場が凍ったと言うより、驚きで声が出せなかった。
意見することをためらった自分に嫌気がさしてしまい落ち込んでいる。
「躾(しつ)け」はその場でしないと意味がない。
「ここの生徒は、もっと出来ると思ってたが、全然ダメ。
去年までいた高校なら、たぶん平均点60はあったでしょうね。
たった25点ですよ、平均が。困ったものです」
学年懇談会の席で、不潔そうな物理教師の発言に、そこにいた親達が沈黙した。
子供を人質にとられているようなものだから、確かに反論は言いにくい。
でも、そこにいた親の誰もが思ったはず。
こんなデキの悪い教師に教わる、うちの子供が可哀想と。
小学校ならまだしも、高校で親が教師に意見することなんて無い。
合わない教師であれば、子供も相手にしないだけのこと。
無視して聞き流すには、でも気分が悪かった。
中学までであれば、母親同士集まってグチを言い合うところ。
高校ともなると、知り合いのお母さんもいないし、騒つくことも無い。
学年主任が慌ててフォローし、参加者した保護者は無視してその場は終わった。
息子の通う高校のすぐ近くに、行き付けのヤナセがある。
学校行事など短時間の用がある時は、オイル交換や点検を兼ねてクルマで来る。
この日も予約し、うちのGLKをヤナセに入れさせてもらっていた。
ショウルームに入り、担当の営業さんにお礼を言うと、笑顔で珈琲を出して下さった。
「どうかされましたか? 来られた時のような元気が無いようですが」
「いえ、子供の成績が悪いもので」
「そんな、ご謙遜を」
謙遜じゃないし、不機嫌な理由を言ったところで憂さが晴れる訳もない。
「奥様、少しお時間がございましたら、こちらを運転なさってみませんか?」
笑顔の彼に促され駐車場へ出ると、オープンになったSLKが駐まっていた。
「新しいモデルなんです。今でしたら高速をご試乗頂けますよ」
うわー、オープン。それも初めて乗るSLK。
新型の特徴かフェイスマスクが威圧的で、サイズ以上に大きく見える。
最近のメルセデスはフロントグリルに大きな丸いベンツのマークが嵌め込まれている。
ドアを開けてもらい乗せて頂くと、まず開放感に驚く。
シートを合わせ、ルームミラーを合わせたあと、後ろを振り向いてみる。
上がない感覚より、後方への広がりが凄い。
「左ハンドルのオートマチックのみですが、乗りやすさは他のセダンとかわりません。
ちなみにこれは3.5Lですが、1.8Lでも走行性能はじゅうぶんだと思います」
小型のSUVであるうちのGLKと比べると、このSLKは地を這うように移動する。
ポジションは全く違うけれど、スイッチ類は似ていて使いやすい。
シートのホールドもきつくないし、同じような価格で、子供がいなければアリかも。
「あのう、奥様。ちなみにリミッターは210キロですので・・・」
言われて気付いたが、かなりのスピードが出てしまっていた。
オバサンの私でも出てしまうスポーツカーって、無視するには惜しいかも。
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Posted at
2011/11/03 17:00:22