かづのりのブログ一覧

「風立ちぬ」観てきました。
本当はもう、数日前に観てきてたんですが、
なんとなく何も書けずにいました。

結論としては、凄くいい映画でした。
正直に書くと、ここ数年無いくらいに泣きました。
エンドロールがもう少し短かったら
劇場が明るくなるまでに涙乾かなくてヤバいところでした。

でも、隣の席の小学生は「このオッチャン、何で泣いてんだ？」
とポカーンとしてポップコーンこぼしてました。

そういう映画なんだと思います。

いつもいつも話題の映画評には「賛否両論だ」と書かれていて
そんなの映画なんだから当り前じゃないかと思っていましたが、
これは本気の賛否両論映画だと、私も思います。

前座(失礼)併映の「OnYourMark」を本編だと思ったくらい
全く期待せずに、というか「ジブリの新作」以外の
何の情報も持たずに観に行った「耳をすませば」に
心を射抜かれて以来、
努めて映画は事前情報なしで楽しもうというスタンスでいたのが、
今回も正解だったかもしれません。

恒例の公開直前特番は後から観ましたが、
公開前に出された例の“怪文書”も、
読んでいたら自身の作品評に影響を与えていたかもしれません。

あれを、あのタイミングで出した宮崎監督…じゃないですね、
ジブリの本音は窺い知れませんが…ちょっと、どうなんでしょうね。
参議院選挙前に出そうとして被っただけなのかな。
こんな映画を作ったけど、私はこういうスタンスなんだ、
という制作側の言い訳？なのか決意表明？なのか。
とにかく蛇足でした。
それでも、あの映画自身は、私は大好きです。

話題作、特にジブリ作品は難解な面もあって
何だかんだと論評の的になるし、
私も見終わった後で、そういう記事を読んでは
ああ、そういう見方もあるのか～と結構楽しんでいる方なので、
それ自体は大いに結構なのですが、
映画って、そんな小難しく考えて観るものじゃないな
と今回、改めて思いました。

細かい場面で、私も不満はたくさんありましたが、
あんな自然にイイ涙流させてもらっておいて
悪い評価はつけられないです。

「そこでタバコ吸うなよ！」というツッコミはさておき、
それが“二郎さん”なんだな、と。
庵野秀明氏の声も含めて納得できました。
声優に関してもいろいろ言われていますが、
私は庵野さんでよかったと思います。
確かに、演技としては下手だったことを、私も否定しませんが、
少なくとも監督が「この声でいきたい」と思ったのは
理解できました。
ベテラン声優が余裕の演技で声を当てていたら、
また全く違った映画になっていたでしょう。
私の中では「傑作！」から「うん、まぁいいジブリ映画だね」に
評価が下がっていたと思います。


私は結局「世の中矛盾だらけだよね」、という映画だと思ったんですが、
そんな映画を撮れることが許されるのは
やっぱり宮崎駿しかいないわけで、その結果こんな名作が出来たのなら
文句も言えないな、というのが本心です。
宮崎駿個人に関しては、私は好きでも嫌いでもないです。
ただ、興味深い人だな、と思っています。

戦車は好きだけど戦争は嫌いとか、映画は好きだけど客は嫌いだとか。
それは誰にでもそう矛盾はあるけれど、許されないことで、
それがようやく許されている人にしか作れない映画だから、
他とは違った良さを感じたのかな。
若い頃、作りたいものと売れるものの違いに散々悩まされてきた監督が、
ああ、70越えたらこういうものを作るんだな、と思いました。


色々書きましたが、
とにかく良かったです。
観終わった後で色々読んだんで
ちょっと初見とは気持ちが違うかもしれないけれど、
それも怖いもの見たさ(笑)で
もう一度観に行こうかな、と思っています。