新婚生活が苦しい。
いや、最高に楽しいはずだけれど。
プロポーズしてから1年待ったのは、えりのご両親からの提案だ。
確かに、彼女を初めて見たその3カ月後には交際を申し込んでいたし、
その半年後には、えりさんをくださいとご両親に会いに行った。
とりあえず結納だけでも交わしたいと、日取りを決め、訪問。
僕はその間に新居を建築する旨を伝え、えりには普通免許を取るようお願いし、
教習所用にとお金を渡した。
便利な都会暮らしの彼女と違い、僕の実家は田舎にありクルマは必需品。
畑もあれば田もあり、農繁期にはトラクターの運転もしなくちゃならない。
「一家に一台、軽トラはスズキ」というのが、ここでは標語のようになっている。
今も、つくづくえりと結婚できて良かったと思うほど好きだ。
長男とか農家とか、いまどき難しく考える必要はないと伝えたけれど、
彼女のご両親は少し時間を置くべきと思ったのかも知れない。
家具は全て備え付けにして、最低限の嫁入り道具でとお願いはしておいたが、
当日の荷入れはトラック3台分にも及んだ。
紅白の横断幕に荷目録、菓子撒きも、ここ名古屋ではやむを得まい。
えりとの新婚生活は楽しかった。
いや、過去形ではなく楽しい。
結局、専業主婦を選択した彼女は、家事を一所懸命にしている。
いつも笑顔を絶やさず、僕を見ていてくれる。
毎日の手作り料理も美味い。
夜の夫婦生活も楽しい。
独身時代、慎重に避妊してきたが、結婚後はその必要もない。
えりとのセックスは、僕がこれまでしてきたそれと全く違う行為に思えた。
その行為は、どちらかの体調が良くない時を除いて、毎晩行われた。
「来ちゃったからお休みね」
彼女がそう言うと、一週間はしない生活になる。
でも、えりはその細い指とかわいい口でしてくれる。
飽きることなく、楽しい毎日だった。
が、新婚生活も半年が過ぎた頃から、彼女のそのセリフが気になりだした。
多分、えりはもっと前から気にしていたに違いない。
年寄りは平気で挨拶のように「子供はまだなの?」と聞く。
おまけにえりは専業主婦で家にいて、近所付き合いもある。
こんな田舎の長男に嫁いで来て、居心地悪かったに違いない。
もっと早く気づいてやるべきだった。
いや、気づかなかったのではなく、彼女は僕を気遣っていたのだろう。
共同作業、それはケーキ入刀でもキャンドルサービスでもなく、子作り。
とても些細なことだけれど、気にし出すと会話すら冷めてゆく気がする。
彼女のことは好きで好きで、いつも抱きしめていたいほどなのに、
僕はその行為が少し負担に感じられるようになった。
あの最中の時間が長くなったのは、気がかりなせいか、慣れのせいか。
差し当たり、毎日するの、やめてみようかと考えている。
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Posted at
2011/08/05 15:54:10