先日、子供たちが寝静まったあと夫婦で新聞を読んでいたら「好きそうな記事が載ってるよ〜」と家内から紹介されたものがありました。
https://news.yahoo.co.jp/articles/41d40b3939defdfc8f218a84815be422f0ffa3e6
(我が家が購読している某新聞社のネット記事はログインしないと閲覧できないため、似た内容のネット記事を借用)
日本の自動車産業を支えてきた往年の名車達が次々に生産終了となっている、ていうんですね。
これだけであれば、この業界も寂しくなったよなぁで終わるのですが、そこには久々にココロを踊らす一言が添えられておりました。
『日産の星野朝子副社長は
「スカイライン開発の中止、日産の象徴の開発に幕、という記事が報道されたが、そのような意思決定をした事実は一切ない。
日産はけっしてスカイラインを諦めない 」
と報道を完全に否定した。』
一人のスカイライン乗りとして、また健全なスカG好きを自負する身として、素直に嬉しく誇らしくも思えたものでした。
スカイラインは1957年に初代が誕生して以来、生誕から65年を迎えようとしています。
現行は通算13代目、2013年に全面改良がされた型式“V37”と呼ばれるモデルです。
…とモデルの変貌や歴史等はそこかしこに『信者』的な方々が解説されていますし、それこそ
Wi◯ip◯diaら辺に詳細が書かれていますので割愛。
ここでは、現行スカイラインに対する一個人の所感を書いてみたいと思います。
2021年現在における自動車業界は、ごく一部のメーカーを除いて軒並み厳しい対応を迫られていることは周知の事実かと存じます。
理由としては『環境への対策』 『安全対策』などの社会的な側面や『世間の車離れ(特に若い世代)』 『趣味・趣向の多様化』 『個人尊重主義』といった消費者自身の価値観の変化、などが挙げられるのではないかと。
そうした世の中に求められるクルマ像といえば、2000年代初頭からブームが沸き起こった“ミニバン”がその筆頭となるでしょうし、『趣向の多様化』に応えるカタチで、単なるミニバンでは満足のいかないアクティブな層には“SUV”がピッタリあてはまる。という構図が理解できます。つまり、“持つこと主義”から“使うこと主義”にユーザーの思考が変化した、と言い替えることができると思うのです。
この変化に応じて、各メーカーは様々な『使って便利なクルマ』を世に出し続けています。実際、我が家で活躍中のスペーシアですが、まだ幼い子供2人を育て中な親目線で、乗り降りのしやすい低床スライドドアの軽自動車(所謂スーパーハイトワゴン)は日常のアシとしては何一つ不満は感じませんし、当時、同車を購入の際に大きな決定権を握っていた家内も『「気の利いた収納スペースがあり小回りが利き隣の車へのドアパンチの心配が無いスライドドア」という条件が自家用車として必須項目であり、逆にそれが備わっていなければもはや買う価値が無い』とまで言い出した始末です。
上記の様な感覚の消費者が大多数を占める中で、記事にある“往年の名車”が世の変化に追従できず長い歴史に幕を閉じることは仕方が無いとは思います。ですが、やはり純粋なクルマ好きとしては、そんな報道を見る度に残念な気持ちになってしまうのです。それが車好きの心情、というものでしょうから。
そんな心境の中での、冒頭の一文。いや〜、目頭が熱くなりましたね。
でも正直なところ、現行を含めた俗に言う第三世代のスカイラインには近年まで一定の距離を置いていました。
なぜか?
今から遡ること20数年前。間もなく中学生に進級しようとしている
ク◯◯゛キ芋スカ少年は「YOU REALLY GOT ME」に乗って華麗に横流しをキメてくる銀色なセダンのTVCMに堪らなくシビレておった訳です。
(ご存知の無い方はY◯uTu◯eで調べましょう)
“こんなカッコエェ車がニッポンにあるだなんて…!!”
(いやマジでカッケェーわ!!)
と心底、1998年にデビューした10代目
“R34”に惚れ込んでいたんですね。
(じゃあ何で乗っとる車がR30なのよ、という話はココでは置いといて)
それから約4年後。心から愛するR34がフルモデルチェンジするという事実を、デビュー前に放映されたプレCMで知ることになります。
“サンヨンがこんなにカッチョエェんやから、次の型はもひとつカッチョエェに決まっとるがな!!”
