
台風一過で半袖では肌寒く感じるほどの午後6時過ぎ、モモと散歩に出た河原は夕日に染まり、東北で今も苦しんでいる被災者のみなさんには申し訳ないのどかな光景が広がっています。
沈みゆく夕日に向かって、モモも何か感じるところがあるのか、思索にふけっているような表情を見せています・・・飼い主の思い込みですが。
私も夕日に目を細めながら、稀代の逃げ馬キーストンに思いを馳せていました。
『夕陽よ急ぐな』は、大の競馬ファンだった故寺山修司のエッセイですが、このエッセイのモチーフが悲運なサラブレッドのキーストンでした。
「キーストンは走りながら死んだ馬である。それは見事な生一致の瞬間であった。・・・全力疾走することによってのみ人々に愛され、話しかけられ、走らなかったときは罵声にさらされた一頭のサラブレッドにとっては、<走ること>は<生きること>だったのであり、その燃焼の最中についに追いつかれて、二万人の見ている前でばったりと倒れたことは、この馬らしい<幸福論>の終焉だったということができるだろう」・・・寺山修司『幸福論・裏町人生版』「逃げる馬の思想」より。
私も夕陽を浴びてちょっぴりセンチになり、今、本棚に眠っていた『この絶妙な勝負の美学 虫明亜呂無《対談・競馬論》寺山修司』(昭和44年5月発行 番町書房)を読み返しています。
Posted at 2011/07/22 22:43:08 | |
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