2009年12月15日
道
今朝、朝刊を読むと、私の書道の師が亡くなったとの記載があった。
師には、私が小学3年の時から、大学1年の夏まで、約11年間お世話になった。
師は、その夏に病気になり、その後は娘のいる横浜に移り住んでいた。
横浜に移住するにあたって、私の学び場所たる書道教室は流れ上閉鎖し、
その後の約7年間はずっと会っていない。それがきっかけで、私は書を学ぶ機会を失った。
そんな師に会うことはできなかったが、葬儀は横浜ではなくこちらで行うそうで、
母が明日の葬儀に香典を持っていってくれる。
その香典に書く名前を私が書いた。
へたくそだった。
いくら事前に別の場所で練習しても、へたくそ。特に苗字がへたくそ。
昔から小文字は得意じゃない。しかも、普段苗字は書かなかった。
情けない・・・。
私はなにをしていたんだ。
せっかく師が私に教えてくれたのに・・・。
小学から中学にかけて皆が教室を辞めていく中、
私は続けていたので、まるで自分の孫のように親切にしてくださった師。
高校に入り、書を芸術として捉えだした私を見て嬉しそうにしていた師。
それからは共に芸術を語り合う真の師弟感を感じたのに・・・。
私はなにをしていたんだ。情けない・・・。
自分の実の祖父よりも話をしたし、教えてもらった、そんな存在。
当然、実の祖父が亡くなった時より何倍も悲しい。
でも、悲しむことは良くない。師は天寿を全うしたのだ。
教えられた私は、そこからなにをできるか学ばなければならない。
よく、師はこう言っていたのを改めて思い出す。
『字は若いうちから書いているだけで、自然とうまくなる』
書を芸術として捉え、芸術を楽しむ。その結果、自然とうまくなる。
師はきっと、私にもっと教えたかっただろうと思う。少なくとも、私はもっと教えてもらいたかった。
ある意味、出会うタイミングが悪かった。
年齢差が親子ほどだったなら、違った出会い方があっただろう。
きっと師はこのことを心残りとしていたにちがいない。
私は思い出す。
師が病気で倒れる直前に、自分の厳選した一文字を色紙に書き、教室の若手に渡したことを。
いくつかある文字から私が選んだ一文字は、
『道』
私は、師が悔やむことないよう、
そして自分がこれ以上師に対して申し訳なく思うことがないよう進まなければならない。
自分の進むべき『道』を。
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Posted at
2009/12/15 23:09:20
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