2010年05月17日
会議終了、それは一ヶ月間の解放を意味するものだった。
絞られるという予想は見事に外れ、何も無かったかのように時が流れていった。
自販で煙草を買ってお釣りが100円多かった時には死を予感したほどだったが、
文字通り何事もなく終わったのだ。
「俺のターン…、ドロー」
静かに、そしてはっきりと宣言する。
プロジェクトがまた一歩前進した瞬間だった。
遡ること前日、彼は神妙な赴きでパソコンの画面と対峙していた。
折しも翌日は遅番ということもあり、気がつけば時計の針は深夜2時を指そうとしていた。
表向きはいっぱしの契約だが、まだ口約束の域を出ていない。
直前でキャンセルをくらう可能性は十分すぎるくらいある。
〆切を大まかに設定したことで、彼の不安は余計に大きなものへと変わっていった。
時計の鐘が鳴り、半ば諦めかけたその時、一通のメールが届いた。
目を疑った。
寝ぼけているのかと思った。
むしろこれは夢なのではないかとさえ思った。
万が一が無いようにと、アドレス帳に登録した人物からのメール。
胸が高鳴り興奮が抑えられなくなった。
落ち着こうと外へ行き、煙草に火をつける。
手の震えが止まらない、これは一体なんなのか。
期待と不安、双方がまさに交差を繰り返し頭の中を巡る。
部屋に戻り、ゆっくりとメールの画面へ。
タイトル 「デザインラフアップしました」
もはやこれが現実だろうが妄想だろうがどうでもよくなっていた。
メールを開き、内容を確認する。
数時間後、彼は返事を送った。
これで後は待つばかり。
今月の後半には発注した外装パーツも揃う。
来月には完成したイラストが届く。
これが夢ならもう少しこのままでいたい。
本当にここからは自分との戦いとなる。
仕事でのミスは許されないし、イレギュラー対応も迅速にこなす必要がある。
早いのか長いのか、時間の感覚も既に曖昧になってきている。
ただ、
これは必ず完成させる。
その思いだけが、今の生きる理由なのだから。
Posted at 2010/05/17 02:31:41 | |
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