(辛うじて)高校進学を控えた芋スカ少年はその日を心待ちにしていたのです。
そして迎えたデビュー後のCM…!!!
『………ウソやろ、、、、orz』
(いやマジで見た瞬間にツイートしました。嘘やと思う方は兄貴に聞いてみて下さい)
(乗っておられる又はおられた方、本当に申し訳ありません。あくまでも私感ですのでどうか聞き流して下さい)この変貌ぶりに心の底から落胆し、同時にスカイラインの歴史はR34で終わってしまった…と真剣に落ち込んでしまった訳です。
以来、以降のスカイラインに関しては全く興味を示さなくなってしまいました。
ん・で・す・が
上で述べた通り、近年相次ぐ往年の名車が歴史を閉じる中、その厳しい環境下でもゼッタイに終止符を打たないという姿勢を貫く現行スカイラインに、そして日産自動車に、少しずつ感謝の気持ちをもつようになってきたのです。
もはや売れない車を作る事など悪の所業とされる風潮であるにも関わらず、よく残してくれた!という思いが日に日に強くなっているような気もします。
その恩返しとして、本来なら自らが購入して少しでも存在意義の足しにしてもらいたいところですが、到底手の届くようなシロモノでは…

(パールな400R、カッコいいですよね…
買えませんけどね……)
でも一方で、現行のV37型がスカイラインと名乗らなければ恐らく1ミリも興味を持たなかったとも思うのです。実に身勝手な思考回路である事は重々承知であるものの、やはりネームバリューというものはそれだけ大事なものなのだと再認識する次第であって。
スカイラインは長い歴史の中で、歴代それぞれが持つ個性で成り立っている部分もあれば苦しんでる部分もあります。特に、根強いファンからは、その度合いが強いほど第三世代以降は散々な評価しか与えられず、正に悲運なモデル達と言っても過言ではないでしょう。
しかし見方を変えれば、近年のスカイラインはある意味で原点回帰したとみなす事もできるのです。元を辿れば初代はグロリアと兄弟車だった訳ですし、そもそもスポーティなイメージは39番の54Bが生沢徹のポルシェ904をブチ抜いた瞬間に芽生え、以降の歴代GT-Rが築いていったもの
(むしろこの過剰なイメージが車のコンセプトをブレさせたとも個人的には思うのですが)
ですからあくまでも本流は優れた運動性能があり乗員を快適に速く運べる車であって、レースで勝つ事のみがスカイラインに与えられた使命では無いと思うんですよね。
エンジンが直6じゃ無いとか、丸テールが無くなったとかフェンダーにGTバッヂが無いだとかムダにデカくなったとか丸くなったとか…etc(かつての私)
そういうユーザーやファンの固定概念こそが、名車の歴史に終止符を打たせるという事に気が付きました。これだけの長い歴史のなか、その時代に合わせた変化は生じて然るべきであって、本物のファンであればその変化を否定せずそれはそれで受け止めるものなのだと。
批判を恐れず敢えて書きますが、私自身は今のスカイラインは『必要な無駄』だと思っています。たとえ売れなくても存在する事に意味があって、メーカーのブランドアイデンティティーを確立する上では重要な位置にあるはずなんです。フェアレディZなんかもその位置付けですよね。
伝統を捨てて、需要に応えるだけで儲かる企業になることは簡単です。でもそれと引き換えに今まで築き上げてきた歴史であったりブランドイメージが無し崩しになってしまい、ますます世間の車離れが加速してしまうような気がしてなりません。
『変えなけれならない事、変えてはならない事』
それを見極めれる企業こそが選ばれる企業になると信じております。
企業である以上は儲けなければならないので綺麗事だけでは済まされない部分もあります。でもやっぱり一定の車好きが居てこその自動車業界という思想も、どうかメーカー様は持ち続けもらいたいと切に願っております。
同時に、こんなに人を幸せにできる車であるという事も忘れずにいて欲しいとも思います。
今後もスカイラインは好きですし、これからも応援し続けます。
(とは言え家内からは儲けが無いなら廃止も止むなしとバッサリ切り捨てられましたがorz)