2013年04月10日
心理学・人間工学的にモータースポーツの上達を科学する
今日は自分の研究も含めて心理・人間工学的にドライビングインフォメーションについて書いてみます。
初心者~中級者向けに、読めば「速くなる糸口に気づく!」を目標に書いてみます。
<<インフォメーションとは?>>
ズバリ情報のことです。
一般道における運転は9割が視覚によるものだと言われており、逆に言えば目だけ見えていればちゃんと走れる、という前提の下にあります。
シートにどのように座っても、音楽を爆音で流しても、何事も無く運転してる人を見かけますよね。
さて、ここで問題です。
サーキットを走ったことがある方にお聞きしますが、あなたはサーキットを走っている状態で耳栓をしたら、今まで通りちゃんと走れる自信がありますか?
続いて、もう1問。
革シートの車でサーキットを走って、今まで通り走れますか?
僕は両方ともNOです。
確かに走れるとは思いますが、無音状態で走ったら確実にタイムは落ちます。
革シートの車で走ったらズルズルと滑り、怖くて無音よりもはるかにタイムは落ちます。
一般道におけるベテランドライバーが運転しても、昨日免許取った少年とサーキットのタイムが大きくは変わらない理由はここにあります。
つまり、根本的に一般道とは違い、サーキットは視覚からのインフォメーションだけで走ってるわけでは無いということです。
これ、非常に重要なことです。
サーキットで速く走ろうと思ったら、どこを見るということも大切ですが、それと同じぐらいどうやって視覚以外の部分からインフォメーションを得るのかよく考える事が大切です。
<<視覚以外のインフォメーションとは?>>
ドライビング中に得るインフォメーションは主に下記の2つです。
・G(触覚)
・ステアリングインフォメーション(触覚)
・スキール音(聴覚)
・エンジン音(聴覚)
まずは、サーキットでは触覚と聴覚を使って走るというイメージを持ちましょう。
その中でも、触覚が何よりも重要です。
なぜ、聴覚が触覚と比較して重要ではないのか?
それは、事実が証明してくれます。
雨の中、プロドライバーが全開で走れるのはGセンサーとステアリングインフォメーションの取得が早いからです。
スキール音がほぼしなくても、エンジン音が無音のような電気自動車でも、この2つが発達していれば基本的には速く走れます。
つまり、スポーツ走行における初心者の人と上級者の人の大きな差というのはGとステアリングインフォメーションの取り方をよく知らないということです。
<<Gセンサーとステアリングインフォメーションを学ぶには?>>
Gセンサーとステアリングインフォメーションをより多く、ダイレクトに得る、これが上達の秘訣であると言ってのけます。
では、どうするか?
解決策は3つあります。
Gの変化をよりダイレクトに得るために下記の3つを最低限装備しましょう。
・フルバケットシートを入れる
・4点以上のシートベルトを入れる
・ハンドルを純正から社外に変更し、自分にあった太さ・パイの物を選択する
フルバケとシートベルトは、体を車に縛り付け、車体との動きを体にリンクさせるために必要です。
車が変な動きをした時、自分の体にもそれが伝わって来なければいけません。
車体と体がグラグラな状態で正しいGセンサーが働くでしょうか?
ハッキリ言ってNOです。
マフラー交換やエキマニ交換などのパワーアップ系チューニングよりも、まずはGセンサーを磨くための装備をしっかりしましょう。
続いて、ハンドル交換をして、ステアリングインフォメーションを増やします。
ハンドル交換でステアリングインフォメーションが変わるのか?という疑問もあるかもしれませんが、確実に変わります。
純正のハンドルにはエアバッグや必要以上の大きさのホーンなど、多くのサーキットで走る上では余分なものが付いています。
これを外すことで、ステアリングインフォメーションの取得が早くなります。
これらの装備をした上で何よりも大切なのが反復学習、いわゆる練習になります。
我々は「サーキット走行の練習で何を得ているのか」という事に対する大まかな答えは、「特定のコース・場所で発生するGとステアリングインフォメーションを蓄積している」ということです。
タイヤが逃げていく動きを身につけ、それを一歩手前で操作するわけです。
しかし、多くの人がこういった触覚でのインフォメーションを軽んじるあまりに、4点シートベルトの不装着、純正ステアリングでの走行を続けており、本人は練習走行になると思っていても、実は単純に度胸だけついたので速くなっているだけに過ぎない事が多々あります。
<<アンダーステアとオーバーステアを知る>>
前輪の情報はステアリングインフォメーションから、後輪の情報はGセンサーから入ってきます。
これ、必ず覚えておいて下さい。
つまり、アンダーステアが生じた!というのステアリングインフォメーションからアンダーステアの動きが感じられた時にわかります。
続いて、オーバーステアが生じた際には腰からのGセンサーによりわかります。
アンダーオーバーを理解することは非常に大切ですが、アンダーオーバーはどこの感覚器官で感じているのかハッキリと覚えておいて下さい。
よくオーバーステアになりスピンしてしまうあなたは、もっと車体に車をガッチリ固定して、腰に意識を向けて走って下さい。
逆に、アンダーステアを出しすぎてしまうあなたは、ステアリングをスポーツ走行向けのものに変更し、ギュッと強く握った手の力を抜いて走行し、ステアリングインフォメーションに注意を向けてみて下さい。
<<見本はカート>>
カートに乗った事がある方はいらっしゃいますか?
カートは走るために余分なものが付いていません。
走るために特化したものだけが付いています。
そのカートに、パワステやフカフカなシートはありますか?
ありませんよね。
残念ながらスペースの関係でシートベルトはありませんが、少し大きくなってフォーミュラマシンになると必ず付いています。
<<最後に>>
このように触覚で走るという事を書いてきましたが、やはり何よりも大切なのは視覚です。
目がよく見えていないとちゃんと走れるわけはありません。
ちゃんと見えるというのはコースが漠然と見えるのではなく、鮮明に見えるということです。
目標物までの距離をしっかりと測り、それに対して適切にブレーキングやアクセル操作を行わなければなりません。
そのため、まずはあなたの目が悪かったらコンタクトなりメガネなり、ちゃんと自分に合う物を用意しましょう。
目がしっかりと見えれば、とりあえずコースを走ることは出来るようになりました。
では、次は速く走るために触覚によるインフォメーション取得を目指しましょう。
フルバケットシートを入れて、4点シートベルトで体を全く動かないようにして、ハンドルを軽量・小径で回しやすいものにしましょう。
あとは単純に手のインフォメーションと腰から伝わるGの様子に意識を向けて走って見てください。
以前より、上達の度合いがグンと上がるはずです。
苦手なコースやコーナーがある方、目で走るのではなく、手や腰から伝わるタイヤの情報を信じて走ってみましょう。
きっとタイムは大きく上がるはずです。
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Posted at
2013/04/10 01:19:05
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