一昔前の日本車は、馬力ばかりに気をとられて低速トルクをないがしろにしていましたよね~。
はるかに低馬力の輸入車に置いていかれたり・・・。
最近は低速トルク重視のエンジンが増えてきましたが、逆に上が伸びなくなることも・・・。
馬力は下の式で計算されます。
馬力 = トルク(Kg・m)×回転数(RPM)X 2π / ( 75 X 60 )
トルクと回転数の掛け算なんですね。
なので、個人的にはあまり『馬力』という数値には大きな意味はないのかなぁと。
この式を見れば分かるように、馬力を上げるには3つの道があって、
1つ目は、トルク値はそのままに、より高い回転数までそれを維持すること。
2つ目は、回転数はそのままに、トルク値を上げること。
3つ目は、トルク値も回転数もあげること。
まぁ掛け算なので、とりあえすどちらかが上がれば馬力は上がります。
つまり、いかに大きいトルクを高回転で発揮するか?
これが『馬力』の正体です。
一世を風靡したテンロクスポーツが年々高馬力化していったのは、トルクの発生回転数を上げていったからですね。
先ほど述べた、いかに大きいトルクを高回転で『発揮』するかという話です。
最近のターボ車は若干違いますね。
最大トルクは3000rpm以下の低回転で出ちゃいますので、それをいかに高回転まで『維持』するか、
という話になってきます。
実は、これが一番如実に表れているのが、我等がフォレスターなんですよ。
上の表は、SF、SG、SH各モデルの最高トルク発生回転数でのトルク&馬力と、
最高馬力発生回転数でのトルク&馬力を示しています。
それぞれ、上式にトルクまたは馬力を代入して、もう一方を算出してます。
皆さんご存知のように、一番馬力が大きいのが最初期型のSFで、250馬力あります。
最高馬力発生時のトルク値は28.7kg・m。
で、マイナーチェンジで240馬力に落ちましたよね。
でも、最高馬力発生時のトルク値は28.7kg・mで同じなんですよ。
この10馬力ダウンは、単に発生回転数が6250rpmから6000rpmへ250回転落ちたせいです。
次に、フルモデルチェンジしたSG型。
これまた馬力が減少して220馬力。
それでも、最高馬力発生時のトルクは28.7kg・mでSF型と同じです。(^^;)
ということは、これも発生回転数が6000rpmから5500rpmへ500rpm落ちたせいですね。
ただ、最大トルク発生回転数も500rpm下がっています。
つまり、SG型はSF型のトルク値をキープしつつ、単純にトルクバンドを500rpm下げたので馬力が下がっているんですね。
なので、一見20馬力のパワーダウンのように感じられますが、トルクで見れば全くダウンしていません。
SH型はこの2モデルからは少し根本的に手が入っているようです。
最高馬力は230馬力でSG型より上がっていますが、これはトルク値の増大とその回転数の上昇、
両方の結果ですね。
ただ、トルクバンドは高回転化せずに、むしろ最大トルク発生回転数を700rpm下げています。
つまり、より下からトルクが出て、それを高回転まで維持するようなエンジンにしたんですね。
SH型の大型化には、これくらいしないと動力性能を維持できなかったんでしょう。(^^;)
もう1つ分かりやすい例が、GRFインプレッサSTI AラインとBRレガシィGTで、
この2車は同じエンジン、同じ最大トルクなんですが、馬力が15馬力違います。
これも、最高馬力を発生する回転数の差です。
スバルのHPで見比べていただくと分かりますが、このエンジンは完全なフラットトルクで、
ほとんど同じグラフを描くんですが、レガシィの方が400rpm早くグラフが落ち込んでいます。
つまり、インプレッサの方がもうひと伸びするおかげで、300馬力に到達するんですね。
というわけで、普通のGRFと、GRFにBRレガシィのエンジンを積んだ車で0-400をやったとして、
本物のGRFはレッドゾーン-400rpm縛り、レガシィエンジン車はレッドゾーンまで使用可、
なんて条件にしたら、全く同じタイムになるでしょう。(^^)