「・・・ですので、最初から全て含まれたモデルが特にお勧めかと」
「なるほどね。うん、うん」
「それにワンですと屋根の色がボディと同色で選べませんが、クーパーでしたら・・・」
「ワンは屋根の色がボディと同色になるのですね」
「はい。ですからお勧めはやはりクーパーか、クラブマンかと」
「うーん・・・」
「いや、ワンでも十分な運動性能ですから、乗って頂くには問題ないかとは思いますが」
「で?」
「え、はい。ですからどれでもお好みで選んで頂けますので・・・」
ペーシング、相槌、オウム返し、接続詞、沈黙。
この5つを混ぜながら話を聴くのが、コーチングでは基礎の基礎。
聴きやすいよう、話しやすいよう、相手の目を見て頷きながら笑顔を混ぜる。
聴く、聞く、訊くの3種類のうち、大切なのは耳を傾けて聴く、つまり「Listen」
話し手が何を言いたいのか、真意を聴くには話し手の為の質問にする。
こちらの情報収集の為の質問は避ける。
情報関連会社に就職した12年前、米国から入って来たコーチングスキルに出会った。
これは将来性があると思い、プロのコーチになると決意。
独立し、企業の研修として取り入れてもらえるよう営業活動をしている。
コーチと言うと指導者のようだが、実際は聴き手のこと。
話し手である相手の真意を引き出す為に、受け手となって自発的な気付きを促す。
対話を通じ、話し手の心を映し出す「鏡」の役に徹する。
以前から欲しかった今のミニを買うことは決めている。
クーペやクロスオーバー、クラブマンと多種多様だが、やはり基本にしようと思う。
問題は、どのタイプをどの店で買うか。
値引きや店までの距離も大きな要素の一つだが、人間関係も大切。
好きになれない人が売ってる店で、品物を買うことはない。
安物だろうと高価だろうと、売り手の信用は大切だ。
少なくとも5年は付き合ってゆける営業さんやメカさんがいることは必須。
店には空気があり、その店全体の雰囲気は人が替わっても一緒だったりする。
ネット通販じゃないから、長い目で見て付き合ってゆける店で買いたい。
グリルやマフラーの形状以外にも、選べる色や細かな仕様が異なる。
予算からすれば安いに越したことはないが、それだけでは決められない魅力がある。
あとからオプションで足してゆくと、結局は最初から上のランクを選ぶ方が得だったり。
しかし、これだけ円高でも値引き無しってどうよ。
数年前と価格が変わらないなんて、ぼろ儲けとしか思えないのだが。
それでも平日なのに次々に来る客に、対応が間に合わないようだ。
冷静になろうと一旦家に戻り、妻に相談してみる。
「60万近く違うと大きいもんな。ここはワンで我慢するか」
「モノを買うのに、我慢してまで買う理由ってあるの?」
「欲しかったミニに乗れるだけでも幸せだしな」
「だったら我慢なんて言葉、使わなきゃいいじゃない」
「でも、できれば屋根の色を白にして、タイヤも扁平にしたいが我慢かな」
「好きに買えばいいじゃん。アンタが稼いでくるお金なんだし」
「俺が稼げるのは、お前や子供がいてくれるから働けるのであって・・・」
「買う喜びも無いクルマなんて、お金を出す意味も無いでしょ。
欲しければ、さっさと買ってらっしゃいよ」
「そんな気楽に言うなよ。何百万って買いものだぜ」
「値段に関係ないの。ためらうならやめれば?」
妻相手だと全く役に立たないコーチング。
人を見て法を説けと言うが、説くほうは上から目線ってことに気付く。
つまり、妻のほうが俺より上ってことか。
Posted at 2011/10/25 11:20:27 | |
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