気のなさそうなサイズなんだけど、
それ以上のサイズのタイヤを履いている気がする。
じゅうぶん機敏に動けるし簡単にブレイクしない。
タイヤの使い方が上手い。
もうひとつウワサと言えば、操作類はたしかにぜんぶ重い。
ステアリング、アクセル、ブレーキ、各スイッチ類。
「重い」と言うと聞こえが悪いが、
良く解釈すれば、手応えがあるとも言える。
まるでドライバーの意志を確認するかのような。
知人が、子供がいたずらして運転できないように重くしてあるんだ、
と言っていたが本当のところはわからない。
でも意外なメリットとして、重くてストロークのあるアクセルは、
冬にゴッツいスノーシューズでも、微妙なアクセルワークができて良かった。
サンバーだといちいち運転用の靴に履き替えなくちゃいけない。
それからちいちゃなことだけど、感心したのは、
ABSやトラクションコントロールが働くと点灯するワーニングランプ。
一番目につくメーターパネルの真ん中にある。
路面状況が悪くなってきて、でもまだそんなに電子制御が介入していない領域で
ドライバーが気づいていなくても、そろそろヤバいよ、と知らせてくれる。
やっぱりそうか、俺もそんな気がしてたんだよ、と心の準備ができる。
私のABS初体験はエスティマで、いきなりズダダダダッ!とキックバックがきて、
「な、なんだ!?キャリパーが外れたのか!???」とえらくビックリしたのだが、
メルセデス的にはそういうことはあり得ないのだろう。
最近の国産車ではどうなんでしょ?私が知らなさ過ぎるだけなんでしょうけど。。。
ま、日本は政府も国民がパニックにならないようにと、
ヤバい情報はご丁寧に隠してくれる体質だから仕方ないですが(笑)、
知らせないことが国民のためなのか?と考えるのと同じように、
知らせないことはドライバーのためなのか?なんてことを考えたり。
もちろん車体安定技術自体も素晴らしくて(14年前のクルマだけど)、
アクセル踏もうがブレーキ踏もうがステアリング切ろうが、
姿勢が乱れないように、けなげにアシストしてくれて、涙が出そうです。
なぜ君は、そこまでしてFRにこだわり続けるのだ・・・。
FRのくせに、サンバー4WDよりも安心してアイスバーンを走れます。
(もちろん走破性は絶対、4WDにはかなわないですが)
総じて、余計な緊張は強いないけど、客観的な情報は伝えてくれる、という印象です。
先述のE川くん曰く、「レクサスはスピード感がなくて危ない」と感じるんだそうだ。
確かに、ベンツはその辺は過保護ではない。蛮勇は与えない。
そのためのステアリングの重さだったりするのかなぁ。
スピード出してもいいけど、それなら覚悟して本気でこいよ!と言われているようだ。
とにかく、俺たちはこういう「自動車」が欲しいから作っているんだ!
という意思がクルマから伝わってくる。たとえ社内的に明文化されていないにしても。
こういうところが、そのメーカーの歴史や文化だったり味なんでしょうね。
腐っても鯛ならぬ、腐ってもベンツ。古いベンツを直しながら、
長く乗り続けている人の気持ちがちょっとわかりました。
さて一方、日本の自動車メーカーが、
ベンツのような高級車(?)を作るとなったら・・・?
思いっきり偏見だけど、ゴメンなさい。
まず、「お客様が求める高級車とは?」というマーケティングをして、
それから社内で「高級車とはなんぞや?」という会議から始まる気がする。
「う〜ん、やっぱり本革シートは必要だろう」とか(笑)。
ま、メルセデスでもやっているんだろうけど、立脚点が違うんじゃなかろうか?
それは「自動車を作る」のか「自動車という商品を作る」のか?という違い。
「高級であるかどうか?」なんて判断基準はないと思う。
あーすごい偏見だね、我ながら。偉そうですみません。。。
この辺は、日本のいわゆる「高級車といわれるクルマ」と
付き合ったことがないので憶測でしかありません。
いつか機会があれば、じっくり乗ってみたいものです。
結局私にとってクルマって、運転しながらクルマと会話したり、
クルマを通して作り手と会話できるところが面白いのでしょうね。
話が通じる友達と飲んでいるみたいな感じ。
その友達は必ずしもいいヤツでなくていいし、自分に都合良くなくてもいい。
性格が合わないと思っていても、こっちが教えられることもあるし。
一緒に時間を過ごすのが楽しい面白い、もしくは心地よいということかな。
メルセデス嬢、いい友人です。
このさき恋に発展するかどうかは?お楽しみ。