
年に何回か仕事で台湾へ出かけるのだが、先週はいつも行く台中に二日ほど滞在した後、久しぶりに台南までさらに二日足を伸ばした。
とはいえ、早い話台南にあるメーカーを2社ほど訪問したからであって観光に行ったわけではない。(バッチリお仕事です昼間だけは)
台湾という国はおそらく世界で最も親日国家(国民自体が)であり、至る所に日本文化が根付いているが、特に台湾南端の高雄、台南はその傾向が強く、町並みは日本かと思うような場所も多い。
戦中まで高雄は日本海軍の本拠地であったし、重巡「高雄」はまさにこの地を艦名としたほど、さらに台南は日本で最も有名な撃墜王である「大空のサムライ」坂井三郎が所属していた台南空がいた場所で、当時の飛行場は未だに台南市のローカル空港として残っているほど。
台北、台中も日本より暖かいのは当然だが、それよりさらに高雄、台南は南国風情があり、訪れると何故か昭和時代の日本を彷彿するくらい居心地が良い。
外食率が非常に高い台湾は、夜になるとそこら中の飲食店に客が集まるが、中には日本語で「大衆居酒屋」「おでん」「寿司」と書いてある店も多く、「どこまで日本が好きやねん!」とついツッコミを入れてしまうほど。(だって台湾のセブンイレブンでもおでん普通に売ってるし)
で、台南市街を散策したついでに、今回は現地のビジネスパートナーが次期車両にBMWを考えているというので、台南のBMWへ夕食前に立ち寄ってみた。
台湾は人口2400万、自動車販売台数は年間70万台ほどだそうで、日産、トヨタ、マツダは車種限定ながら台湾メーカーがライセンス生産を行っている。
ドイツ製高級車の売れ行きも結構あり、独立意識の強い台湾人経営者はこぞってドイツ車を買うため、結構随所で色んな車を見かけるが、輸入車は未だ関税が掛かるため日本で買うより数10%お値段は高い。
さらに、来年から贅沢税なるものが導入され、車両価格が300万台湾元(1元=約2.6円)以上になるとさらに10%も購入時に課税されてしまうのだとか。
これは不動産の値上がりを抑制するためと、富裕層からさらに税収を上げようとしているためだが、高級車にまで税金を課すというのは自動車販売業から見れば非常な逆風になるのは間違いないだろう。
ちなみに、件のビジネスパートナーさん(台湾人です)は日本の商社から独立して早4年、商売は右肩上がりで自宅は台北のマンションなのに、台中に中古とはいえ高級マンション買ってしまうわ、さらに事務所としてもう1件マンション買い足そうとしてるわ、ついでにこの際台湾製ブルーバード(とはいえ内装フルレザーです)からBMWにしたろかと鼻息荒いわけなのだが、そこはそれ海外からのお客を常にアテンドするため走行距離が非常に多い。
桃園空港から仕事の拠点となる台中までは約150kmあり、これを月に10回以上往復するし、さらに台南までとなるとちょうど東京~名古屋間に匹敵する距離となるため、年間4万km近くは走ってしまう。
移動はほとんどが高速道路なので車自体のヤレは少ないのだが、やはりかなりの過走行となるためBMWとなると負担も大きい。
ご本人は「わたしね~523i買おうとおもてるんですよ~。」と流暢な日本語でおっしゃるが、お値段見ると台湾では300万元以上するため、これだとさらに10%課税されてしまう。
これでは芳しくないでしょということと、毎月の燃料代を考えたらディーゼルの方が良くないかということで、こちらが提案したのが520d。
実は台湾のBMWでは日本には導入されていないディ-ゼル車が欧州同様に売られており、5シリーズだと535d、520dがラインナップに入っている。
ただ、535dは仕様的にも535iと同様でお値段も一挙に500万台湾元以上とお話にならないほど高級となってしまう。(日本円で1,200万超えますぜ!)
実際、535dのスペックを見ると、300馬力で535iとほぼ同等だが、トルクは何と600NmとV8ツインターボ並みとなり、0-100km/h加速が5.5秒と半端無いほどクソ速い!(マジか)
一方520dは逆にお安い設定で、値段も260万台湾元と贅沢税が掛からない程度に収めてあるし、170馬力とはいえトルクは300Nm以上あるので3L直6NAエンジンと大差ない。
これなら燃料代もお得だし、何よりパッケージングは5シリーズだからクライアントを乗せるにも充分高級で遜色ない。
台南市のBMWショールームでああだこうだと結構立ち話していたが、パートナーさんの隣には店長とおぼしきガッチリした体格の年配の方がピッタリと張り付き、日本だと幾らするのかとかどのモデルまで入ってきてるのかとしきりに聞いてくる。
ちなみに、日本で既に販売開始した新型1シリーズはまだ台湾には入っておらず、年明け早々になるそうだが、たまたまM-DCT仕様のM3クーペが1台展示してあり、これを見てむしろ自分が非常に食指を動かされてしまった。(ちなみにお値段500万台湾元以上!高っ!!)
