2012年08月19日
掲載元:フランスねこのNews Watching 2012年8月18日 (土)
2011年3月の福島原発事故以来、福島周辺の蝶に様々な奇形が観察されている。そしてこれらの奇形が発生する率は、世代を追うごとに増加している。原発事故が原因と見られるこの現象は、1986年に起きたチェルノブイリ原発事故の後で見られた昆虫や鳥の生態の異変および人体への影響にも重なっている。
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縮んだ羽、曲がった羽、もしくは異常に多い羽をもった蝶たち。変形した触覚、でこぼこの目。変色した体。孵化できなかったサナギたち。不妊になり子どもを産めなくなった蝶。
沖縄県琉球大学の大瀧丈二(おおたき じょうじ)准教授が率いる研究者チームが学術誌「科学報告書」(Scientific Reports)に発表し、ネイチャー誌を通じて公開された調査結果は、福島県の周辺で蝶の生態に非常に深刻な異変が起きていることを伝えている。
●蝶の写真はこちら(ルモンド紙の記事より)
蝶の羽の色は、気候変動の影響を反映するなど周囲の自然環境の変化に鋭敏に反応することで知られている。今回の調査ではまず福島原発事故が発生した2か月後の2011年5月に、福島原発から200キロ以上離れた東京など10ヶ所を含む地点で144匹のヤマトシジミ蝶が収集された。
12%の蝶に羽、目、触覚を中心とした奇形が見られ、実験室での培養では第二世代で18%の蝶に奇形が発生、第三世代では33.5%にのぼった。
事故から6ヶ月後の2011年9月に行なわれた第二回目の調査では、238匹の蝶が採集された。これらの蝶のうち奇形が生じていたのは全体の28%、その後第二世代では52%に同様の奇形が見られた。比較のために実施した実験室内での実験では、健康な蝶に放射線(注)を照射したところ、同様の奇形が生じることが分かっている。
大瀧教授は福島原発事故により大量に放出された放射能の影響により奇形が発するという因果関係について「科学に100%確実ということは無い」として断定を留保しつつ、「今回のような奇形はかつて見たことがない」として、原発事故が蝶の生態に大きな影響を与えたことを否定しない。
研究者チームは福島原発から放出された放射性物質による外部被曝だけでなく、蝶が汚染された木の葉を食べたことによる内部被曝も影響を与えたと見ており、現在より確度の高い検証を行うため、福島県で他の昆虫や小動物について同様の調査を予定している。
「今回の調査は(原発事故が与えた)福島周辺地域の生態系と人間への影響を考える上で貴重な成果です。」
チェルノブイリと福島で原発事故による動植物への放射線被曝の影響を調査しているサウス・キャロライナ大学のティム・ムッソ教授(生物学)は述べる。
「これらの奇形の原因は、被曝の影響以外には説明のしようがありません。」
現在のところ、公式には福島原発事故を原因とする被曝で亡くなった人はいないとされている。しかし医学や生物学の専門家たちは被曝の影響がただちに現れるものでは無いことを指摘しており、こうした(晩発性の)被曝の影響こそが、福島県から避難した8万人の人びとや事故処理にあたる原発作業員たちが危惧する問題となっている。
(抜粋、一部編集)
(注)蝶の1ヶ月の生涯を通じ55ミリシーベルトという比較的高い量の放射線を照射し、実験を行った。
●参考: 「フクシマウォッチ:原発事故後にチョウの奇形が増加」/ウォールストリートジャーナル(8月15日) http://jp.wsj.com/japanrealtime/blog/archives/13332/
●元の記事:フィリップ・ポンス特派員(東京)「福島の周辺で奇形化する蝶」/ルモンド紙(8月16日)
(Philippe Pons, « Des papillons mutants autour de Fukushima », Le Monde, 2012.08.16)
http://www.lemonde.fr/planete/article/2012/08/15/des-papillons-mutants-autour-de-fukushima_1746252_3244.html
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Posted at 2012/08/19 20:27:41 | |
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