終幕・・・。

１月最終日。

小雪の舞い散る住吉３丁目の店舗に常連客の姿は無く、８９の運転手さんと立ち話。

回収業者なのか債権者なのか不明な男性達が、積載車に８８号車を無理矢理積み込み、２柱リフトをクレーンで持ち上げてゆく。

すっかりサルベージされたガレージには主を失って途方に暮れた部品達が取り残され、箱に仕舞われたトロフィーの埃を拭う日はもう二度と訪れない。

カッターナイフの刃を手に店舗正面扉に向かい、「ＡＵＴＯＭＡＣ」のステッカーを剥がす。

真っ白に日焼けして原型を留めていないステッカーと違い、そのブランドは美しい緑を纏ったまま。

店舗道路から見える看板は全て処理され、「幕」は下ろされた。

一番大きな看板が処置されるのを見上げていたら、自然と泣いていた。





ＡＵＴＯＭＡＣの終幕に立ち会った事を、全てのＢＥＡＴ乗りに伝えます。

日本中の大きな、小さなサーキットを駆け抜けた魂は、今日、静かにその熱の殆どを失いました。

ＢＥＡＴを愛する人々の、頼れる大きなランドマークは消滅しました。

悲しいですが、事実です。

でも、その魂の灯は完全に消えた訳ではありません。

ＢＥＡＴを愛し乗り続ける人達が居る限り、決して消える事は無い筈です。

いつかその灯が、

熱を帯び、

燃え上り、

ＢＥＡＴを愛し乗り続ける人の灯台となる日が来ます。

私はその日を信じています。

信じて、待ちたいと思っています。