どうやらラスト1台のM3クーペらしく、次はもうM-Division製のV8は載らないという話をしたら、既に引き合いが入ってる車だそうな。(そりゃそうでしょうね)
で、ボチボチ帰りましょうかとなったとき、確かパートナーさんの兄貴は台湾BMWの副総経理で、しかも今年に入って台中から台南へ転勤したという話を思い出した。
まさか、ひょっとしてこの人がお兄さんでっかと聞いたら、はいそうですよと答えられビックリ!
ニコニコしてるお兄様に慌てて挨拶し握手をして別れたのだが、もうチョイ早めに教えて欲しいわまったく。
この夜は今台湾で最も人気が高い高級鉄板焼きステーキハウスチェーンの台南店で食事をしたのだが、店舗内は日本同様豪華で落ち着いた雰囲気。(場所は台南市役所の真向かい)
でかいサークル状のグリルカウンター内には何人ものコックがズラリ並び、手慣れた手さばきでメインディッシュを焼いてサーブしてくれる。
あまりの人気故予約だけでも1ヶ月以上待ちと聞いていたのだが、当たって砕けろと昼過ぎに直接店へ訪れたら、運良く1組だけなら7時半から入れるとのことで非常にラッキー。
サービスも日本風でホスピタリティーも良く、若いおに~ちゃんやおね~ちゃんが甲斐甲斐しく注文を聞いてくれるが、前菜、サラダ、スープ、メインディッシュ、デザート、ドリンクは数種類から選択制のコースのみ、なのに値段は一律980台湾元と格安!(ちなみに必ず付く海老炒飯は絶品だった)
さすがにサービス料は別途10%掛かるが、それでも日本円で3,000円しないのだからどう考えても日本と比較すると1/4~1/8以下のお値段。
しかもメインディッシュの肉料理はチキン、合鴨、ビーフから6種類ほど調理法を選択出来、さらにどれも量が半端無いほど多い!
我々はニンニクステーキを選んだのだが、一人前が200gほど出てきてお腹いっぱい。
ビーフも日本製高級和牛ほどサシは入っていなかったとはいえ、柔らかかったしむしろ量を食べるなら赤身が多い方が食べやすい。
カウンターではまず台湾ビールを飲み、次にワインリストからカベルネ・ソービニヨンのワインを1本選んだのだが、これも800台湾元と非常にお得なお値段。
シメのデザートとドリンクはカウンターからボックス席へ案内され、そこでゆっくり頂くのだが(これも東京の某クソ高いステーキハウスと一緒やん)、選んだデザートも非常に美味しく、オヤジ3人がこんなとこ来てええんかいというほど店内は一発決めたろか状態の若いデートカップルばかりだった。(しかも全員ど緊張の彼氏ばっかしなのには笑ったが)
その後、台南の高級KTVへ当然ながら行ったのだが、値段は台中よりリーズナブルなのに店舗数が少ないせいか小姐の品質はむしろ台南の方が非常に良く、これも大変に嬉しい誤算であったことはいうまでもない。(何のこっちゃ)
この辺の話はスレ違いなので割愛するが(個人的コンプライアンスも絡む)、日本人向けスナック(結構あります現地には)では決して体験出来ない事案を多々享受出来るので、台湾に行き慣れた方なら是非一度お薦めする。
但し、遊び慣れた富裕層の台湾人アテンドが必須だし、お値段はザギンや錦、新地の部活並みであることを認識して頂く必要はありますのでご了承を。(それ以上の体験が可能ですが)
帰りは台湾新幹線台南駅まで送ってもらい桃園駅まで帰ったのだが、ビジネスシート(グリーン車)は1,580台湾元だから日本円で4,100円ほど。
これで名古屋~新横浜相当の距離を1時間20分ほどだから値段は日本の1/3近い。(しかもビジネスだと飲み物とお菓子サービスです)
久しぶりの台南だったが、こりゃ次回からは必ず台中から台南まで足を伸ばさないといけないなと硬く心に誓った出張でございました。(取引先代わる可能性大)