ペケ6号が以前エンジンストール起こし1週間入院していたのだが、そのときに最新版へとインストールしたDMEプログラムが何故か芳しくなく、再インストールすることになってまたペケ6は数日間入院することに。
で、今回代車として持ってきたのが523iツーリングMスポーツなのだが、ちと自分なりのインプを書いてみようと思う。

この車は試乗車で、現在の走行距離は10,000kmを超えていたが、登録は今年の春くらいでそんなに古くはない。
エンジンはN52B25Aで、一応は2.5L直6NAエンジンなのだが、実は今現在の523iは既にこのエンジンではなく、つい最近刷新されてしまっている。
新しくなった搭載エンジンは新型N20B20A直噴ターボの2.0L直4エンジンで、23iの名前は一緒だがもはや5シリーズといえども直6では無くなってしまったのだ。
いつ換わったかはあまり興味がないから知らなかったのだが(おい)、新型1シリーズ、3シリーズと共に開発された直噴1.6、2.0L直4ターボエンジンは、現行車種から先にドンドンと換装されていくようで、最近ではZ4sDrive20iもこの直4エンジンに変更されている。
とはいえ、この新型N20B20Aは例によって2種類のチューニングがあり、523iとZ4sDrive20iは23と20というように数字が違っても同一の184馬力となっている。
どうやらこのエンジンは現行20i、23iと呼称される型式がデチューン版で、さらにブーストを上げて245馬力と高出力化した型式が28iになるらしい。
つまり、もはやBMWはAUDI同様ダウンサイジングをアッパークラスにまで導入し始めており、従来のN52系直6NAエンジンは無くなっていくわけだ。
シルキー6を売りにしていたBMWお前もかと言いたいところだが、まあそれで燃費が向上すればお客も納得するのだろうし、時代の波には逆らえないというところなのだろうが、一抹の寂しさを感じるのはオヤジの証拠かも知れない。
てなことで、いつも通り前置きが長くなってしまったが、最後のミニマム直6NAエンジン搭載のこの車を走らせてみた。
運転席に座ってみると、いくら7と同じプラットフォームを使っている5といえども室内幅はペケ6よりタイトで、ドア内側の肘掛けにも楽に届く。(ペケ6は広すぎて空振りします)
今回の車両は5シリーズでは最も廉価版であるとはいえ、試乗車の常でオプションは一通り付いている。
本来Mスポーツ仕様はシートがアルカンタラのはずだが、何故かこの車はフルレザーになっているのもその証拠、しかしレザー仕様のスポーツシートなのにサイドサポートもランバーサポートも無く、調整スイッチはリクライニングと高さ調整だけになっている。
この辺はロアーモデルとアッパーモデルの差別化を鮮明にしたいメーカーの思惑かとも思う。
最近のMスポーツはモロにM-Divisionそのまんままのスパルタンに仕上げるのが特徴で、シフトパドルまで左が-、右が+の本格的な引きオンリータイプが付いているが、まあ雰囲気だけを味わうといったところで、8速ATをSモードにしてパドルを使ってみてもボチボチ早いかなといった程度。
ZF製の8速ATは新型1シリーズの1.6L直4ターボから4.4LのV8ツインターボまで同じ変速機だから許容トルクは有り余るほどなのだが、手動で3段飛びくらいのシフトダウンをしてもペケ6のようにブリッピングはしない、というか直6エンジンの回転上がりが早いのでブリッピングが聞き取れないのかも知れないが。
Mスポーツのため、足回りもNormal、Sports、Sports+とボタンで切り替え可能なのだが、ワゴンボディーはセダンよりやはりリアの剛性が低いせいかNormalモードでもバネ下重量を感じる。
しかもダンパーはSportsにしても思ったほど硬くならない、というかはっきり言って代わり映えがしない。
8速ATは完全に6、7、8速がクルージングレシオで、5速までは6速AT同様クロスしているが、80km/h近くまで達しないと巡航では8速には入らず、アクセルオフのときだけ8速に入るので惰走感は従来より大きい。
これもエコモードのせいなのだろうが、一般道で巡航していてアクセルオフするとその途端ハイギヤへドンドンとシフトアップされ、逆に回転数だけポンポン下がっていって、ほとんど減速しないで1,200回転チョイで惰走を続けるというのは、個人的にいわせてもらうとMTのクラッチ切って空走行してる見たいな違和感を感じる。
以前750iを1週間乗っていたときにもこの惰走感をかなり感じたのだが、両車共に回生ブレーキが付いているせいだからなのだろうか。(ハイブリッドじゃあるまいしそんなにバッテリー充電してどうするって感じですが)
エンジンは2.5L直6とはいえデチューン版でトルクもさほどあるわけではないから、一旦巡航で7速辺りまで入ってしまうとその後アクセルを踏んでもちょっとやそっとでは加速してくれない。
しかも昨今のトルコンATは全段ロックアップが当たり前だから昔のトルコンのようにアクセル煽ってもトルコンスリップなんて全くしないからチョイと踏んだ程度だと回転計は微動だにしない。
8速ATになってから、この辺の通常Dモードシフトプログラムはさらに燃費重視になっているようで、車速を頻繁に変えたい場合は市街地でもSモードにした方がピックアップは当然良くなり、ミッションもやる気を出して頻繁に変速してくれる。
だが、Sモードにすると今度は巡航回転数が一気に2,300~2,500回転辺りにまで上がり、ギヤも6速までしか入らないので、燃費を気にする方々はお使いにはならないかも。(でもたまには使ってみましょう車が元気になるから)
試乗車は225/55R17のコンチ・クロスコンタクトのRFTを前後とも履いていたが、乗り心地は硬めでいかにも経済性重視といった感じ。
ただ、バネレートがMスポといえどもそんなに硬くないせいか、コーナー手前で強くブレーキングすると結構フロントが沈み、簡単にスキール音がする。
X5やX6のようなSAVよりツーリングの方がリアのオーバーハングは長く、その結果セダンよりリアのマスも大きく感じるが、ツーリングをチョイスするお客はこれでコーナーを攻めるなんてことはしないから良いのかも知れない。
現行型からBMWもEセグメント以上は長年固執し続けてきたフロントストラットをWウィッシュボーンに変更してしまったが、おかげでサスはフリクション無くスムーズに上下動するとはいえ、以前のような中立付近でも敏感なレスポンスはスポイルされ、当たり障りのないステアフィールになった様な気がする。
ここ数日間この車を乗っていて感じたことだが、やはりワゴンボディーの後方がらんどう感はSAVより顕著に感じ、ねじり剛性的にも最も不利な形状ではないかと感じた次第。
この辺はユーティリティー性を選ぶか走りを選ぶかで好みは当然分かれるのだが、どうせ乗るなら自分的にはセダンの方が本来の走りを享受出来るのではとつくづく思った。
但し、誤解の無いように申し添えておくと、ワゴンタイプでもちゃんとそのクラスのステイタス感は立派にあるので、チョイスは個人の用途次第なのは言うまでもない。
で、今更ながら気がついたのが、523iツーリングとM5のコックピット風景ってまんま一緒じゃんということ。
値段が倍以上違っても同シリーズのコックピットは材質以外変わらないのがBMWの個性とはいえ、こいつに乗ったおかげでM5に試乗してもコックピットの新鮮味は無いのねと考えてしまうことに。
と思ったら、つい先月だってダッシュボードデザインがほぼ一緒の750iにも乗っていたのに、今回の523iで新鮮さを感じた自分の記憶力の無さに加齢ボケをつくづく思い知らされた今日この頃でございました。