carviewさん主催のMichelin PilotSport3 スペシャル試乗会に参加してきました。本当はタイヤを履き替える際の判断材料にこのイベントを活用しようと思っていましたが、台風が先に来てしまったのでタイヤは既に交換してしまいました。購入したタイヤはPilot Sport3です。なので、今回のイベントの目的は自分が時間をかけて決めたこのタイヤの選択が正しかったことを実感して自己満足を深めることに変更となりました。
場所は千葉県にある袖ヶ浦フォレストレースウェイというサーキット。
午前中は放水して擬似的に作ったウェット路面での時速70km程度からのフルブレーキングとパイロンスラロームです。
パイロンスラロームは途中からドライ→ウェット→ドライと連続して路面コンディションが変わる物で、非常にグリップの変化があるかないかを判断するには良いなと思いました。
車種はVWのGOLF 1.4リッターのコンフォートラインとVW GOLF GTI 、AUDI A5の2WDモデル。
想像では、水たまりが出来る程濡れている路面なのでもっと荒くABSがガガガガとかかりその結果制動距離が伸びるかと思ってたから凄いです。
時速70kmからのフルブレーキングは想像より手前で止まることができました。短い距離で止まれただけではなく、あまり荒いABSを感じることも無くABSがきくにしてもスムーズにグッと止まったような印象がありました。
でも、このタイヤ以外を履いた同じ車種で試したわけではないので手放しに凄いとも思えません。前提としてVWやアウディのABSの制御やその他性能が優れているかもしれません。
ちなみに、VWはGTIは1.4のコンフォートラインより完全停止するときに車重の重さを感じがしました。
Michelin Pilot Sport3がウェットグリップにおいて他メーカーの製品より優れていると証明するにはやはり条件を揃えた対照実験をしないと素直に感動しないなとも思いました。でも、ミシュランさんが他メーカーのタイヤを持参して比較することはしてはいけないから出来ないといってたのでしかたないですね。
パイロンスラロームは出来るだけスムーズに速く走りましたが、どの車種もドライもウェットも同じようにグリップしました。自分はあまり路面に注意しなかったので、ドライもウェットも気にせずに同じように走りましたが、車の動きに変化がありません。限界はもっと先にある感じです。中にはわざと大きくステアリングを切ってスキール音を立てながらまるでグリップを破綻させるようにしている人も居ましたが、結局破綻してませんでした。すごいです。
ちなみに、午前中の余った時間で自家用車で同じことをしてもいいということになったので今月Pilot Sport3を装着し、アライメント調整も完了したS2000で同じことをしてみました。
ウェット路面でのフルブレーキングはVWやアウディよりも停止するのにより距離を必要としましたが、それでも十分なウェットグリップ性能だと思います。以前雨の日の通勤中に片側2車線の道路で走行中、前の車が突然車線変更したかと思ったら右側の車線なのに停止している車が目の前に現れたときは止まるのに予想を超えて距離を必要とし、追突するかと思ったことがありました。そのときをイメージすると、ずいぶんと短距離で止まれるなと感心しました。
パイロンスラロームではドライ→ウェットと切り替わったところでウェット路面でリヤが滑り出したのを感じました。でもアクセルを緩めてハンドルを少しもどしてやれば全く問題ないレベルでした。雨の日にこういう運転はしないから十分な性能。でも自分の車で試せて限界がどのあたりにあるのか分かったのは貴重なことです。
午後はサーキットコースでの走行です。
本当に驚いたのはここから。
ここに車ではPilot Sport 3はドライグリップを妥協してウェットグリップ、転がり抵抗、耐摩耗性を高めたタイヤだと
思っていました。
しかし!実際は違いました。
サーキットのコースを走るのは初めてのこと。有り難いことにペースカー付きで、自分のペースに合わせてどんどん速く走ってくれるそうです。
最初に乗ったのはメルセデスベンツC250 Blue EFFICIENCYステーションワゴン+AMGスポーツパッケージ。1.8リッター直噴ターボで204馬力31.6kg・mを発生する。
これがサーキット初体験の車です。まさか初めて走るのが自分の車以外とは思いもしませんでした。
この車のことは忘れないでしょう。
2周コース説明を受けてから直ぐに乗車し走り始めますが、初めて乗る車なので結構ドキドキします。
「え!?こんなスピードで曲がるのかい!?」と思っても自分がこれ以上は危ないだろ?!と感じる基準のラインを超えた速度で当たり前のように駆け抜けていきます。横Gが強くて頭が熱くなるような感じがしました。血が偏ったんでしょうか?
