
狭くて深い知識を得る為に、時間と小銭をかけている自動車ヲタの独り言です。今回はロータリー編。
2007の年末から騒いでる
16Xがなかなかリリースされません。Wikipedia にはリーマンショックで開発中止と書いてあったりします。
......次期7はしばらく出そうにないですね。中の人の言い分もあるでしょうが発表前に13B-MSPでもうひとつ、純スポーツカーを出しても良かったんじゃないかなぁと。16Xの話を出した時点で13B-MSPの立場が微妙になる訳です。唯一の現行ロータリでありながら旧型扱いされてしまうというかなんというか。ま、とにかく待てずに他社に乗り換えたおっさんの戯言です。
おんどりゃぁっと借金の大海原へ漕ぎ出したらそこには別世界が広がっていた訳で、それはそれで有り難いことです。人と車の関係だって(期間は長いが) 一期一会だと思います。修行です。
16X開発再開祈願(?) 初期型13B-MSPオーナーがちょこちょこメモっておいたロータリーエンジンについてのコメントをまとめてみました。
#まだオーナーなんで単純にDisってる訳じゃないですよ。愛です。愛。
■ほんとに高回転型?
おむすび形状から1個あたり3気筒分の働きをするローターですが、エキセントリックシャフトの回転数がローターの3倍に増速されている結果をタコメーターで読んでる訳で、実際レッドゾーン8000rpm!という状況でもローター自体は2700rpmでしか回ってません。おむすびの質量から考えてそれがとんでもない事なのは重々承知の上ですが、なんとなくJAROに電話したくなる真実の姿。
11/30に買ったヤンマガのC1ミッドナイトランナーで楠みちはる氏が思いっきり間違ってました。しかもメインストーリーに関わる誤解ってんだからアチャー。色々詳しい作者すら間違って覚えてる。このメーター読み値、エキセンのギア比次第で増速も減速も可ですよね。ファイナルもあるからほんとタコの表示だけが変わるんで意味薄い? 今現在は毎分爆発回数/ローター毎 を正確に現しているってとこでしょうか。
■熱効率への疑惑
エンジンルームが異様に熱いです。100km/h 弱でのクルージングでの話ですがエアコンOFF、設定温度最低(18度C)で外気導入のままファンを回すと気温が低い冬場でも「もあーっ」とヌルい風が。走行風が充分あたっていてもこの現象。断熱失敗のハズレ個体か? あもう少し出せれば涼しくなってくるのですが。
で何らかの不具合?とボンネット開けてプラスチック製のカバーを取ると、顔で感じる輻射熱がもう桁違い。Z32(NA)のVG30DEよか明らかにアツい。V型エンジンの赤外輻射は吸排気の取り回し都合で主に外側(下側)向きなので顔を照らす赤外線は比較的少なかったです。ロータリーでも燃焼室は下側の筈なのですが、溶鉱炉とは言わないがもう照らされる熱のレベルが違います。出力に変換したいエネルギーが逃げてるのかもと素人に邪推させる熱さでした。
■触媒がぁ
排気温度が上がるような事をして遊んでると(ブザーをプープー言わせてると)、すぐに触媒警告ランプが点灯。それ以降消灯までじっと我慢の子に。排気温や圧力を回収するデバイスが(すぐに思いつくのはターボなんすけど)ついてるといいなぁと。断熱膨張すれば排気温も下がるんでしょうけどね。デバイスをつけたら排気温が下がるかどうかを知らないで言ってるのですが、とにかく触媒のせいで踏み切れないジレンマがあります。
バルブが無い→回しやすい→高回転→触媒を始めとする補機類への熱負荷、近づく低燃費という流れですね。
■アイドル燃費悪っ
アイドル時のA/Fは9という実測結果が!どんだけリッチなんかと。踏み始めの極初期にHC、CO発生しまくりとちゃいますかね。(この実測値は13B-MSPじゃない模様)
■ブロックの温度勾配ヒドス
REは機構上低温の吸気室と高温の燃焼室が分離して(位置が離れて)いるため、吸入行程で着火してしまう所謂バックファイヤーが起こりません。これは水素ロータリーなど引火性の高い燃料を焚く場合はメリットになるのでしょうが、ブロック内に大きな温度勾配が継続して存在し続けるという意味では長期信頼性上、疑問符が。
大き過ぎる温度勾配は局所膨張率の差を生みますので設計、頑張んないとですね。冷間での組立は経験というか予測を入れてかないと難しいんだろうなぁ。
■16Xの明日はどっちだ その1 ロングストローク、ボアダウン
まず第一にロータリーを語る上で今現在13Bがスクエアなのかショートストロークなのかを知る指標はあるのでしょうか。l/e(気になる人は上記リンク参照)はどうみても1近辺じゃないですよね。相対比較しかできないです。13Bと同じペリトロコイド曲線のまま(ストロークFIX) で幅を増やせば(ボアアップ) すぐ排気量は上がるけど排気量あたりのトルクが薄い現状は変わらんでしょう。サイドポートでは燃焼室の幅を増やすと掃気しにくくなるという不具合もあるし。これらの観点から16Xでは(レシプロで言う所の)ロングストローク化が始まってます。ロングストローク化(一回り大きなまゆ曲線と大きなローター)してトルクを上げる狙い。で、回転系の質量を増やしすぎない様、掃気ができるようにと(?)幅を減らしてます。(ストロークアップ、ボアダウン) 結果、排気量は1308から1600(800x2)へ。16Xという名称にも納得。外形がでかくなる→円周が幅に対して長くなって燃焼室形状が長くなって改善。これで熱効率は上がるって書いてあります。だからトルクが改善して燃費も良くなるんでしょう。
しかし回転系の質量上げて大丈夫? 偏心量を増やす=スムースな回転から遠ざかるということでもありますし、摩擦による発熱を回避するために周速にも限度があるから上まで回らないロータリーなんてものが出てきそう。
■16Xの明日はどっちだ その2 直噴テクノロジー
ガソリンにこだわらなくてもいいし直噴は色々出来ていいですね。
■16Xの明日はどっちだ その3 アルミ製サイドハウジング
まゆ曲線はデカイが肉は薄くしますよ、ってことでエンジン外形は大型化しない宣言が。上にも書いてますが「熱がぁ。逃ぃげるぅ」状態がくるのではと思います。ロングストローク化で相対的に燃焼室を細長くしたので熱効率が上がるって書いてあるけどハウジングが薄肉だったらルームを暖める暖房器具になってしまうという別の側面もある訳で。そして大きくアルミ製とうたわれてるサイドハウジングですが、ローターもオニギリも鋳鉄のまんまです。思わず涙。
と、一番のトピックはマツダ製ロータリーの長い歴史でもまれなペリトロカーヴの見直しとその大型化回避技術なんでしょうがこのまま出てこないとほんと幻のエンジンとか呼ばれそうです。お蔵入りって設計者の怨念が恐いなぁ。(担当分野によってはホッとしてる設計もいたりして。何それ恐い...)
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RX-8 | 日記
Posted at
2009/12/04 12:51:08