
大規模ショッピングモールの駐車場から
エクシーガを発進させた瞬間腹が下ってきた。
小雨が降る中、ポロシャツに、
AEのショートパンツをはいただけの俺は
実家で多用するニンニク料理にやられたせいか
体が冷えたせいか、
腹の運動がすこぶる快調だ。
再度駐車し直して、家族連れでごった返すエスカレーターを
トイレめがけて駆け上がった。
幸い、洋式のブースが空いており、事なきを得たが
自分がしたモノをどうしても確かめずにはいられない。
形状や、色つやの具合から、健康状態を計るのだ。
最近食べたものや、最近の睡眠時間を想い出しながら、御糞の状態を観察する。
消化不良や消化液過多、肉食の多寡、偏食の有無を詳しくチェックし終わって
はい、さようなら、流水洗浄となる。これがいつものトイレパターン。
しかし、今回は、予想外の展開にあっけにとられた。
まず、お尻をざっと拭いて立ち上がった。
公衆便所のウォシュレットはキモイので使わない。
御糞の全体像を眺めて、さて、詳細を分析と思いきや
ズゥイーンと水が流れ始めたのだ。勝手に。
おい、おい、これ、これ、と思ってもさすがに御糞を掴み出すわけにもいかず
流れゆくままに、わたしの健康バロメーターは、水流の渦に藻くずと消え去ってしまった。
あやややややぁ
しばし呆然とした。
大事な検査資料がぁ・・・・
落胆である
大事な一次資料を喪失したが、しょうがないので、おしりを入念に拭く。
ティッシュを放り込むも、今度はどこに流水のスイッチがあるのか分からない。
捨てた紙が便器の水に浮いているままだ。
このままの状態でトイレを出るのは、人間としての尊厳が許さないのでなんとしても
もう一回流さなくてはならない。しかし、慣れ親しんだ、大や小のレバーが見つからない。
はぁ?と思いつつ、便器のあちこちの
デッパリを押すという行動に出るはめに。
黒い部分や、丸い形のプラスティックの部品の上部を、かまわず押してみる。
最近のビデオは扱いが難しいとか言って、まったく操作方法を憶えようとしない
高齢者のことを想い出し、なんとなく、気持ちが分かるような気がした。
流れてしまった、俺のウン君、自分の体から出た、自分のバロメーター。
何かに似ている。・・・これは、なんだろう?
過去の恋愛のことだろうか?
過去の恋愛を詳しく検分しようと思った瞬間、その記憶は消されたw
恋愛の記憶が最新型の水を極力使わない便器に吸い込まれるように、流されてしまった。
茶色のうねりが、渦となって小さな穴に吸い込まれた後には、まっさらな陶磁器のような
便器だけが、残りました。・・・・・
なんとなく、そうであったら、さっぱりしているが、違うよな。
これが、過去の恋愛なんかであるはずがない。過去の恋愛はあっさり流れて消えないし
その後に、きれいな陶器の白も見せてくれない。
これは、なんのことだろう?・・・・・・・・
美味しく頂いた食べ物が、胃や腸を通って
自分には到底意識出来ないレベルで漠然と体の働きの基礎になってくれて、
最後に排泄というかたちで俺達の目の前に帰ってくる。
自分の頭で、消化出来たのか出来ないのか、その生活の時間が
血肉となったのかならなかったのか良く分からない日常生活の中で
過ぎ去った時間と記憶をすくい上げながら、文字化していく。
これは、
ブログだ。
日常生活の色々な経験と活動が一定の時間を経て、ブログというかたちで
終わったモノとして、自分がキーボートに紡ぎ出していく。
その、私的個別性、日常性、反復性が、やはりブログなのだろう。
俺はだから、今回、そのブログのせっかく書いた一回分の文章を
あっさり、ディリートしてしまったというわけだ。
そう思ったら、なんだか、腹もかなりスッキリしてきた。
最終的に、悲しい哉、大や小のボタンは見つからなかった。
もう、一回、お尻を拭いたトイレットペーパーが漂う便器の水を流すために
苦肉の策に出た。ショートパンツをはいたまま、便器に30秒程座った。
立ち上がると、あっと驚く程少ない水量と音量で、便器の水は吸い込まれ
真新しい水と陶器の美しい白が目の前に現れた。
Posted at 2009/09/12 22:31:34 | |
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