最近、ストレスもなく、気が付けば刺激のない生活が続いている。
たまのお休みの日、ふと、
『最近、贅沢してないなぁ。』
と心に浮かぶ。(実はしてます、すみません)
いっちょ散財すっか!?
と心に決め、何をしようか悩むこと数分。
時計は趣味じゃないし、最近車はプレミア付いたりして新たに買うのは控えている。
食事も予約しても2年先とかふざけたことをいうので、近所でいい。
やはり車にしようか、車で贅沢といっても、新品、デットストック、プレミア価格、
ヴィンテージスーパーカーだと気を遣う。
考えているとラジオからニュースが流れて来ていて、
大阪万博の経済効果うんぬん聞こえる。
経済効果とは、簡単に言えば、
「そのことで、人がどれだけ無駄遣いをするか」である。
車でいうと「やっぱり12気筒だよな。」。
「じゃあ12気筒の車にしよう!」
「そうするとスーパーカーになってしまうのかな?」
丁度その頃、「4つ目の倉庫が満杯で、車が溢れんばかりにあるから
何台か持って行ってくれ。」とアニトルから連絡が。
何の車がある?
MTとキャブの車はお断りだよ。
と返答していると、懐かしい車の名前が。。。
それがこの車。
![](https://cdn.snsimg.carview.co.jp/minkara/userstorage/000/067/764/473/847f16a936.jpg?ct=927551d7c02d)
後ろカツカツ(汗)
ジャガー(ジャギュワァ?ジャグワァ)じゃなかった、
『ダイムラー・ダブルシックス』
スポーツカーでもないのに12気筒。
12気筒、大排気量なのにパワーはない。
これぞ究極の無駄。
贅沢の境地ではないかと思い始めた。
しかも昔乗って、ワーストに入る低評価。
今乗ってみるとどうなのだろう???
この間のコルベットといい、ジャガーXKといい、今乗るとまんざらではなかったから、ひょっとすればひょっとするかも。
早速、実車確認。
嫌いな車でも、人の車でも、レンタカーでも、丁寧、大切に使うのがモットーなので、
シートも内装もこの上なく綺麗。
「い、イケてんじゃん。」となぜか東京弁でつぶやき、早速整備を手配。
待つこと数か月。。。。。。。。。
「いやぁ~長かった。。。。。」
室内に入り込む。
コノリーレザーの香りは流石に薄っすらする(かも)。
埃っぽくもなく、パワーウィンドウからパワーシートまでなんでも動くことに妙な満足感を得て、ヨロヨロと生まれたての子猫のように夜の高速へ。
最初はおっかなびっくり、かなりゆっくりと。
12気筒だし、さぞかしいい音がするんだろうと耳を澄ませてみれば、
エンジン音はほぼ皆無。
代わりに聞こえてくる音は、電車のガタンゴトンという音を取り除いた
ヒュゥ~~~~~ンという音。
否、50~60年代のUFOの音に近いかも。
ブレーキは車重の重さを感じて、効きがやや甘い。
シャシーはまっすぐ走っているのに少しだけ頼りない。
猫足と言われるコーナーリングは感激すべきものではない。
同じ年代のベントレーやロールスに比べると確かにスポーティーな感じはする。
慣れてきたので、いっちょ加速してみるか。。。
「ん!?」
スピードは乗るが、あんまり加速しない。
カーク船長
「ミスターチャコフ、エンジン出力を確認しろ。」
チャコフ「出力問題ありません。」
カーク船長「では何が問題か確かめろ。」
ミスタースポック「それよりも船長、タキオン粒子が漏れ出しています。」
「訂正します。すごい勢いでタキオン粒子を消費しています。」
カーク船長「・・・」
チャコフ「やっとワープスピードに乗りました。」
カーク船長「やっとか。。。」
しばし無言のカーク船長。
「・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・」
「なるほどそうか、これが中世期の人々の考える贅沢なのか。」
「無駄に複雑に作られたエンジン。整備にも手間がかかる。
しかもエンジンは12気筒なのに、変速機は旧式の3速AT。
燃費もすこぶる悪い。全ては無駄の塊だ。」
ミスタースポック
「大排気量の、しかも12気筒の複雑な整備性の悪いエンジンをゆるゆると使い、ゆっくり走る前提のセダンボディーに載せ、いかにも効率の悪い3速ATで駆動させる。」
「なるほど、船長、贅沢=無駄と考えると全て計算が合いますね。」
ドクターマッコイ
「この車に多額の整備費用を出し現代に引っ張り出した人間は、頭が悪いのじゃないだろうか???」
カーク船長
「否、そうでもないぞドクターマッコイ。」
「お金では買えない経験、体験こそにお金と時間は使うべきであって、
これぞ真の贅沢と言えるのではないか?」
ミスタースポック
「人間の考えることは分かりませんね。」
「非論理的です。」
空前絶後の3速AT12気筒エンジン。
音こそUFOのような音を響かせているが、この車にはきっと未来はない。
フェラーリやランボルギーニのように希少性もなく、コレクター性もない。
しかし、きっちりと整備されたこの車に、改めて乗れたのは最高の贅沢だと思う。
みんなも購入し、乗ってみたいのなら、きっと急いだ方がいい。
ガソリン用のクレジットカード、JAFの会員証、ビスケットと熱く甘いミルクティーをポットに持って行くことを忘れずに。
(なぜかちゃんとした紅茶はSAには売っていない。)
Posted at 2024/02/11 15:47:34 | |
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