2010年11月11日
VTR1000F
『 VTR1000F FIRE STORM 』
ホンダが97年から07年（国内は03年）まで生産、販売していた大型自動二輪。
このバイクの最大の特徴はエンジン、又そのエンジンから成り立つ機構だろう。
エンジン、フレーム、ラジエター、この3つがこのバイクの個性となるだろう。
『 エンジン 』
1000ccの水冷90度Vツインエンジンを搭載する。
90度バンクのVツインエンジンを搭載する機種としては最大排気量を誇る。
VツインというのはV型2気筒のこと。
V型というのは2つのシリンダーがV型に開いて設置されいる為。
バンク角は理想とされる90度。
クランクピンを共有でき、理論上一次振動を無くすことが出来る。
Vツインの特性としてはとてもトルクが豊か。
しかし、1つのシリンダーが500cc
ボアには限界がある為、どうしてもストロークが長くなってしまい
アイドリングからの発進はマルチのようにはいきません。
また1サイクルの間隔もマルチよりも長く不等間隔爆発なので、
後輪は蹴って押し出しているような感覚があります。
一般的にVツインはトルクがあり加速が有利と思われがち。
しかし実際に乗っていてトルク感はあるが、
アイドリングから発進は正直不安感があります。
メーカーのコンセプトも発進加速ではなく、
『 TOPロールオン加速VツインスポーツNO.1 』
というものをコンセプトに開発したそうです。
これはトップギア80km/hの巡航時に、
スロットルを全開にして400mに達するまでの加速性能。
グラフからすると当時ホンダの最速機、ブラックバードより
100m付近では2.5m先行でき、280m付近まで抜かれない加速。
CBRには100mちょっとで抜かされるみたいですが・・・
とりあえず言えることは、速さを求めたエンジンではない。
絶対的な速さより、心地よい加速感や鼓動感を求めるユーザー向け。
というコンセプトもあったようです。
『 フレーム 』
VTR1000Fには新設計のS.P.L.フレームが採用されている。
S・P・Lはスイングアーム・ピポット・レスの省略。
これは名前の通り、フレームにスイングアームピボットがありません。
どこにあるかと言うとエンジンにあります。
スイングアームシャフトがエンジンユニットを貫通しています。
なぜこのような機構になっているのかと言うと、エンジン形状の影響です。
先程も書きましたが、振動バランス向上の為にバンク角を90度にしています。
しかし、90度バンクのエンジンには欠点があります。
それは、ズバリ大きさ。
狭角Ｖツインエンジンに比べるとどうしても前後長が長くなってしまいます。
しかし、心地よい加速感や鼓動感を求めるとなると90度は外せません。
このエンジンをそのまま載せると重心が後ろになってしまいます。
そこで冷却効率の良いエンジン前に設置すべきラジエターを
無理やりエンジンの横に回しました。
そしてラジエターが無い分エンジンを前に押し出しました。
しかし、それでも前輪荷重が全然足りず46%程しか無いそうです。
解決するにはスイングアームを伸ばして後輪荷重を減らせば良いのですが、
そんなことしたら俊敏な動きは望めません。
アメリカンのような感覚になってしまいます。
そこでピボットをエンジンへ持って行けばいいんじゃね？
という事でS.P.L.フレームという神設計。
エンジン後部をピボットにしたことで前輪荷重は若干増えて47%。
荷重分布が足りなくても、要は安定性が増せば良い訳です。
安定性を増す方法は前輪荷重を増やすと言う事だけではありません。
エンジンをピボットにする事で後輪を伝わる捻じれなどの力は
エンジンを介してフレームに伝わる為、安定性が向上すると言うものらしいです。
これにより、大きなエンジンをバランスよく載せられるようになった。
すごいなー、ホンダさんの意地を感じる・・・。
『 ラジエター 』
上でちょっと書きましたが、ラジエターもこのバイクの特徴の一つ。
これもやはりエンジンの影響から来る。
前後長の大きいエンジンで前輪加重を増やす為、
少しでもエンジンを前に配置したいと言う事からラジエターをサイドに回しています。
横だと風を受け難いので左右2つ。
これは冷却効果だけでなく先程の加重配分や両サイド設置からなる
安定性向上などの効果も狙っているらしい。
しかし、これには大きな欠点があった。
低速走行時の冷却効果が極めて低い。
80km/h以下では全くと言う程冷えません！
待ち乗りでは常にファンが回ります。
夏場はほんとヒヤヒヤしますよ・・・
また後バンクが丁度シート下に来るため、
股間がまさに 『 ファイアーストーム！ 』
とよく言われてますね・・・後は燃費が悪い。
前期型はタンク容量もリッターにしては16Lと少なめ。
下手すると1L=10km前後しか走らない・・・
それと燃料計が無いので結構ヒヤヒヤ見たいですね。
だから、かのぷすはその点改善されてる後期型を選んだのですよ！('ω' *
ともあれ結構マニアックなバイクですが、個人的には名車だと思ってます。
ビッグVツインスポーツというコンセプトこれからはもう出ないんだろうなぁ・・・
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Posted at
2010/11/11 00:50:37
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