事前の噂ではドライグリップを妥協したPilot Sport 3ですが、頭が熱くなるほど横Gで粘るなんて驚きです。タイヤの幅をあとからみたら255だということが分かりましたが、それにしてもこの車は1600kg以上重量のある重たい車ですからタイヤサイズを加味したとしても粘るなあという印象です。自分のような素人ドライバーならばタイヤのグリップの限界よりも、横Gに耐える自分の限界が先に来てしまいそうです。もっとも車種やセッティングにより変わると思いますが。
ペースカーと同じラインをたどり、同じ場所で減速すれば自然と走れてしまうのでなんとか初めてのサーキット走行の1周目は無事おわりそのまま2周目に突入します。
もっとペースを上げていきます。峠では無かったような複合コーナーがあり、そこでは減速しながらコーナーを曲がり始めるところもあり破綻しないか心配でしたが大丈夫でした。
このメルセデスベンツC250はかなりどっしり安定していて、リヤのグリップの限界も自分が思ってるよりずっとずっと高い車ということが分かりました。
この車ならまだまだ走り続けたかったです。
正直いうと、乗る前はメルセデスベンツはモッサリしていて安全志向でつまらないだろうなとばかり思ってました。実際は、かなり気に入りました。コーナリング時の安定感やステアリングインフォメーションもわかりやすいです。ハンドルを切ると思った通りのラインにのせることができます。更にトルクがあるので立ち上がりもストレス無く加速していきます。ドシッとした安定感がありながらも速いし刺激もあって退屈ではないのでかなり気に入りました。

一方でこちらの車は新型のレクサスGS350。本日一番期待していましたが、全く好きになれませんでした。
ステアリングインフォメーションが希薄でステアリングは軽く、ステアリングから戻ってくる力も弱くつかみどころがないです。また、メルセデスやアウディと比べて車の左右にロールするときの安定感がなくフラつきがあります。
思ったように走らせることはできないし、メルセデスは路面のザラツキを感じられましたが、レクサスGS350ではステアリングインフォメーションが小さいですからかなり怖いです。
一度車がアウトに膨らみすぎてコースオフしかけました(笑)
パワーは300馬力オーバーで申し分ないけど、ハンドリングがこの車を怖いものにしているので、パワー過多がそれに拍車をかけて二度と乗りたくない車になりました。
メルセデスもアウディも乗り終わったときは本当に楽しくてもっと乗っていたかったけれど、レクサスは「怖い、もう乗りたくない」としか思わなかったです。
これは、今日のイベントで知り合った人も殆ど同じことを言ってました。ステアリングインフォメーションがなくてまるでリモコンで動かしているようだと。これが本当にマジメに作った車なのかということに疑問を拭えない様子でした(笑)自分も同感です。
メルセデスが高級車であるのは良い車作りをした帰結だけど、一方のレクサスは高級車ありきのマーケティングが先行で車作りがブランドのための後付けになってしまった感が拭えませんでした。
今日は講師としてレーシングドライバーやモータージャーナリストがいらっしゃいましたが、同乗走行した際にレクサスのことをそれとなく聞いたらやはり「ステアリングインフォメーションが希薄だ」とおっしゃってました。
トークセッションのメモ
●Pilot Sport 3はPilot Sport PS2の後継もでるではなく、スポーツ性能とその他の性能を兼ねそろえている。
●ミシュランタイヤは一点の性能に特化したタイヤではなくトータルバランスが優れている。
●コンパウンドに含まれるシリカがタイヤの温度性能を高めやすくまたグリップする温度域で一定に保つので雨の日でタイヤが冷え易い状況下でもグリップが確保できる。(実際に自分のS2000に履かせているPS3でもタイヤの温まりが早いことは気づいていたからなるほどでした。)
●タイヤショルダーの形状が水を斜めにはじくように直角ではなく丸みを帯びており、結果として耐アクアプレーニング性能向上につながっている。
●耐摩耗性が高く長く使えるのでコストパフォーマンスが高い。
●静粛性が高い。静粛性のポイントのひとつはタイヤ表面の振動を抑えることにあるが、それは同時にタイヤ表面を安定させることでもあるのでグリップ確保にも繋がる。
●転がり抵抗が小さいことは燃費向上につながり、レースではストレートでのトップスピードの向上にも繋がる。
●Pilot Sport 3は特定の車種とのマッチングを意識しておらず、幅広い車種に対応するように設計されている。
今日のイベントは本当に楽しかったです。
自分がPilot Sport 3を購入したことは大英断であったという確信に至りました。
その根拠
1.トータルバランスで他メーカーの同クラスのタイヤより優れていながら唯一心配していたドライグリップ性能については、その限界が自分の横Gのビビリミッターの領域と同じであるためドライグリップに使用上の不足は認められず、唯一の"欠点"は杞憂だったと確認できた。
2.最も重視していたウェット性能について、Pilot Sport 3は非常に優れたウェット性能を持っていることの確信をS2000での実証をもって得ることができた。
3.さらにこのような素晴らしいタイヤが円高の影響の為かイギリスでは同価格帯で取引されているPOTENZA S001より断然安く購入できる。
1のドライグリップ,2のウェット性能, 3の購入金額 に加えて耐摩耗性の高さを考慮するとPilot Sport3の実売価格は
大バーゲンセールと言える程安く、このタイヤは最高のコストパフォーマンスを約束する最高の中の最高のタイヤであるということが分かりました。
したがって、Pilot Sport3を梅雨・台風前かつ円高の今に購入したのは大英断であります。
今日のサーキット走行を経験して、今度はS2000で走りたいと思いました。
本当に中身が濃くて普段体験できないようなことばかりの有意義で楽しいイベントでした。
複数車種(しかも駆動方式が違う)にひとつの種類のタイヤを履かせていろいろ乗り比べるというのは、滅多にない機会でした。
carviewさんとmichelinさんありがとうございました。