
題名:日本の武将 52 蒲生氏郷
著者:今井義孝
出版社:人物往来社
蒲生氏郷は、結構好きな武将だ。戦上手や人使いの巧さも良いが、僕には皮肉屋と云うかドライな言動に魅力を感じられる。幸田露伴、海音寺潮五郎が史伝を書かれており、其れらは既読であるが、意外と学術書としてまとめられた本は少ない。
本書の記述は、「氏郷記」によるものが殆ど。通説や有名なエピソードの類いは、此処からの出典が多いようだが、此の書の信憑性についての言及が欲しかった。既存の史料のまとめと云った感じで、適度にエピソードも交えており、読み易い。
信長に仕えていた頃は、蒲生氏は柴田勝家の与力だったと云う(勝家が越前転封後は、与力解除)。此れは、知らなかった。
葛西・大崎一揆の件は、蒲生側(氏郷記)と伊達側(貞山公治家記録)で、記述が異なる。著者は、蒲生側の記述が正しいとしているが、此れは僕も同意である。どうやら氏郷は、茶会で伊達政宗から毒を盛られたようだ。
また、一揆の原因のひとつである太閤検地についても、「封建権力の直接的な農民支配の意図」とあり、此れも勉強になった。農民から直接年貢を受け取っていた土豪、国人を排除して、兵農分離、近世的社会秩序を確立させて行ったと云う。
無難にまとめられた本ではあるが、一寸した発見があり、読んで良かったと思う。
本日は此れ切り。
Posted at 2009/09/03 23:35:27 | |
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