私は光工学や色、ゲーム映像の専門家ではありませんが、処理速度が重視されるビデオカードの画質について少し考えてみました。
処理が重いアンチエイリアスと異方性フィルタリング(Anisotropic Filtering)を例に比較してみましょう。
アンチエイリアスとは、ゲームの解像度よりも高い解像度でデータを生成する技術です。そのことにより、出力された映像はより細かくキレイに見えます。
ただし、画面全体に行うのではなく、画像に対して行うもので、しかも処理を軽くするために立体物のふちの部分だけに行うので、その効果も場面やビデオカードによって違いがあります。
フルスクリーンアンチエイリアス(FA)というものもありますが、これは全体をゲームの解像度よりも高く処理するというものです。つまり、表示解像度を1024にして2倍FAを行うと、2048の解像度として処理されるということです。
表示解像度を高くするのと、どちらがいい結果となるかは一概に言えませんが、FA処理をさせる方が計算は多くなります。
異方性フィルタリング(AF)の概要についてはこちら。
http://www.4gamer.net/specials/3de/nv_at/nv_at01.html
この処理は視点(カメラ)からぼかしのような演出を計算しているもので、見ている視点として自然になることが重要かと思われます。
パイプに対してAFを施した場合の例で確認してみましょう。
http://techreport.com/articles.x/14990/7
プログラムとしては3Dの筒を描いているもので、それに対して筒の内面に貼られているチェス盤のような白黒のマス(テクスチャ)にぼかしなどの処理をかけてよりそれっぽく、遠近感を演出しているものとなります。
RADEONでは、くっきりと4つの角が出ています。
GeForceは全体的に万遍なく小さい角が出ています。
これはどういうことかと言うと、昔は処理の「手抜き」と言われたものでもありますが、より効果を効率良く出すために、全領域に処理するのではなく処理する範囲や度合いを制御しているという意味です。
RADEONの方は効果のかかり方が滑らかになってますが、4つの角が出来てしまうため、このような筒ではやや不自然となります。(光学的にどうなのかよく分かりませんが)
これは、場面に応じて処理の範囲を調整しているもので、RADEON最大の特徴となると思われます。
GeForceの方では、高画質モードにするとかなり円に近いような処理となっていることになります。
この違いがゲームでどのように現れるのかを見てみましょう。上の写真がアンチエイリアス、下が異方性フィルタリングのサンプルです。
http://www.tomshardware.com/reviews/graphic-card-benchmark,2029-22.html
※使っているモニタが色を十分に表示できない場合やドットが粗い場合、ぼやけてあまり違いが分からないかも知れません。逆に粗いデータの方がキレイに見えることがあるかも知れません。
撮影している場面は同じですが、全く同じ角度や位置なのかは分かりません。
まず、GTX260は十分に処理が適用されていないため、画像がくっきりと表示されてしまっているのが分かります。画像そのものが詳細なため、逆にくっきりしてキレイに見える人もいるかも知れません。
ですが、この処理の意図はぼかしてより自然に見せるというものですので、元のデータはハッキリと見えていると効果が得られていないことになります。それで速度が高くても、あまり評価できないものなのかは微妙ですが・・・。
比較してみると、RADEONとGTX280ではほとんど差がありません。
ゲーム画面の比較では、適用の範囲がGTX280の方がやや雑に見えるかも知れません。効果の度合いが強すぎて、この例のように拡大するとRADEONは画像がややぼやけている印象があるかも知れません。
うーん、微妙ですね。画質で選ぶという点では、何を基準に画質がよいと考えるかによるのでしょうか。
画像データをかなり詳細にすれば、それだけでキレイな映像となるはずです。このような技術は、表示する空間の範囲が広く、データ量の多いゲームで恩恵が多いと言える感じでしょうか。
処理についてはドライバで調整されていくものですので、その調整によって描写の結果は変わってくることもあります。ですので、やはりどっちがより高画質であるのかは一概に言えないことでもあります。
Posted at 2008/12/14 05:18:35 | |
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