
我慢汁のまま、必死に慣らし運転をしていたが、やっと1,250kmを走破したので先日D~ら~にてオイル交換&エレメント交換を実施した。
3台乗り継いだ車が全てV8だったため、今回自分としては初の直6エンジン車(正室車は直6N52だが)オイル交換となったのだが、案の定交換費用はV8の2/3程度とお財布には優しかった。
ただ、今年からBMWはメーカー指定純正オイルをカストロールからシェルに変更しており、自分の車も初めてシェルオイルとなった。
さて、毎日の通勤にも車を使うローカルな地域であり、ゴルフに出かければ軽く往復200km近く走ってしまうので(プレイ代安いからってそんな遠くに誘うなよ)、月に数回ゴルフがあれば通勤含めて月間1,000kmなんて簡単にクリアしてしまうのだが、ゴルフ場往復の大半は高速道路となる。
M235iはASDなるギミックが付いているため、回すとコックピット内にいかにものサウンドが充満してくるのだが、これが慣らし期間中は誠に辛かった。
2,000回転を超えるとエンジン音が変化し、さらに回すともっと官能的な音が出るよ~と誘ってくるわけだから、寸止め運転は欲望との戦いであった。
その寸止めからもやっと解放されたわけだが、慣らしの内から自分を誘惑してきたASDとはさて一体なんぞやということになる。
ASD(Active・Sound・Design)とは、要するに爽快なエンジン音をCPUで作っちゃいましょう(詳しくはCPUで味付けしちゃおう)というもので、ここ数年来BMWはMが主体となってそういうセグメントの車種に搭載し始めている。
考えてみれば、ターボ搭載エンジンの音はどうしてもNAエンジンより音質はよろしくない。
NAエンジンは高回転に至るまでに音質も上昇していくし、吸気音も同様に聞こえてくる。
一方ターボエンジンはNAエンジンのような吸気音は聞こえず、ターボチャージャーの高周波音となるが、これは最高回転数を待たずして音の上昇は止まってしまう。
なぜならエンジン最高回転数より遙か下の方でターボ回転数上限を迎えるため、そこでブーストを抜き始めてしまうからだ。
一方排気音はターボ車でもマフラーの作りでそれなりに出せるが、肝心の吸気音がエンジン回転に呼応しないというか、NAのように最高回転まで上昇していくという感動がない。
早い話、高回転まで抜けるように上昇していくNAエンジンのようなソプラノ音質が出ないのだ。
確かに旧型M3、M5 、M6に積まれていたM社製V8、V10エンジンは芸術品だった。
NAでありながらもリッター100馬力以上を達成し、8連、10連スロットルのエンジン音なんざ高回転になるほど「カァ~~~ン」と唸り、まさに惚れ惚れするモノだった。
しかし、Co2排出規制の関係上、各メーカーは大排気量NAエンジンからダウンサイジングへと移行を余儀なくされ、Mといえどもターボを付与しないと大馬力は出せなくなった。
その結果、問題視されたのがエンジン音である。
NAと違いどうしてもターボエンジンは回転上昇に伴う抑揚に欠ける。
高回転で脳天に抜けるような高周波音が出ないのである。
これは、性能もさることながら音質にもこだわるメーカーとしては非常に問題となった。
ターボのブーストを上げれば高馬力化は可能でも、音質がそれについてこないようでは商品価値がスポイルされてしまうと考えるのは当然である。
そこで、頭を絞って考えたのが、「音、作っちゃえば良くね?」という発想である。
なにより現在のエンジンはECUのプログラムで全て制御されているわけだし、エンジン回転数に呼応して疑似エンジン音を作ることなど朝飯前となる。
上級セグメントのサルーン車種にはあえてエンジン音を車内に出すなんてとんでもない話だが、一方かっ飛びスポーツ車種には乗り手を喜ばす豪快なエンジン音は必須となるわけだ。
ASDの理屈とは、どうやら下記のようなものらしい。
1) 演出したエンジン音を信号に変換し、ECUメモリにあらかじめプログラムしておく。
2) エンジン回転数信号に呼応したエンジン音信号を出力する。
3) 車内オーディオスピーカーに疑似エンジン音を流す。
つまり、実際のエンジンが1.5Lの3気筒程度であろうが、ASDでプログラムしておけば5LクラスのV8NAエンジンサウンドだって自由に流せるわけとなる。
というか上記の演出はBMWの場合i8で実際に施されている。
電気モーター&1.5L3気筒エンジンのi8ではエンジン音は正直そんなに期待できる音とはならないが、ASDの演出で車格に沿った壮大なエンジン音をi8ドライバーは享受できるわけである。
「パチもんの音かい!」と一旦は思うが、エンジン回転数に感応して多少の味付けが加わるなら納得できない話ではない。
しかもこのASD、BMWだけではなく他社でも既に搭載しているようで、特にスポーツ車種では当然のことのようになり始めているようだ。
実はこのデバイスの件で、先日D~ら~サービスと話をしていたら面白いことを聞いた。
ASDは当然現行M3、M4にも搭載されているのだが、ある日M4オーナーがD~ら~に訪れておかしな症状が出ると訴えたらしい。
曰く、「何故かエンジン回転数上昇に対してエンジン音がほんの僅か遅れているような気がする。」とのこと。
これを聞いて大笑いしながらも、そのオーナーは素晴らしい聴力とテンポ感覚の持ち主だと感心した次第だった。
だって、自分じゃASDのタイムラグなんてこれっぽっちも感じたことはないのだから。
もっとも、さらに頻繁に回転数が上下するスポーツ走行を繰り返してしていくと、勘の鋭い人間には分かるのかもしれない。
しかし、自分の感覚体験は今のところまるで逆で、マニュアルモードで3段飛びくらい一挙にパドルでシフトダウンした際、「あれ?エンジンブリッピング不自然に早くね?」と思ったほどだったが。(まあこれは実際に早いのでしょうけど)
さて、慣らしも終わったことだし、これからは自分自身がASDのタイムラグを実際に聞き取れるレベルの持ち主かどうかドンドンぶん回して体験してみようと思う。(どうせならフェラちゃんV12サウンドアプリをOPで対応なんてしてくれたら面白いと思うのだが当然無理ですよね~)