ちょうど秋葉に用事があったので
またレジャラン見てきました。

でも、そこからお客さんに届いてヒットするかどうかはまったく別で。100万部売れている原作をアニメにしたからといって、必ずヒットするかといったらそんなことはないですね。ヒットの本質は、マーケティングとは違うところにある気がしています。
―― 100万部原作であってもアニメにしたときはわからないと。ではヒットの本質とは何だと思いますか?
丸山
それは「見た人が感動した」ということに尽きると思います。ギャグものだったら楽しさ、恋愛ものだったら切なさとか甘酸っぱさ。見ている人にいろんな感情表現がわき出てくるのは、どこか心が動いたということだと思うんですよ。そしてその感動は、マーケティングでは作ることができない。人の気持ちを動かすことは、そんなに簡単じゃないと思います。
―― では、「感動」は何で作られると思いますか。
丸山
ほんと精神論になってしまいますが、スタッフの人たち、あるいはその周りで番組を支えている関係者の人たちの熱意や、作品に対する忠誠心ですね。自分はこれを作りたい、これを見てくれる人に楽しんでもらいたいという想い。計算してウケを狙うよりも、自分たちが面白いと思っているものを、見ている方にいかがでしょうかと提供して、一緒に楽しんでもらえるようにしたいと思って、とにかく一生懸命に創るという心がけですかね。
現場で本当に熱の高い作品を作って初めて、やっと予選を突破できて、その後の決勝大会で入賞、つまりヒットするかどうかというのは神のみぞ知るという。それぐらい人の気持ちというのは解読不能なものだと思います。
―― 最後はわからないんですね。
丸山
本当にわからないんです。僕はもう40本ぐらいの作品に参加させてもらっていて、毎回学んではいますけど、見ている方々に何を届けたら支持してもらえるのか、今でも法則なんかわからない。僕がダメなのか、それが真理なのかはわからないんですけど。
だから、現場や周囲の関係者の情熱が上がりきらないというときは、まず決勝大会にすら行けないと思ってます。
僕はアニメ担当になってある時期から、毛色の違う作品同士をあえて交互に編成することを意識しました。深夜番組枠が4つあるとしたら、その4段編成で男性向け、女性向けと、交互にやってみたり。一般的な考え方としては、同じ傾向の作品を固めて編成するほうが、お客さんの層が同じだから相乗効果が高いと言われていますけれども、そこをあえてシャッフルして。
―― それはなぜですか?
丸山 “食わず嫌い”の話で言うと、男性のアニメファンが、女性ファンが多そうな作品を意外に見てくれたり、その逆もあったりするんです。最近では、「TIGER & BUNNY」(タイバニ)が、女性からの反響が大きくて驚きました。
―― タイバニは、女性には向けていなかったんですか。
丸山
男性だけでなく、女性も応援してくれるというのは、企画された段階では自分はわからなかったんですよ。僕は想定できてなかったですね。一緒に制作している方々の中には、女性ファンも支持してくれそうだと確信している方もいたかもしれないんですけど、自分は企画書段階で言うと、男性を中心に支持してもらえる作品かなと思ってたんです。でも、フタを開けてみたら女性の方の反響が大きかった。
タイバニのときに僕が組んだ編成は、関西のタイムテーブルなんですけど、タイバニ、「DOG DAYS」、「よんでますよ、アザゼルさん」で、一番下が「灼眼のシャナ」の再放送。男子向け・男子、女子・男子という風に組んだつもりでした。フタを開けてみたら、女子・男子、女子・男子みたいになっていたという。
―― “食わず嫌い”を味わってもらった形になったわけですね。
丸山
そうですね。タイバニの場合は完全に“結果的に”、でしたけれども。編成で異なるジャンルを交互に入れていくのは、男女だけじゃなくて、ジャンルもですね。「メカもの」と「恋愛もの」では毛色が全然違うけど、そういうものもわざと枠の中で混合してみたり。あまり近い作風のものが並ぶよりは、バラバラのほうができればいいかなと思っていて。
……でも正直言うと、そもそもこちらが男性向け、女性向けと決めること自体が、実は不遜な話だと思うんです。誰が観ても面白くなる可能性ってあると思うので。「この層にこのジャンルをぶつける」と送り手が決めこんだ瞬間に作品の可能性をせばめてしまうと思ってます。僕はテレビの人間として、男性にも女性にも、若い人にも年配の方にも、もしかしたら誰にでも“刺さる”かもしれないと思って送り出さなければと感じてます。
作品はあまりターゲットを決めないほうがいい。見る方の好みを勝手に決め込まない、ターゲットを決め込まない方が、化学反応が生まれやすいことはあると思います。
―― 化学反応ですか。
丸山
はい。アニメに限らず。だから編成も、アニメに限らずいろんなジャンルを分けないでわざと交ぜてます。バラエティの下にアニメを挟んで編成したり。たとえばバラエティーを見ている人がいて、「あはは、芸人さん面白いな」なんて言っていて、眠らなくて、たまたまそのまま観始めて、「お、面白い」となったらアニメの第一歩だと思うんですよね。来週もそのバラエティーのあとにアニメを見始めたりするじゃないですか。
編成のラインナップを決めるときも、僕とか担当者の好みばかりで選んでいると絶対狭くなるんですよ。局の色ってMBSとしてはまったくいらなくて、雑色のほうがいいんですよね。色がもう雑多にあって、MBSってやっている作品の方向性はよくわからんとか、節操がないとか言われたほうがいいんですよ、むしろ。
―― 実は昨年驚いたのが、Twitter上で、アニメを普段あまり観ない層の人たちが「まどマギ」「タイバニ」で盛り上がっていたことだったんですね。こうした現象をどのようにとらえていますか。
丸山
これも化学反応だと思います。現場の中には予想できた人はいたんでしょうけど、僕には予想できないところでした。アニメ関係者の方からも、「まどマギはもう少しマニア受けするような作品になると思っていたら、そうじゃなかったので驚いた」みたいな話を聞きました。
―― 今は、アニメファンとアニメを観ない層では隔たりがありそうですね。
丸山
そうですね。アニメの場合、“アニメのお約束”を知らないと観てもわからないとか、マニア層とそうでない普通の人みたいな二極化が起きていますよね。それはいろんな分野で起こっていて、ゲームの世界でも、ハードなゲームユーザーと携帯ゲームしか知らない人、みたいな二極化が起きている。
―― こうしたアニメを観ない層、ライト層をどのようにとらえていますか。
丸山
アニメを観ない人たちの中には、アニメというジャンル自体に対して「食わず嫌い」な人も多いですよね。でも、この方たちは「予備軍」だと思っているんですよ。まだアニメのおいしさを知らないけど、一度ハマったら、見て下さる可能性がある人たち。この人たちにアプローチできたら、ずっと熱いアニメユーザーでいてくれる可能性が出てきますよね。
ゲームの世界で言えば、ニンテンドーDSも、最初はタッチパネルが面白くて年配の方までハマったじゃないですか。ゲームに触れるようになった人たちがDSのおかげで激増した。誰でも、好きになる過程で入門編みたいなものを通りますよね。漫画なら「少年ジャンプ」とか。どんなものでもそういう入門編
があって、一歩ずつ徐々に登っていくものだと思うんです。
テレビ局としては、アニメとの出会いと、そこからさらにアニメ好きに昇っていく階段作りもやっていきたいなと思ってます。さきほどの話のように、編成で出会いの場を作るのもそうだし、アニメの場合、子どもに向けるのも大事。いきなりアニメを観せても子どもの頃から観ていなかったら観ないので。やっぱり子どもは大事にしないとだめですよね。
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