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無伴奏チェロのブログ一覧

2012年04月06日 イイね!

陸王 って どうよ

陸王 って どうよ









「そりゃあ、あんた達子供に本当のこと言えるようなお父さんじゃないわよ」


四十九日の法要の席で、酔って話し出した叔母を誰も止めなかった。
6人兄弟の長男である親父が亡くなったいま、叔母が最年長者だからだろうか。


「あんた達のお父さんはね、長男でそれはそれは好き勝手なことし放題の、
 やりたい事ヤリ放題で育ったの。
 典型的な馬鹿殿様ね。

 こんな田舎でも、昔は由緒ある家柄だったのよ。
 名鉄電車でここが終点だった頃、駅降りて『松浦さんちはどちらですか』と
 そこにいる誰に尋ねても知らない人はいないくらいにね。

 新幹線もない、大学行く人自体少ない時代に、兄弟全員東京の学校に下宿で
 行かせてもらってね。
 なのに、兄ちゃんは就職もせず家に戻って来て毎日遊んでるから、
 お父ちゃんが『トラック買ってこい』ってお金渡したのよ。

 そしたら夕方、バイクに乗って帰ってきたの。
 『陸王』って言ったかしら、大きな音のするオートバイでね。
 それ見て、お父ちゃんが怒ってね、『明日返してこい』って。
 
 そしたら何と、その明け方に出てっちゃったのよ。
 『旅に出る』ってメモ書き残して。

 しばらくして、和歌山の南紀白浜にある旅館から『金送れ』って書いた
 電報がお母ちゃんに届いてね。
 散歩中も中居さんが逃げないか警戒して離れないって言うから爆笑よ」



遺品の整理をしていたら、バイクに乗った親父の写真が出てきた。
オールバックの髪型に、下駄履いてバイクに跨ったもの。
メグロ、キャプトン、インディアン、珍しいバイクも写ってる事から察するに、
数台乗り継いだのだろう。


親父は、僕ら家族にさえ1円の金も遺さず亡くなった。
どこかに借金や債務保証があるに違いないと、親族たちが真顔で語る。
3ヶ月以内に相続放棄の手続きをするよう、次男であり弁護士の叔父にも言われた。


僕が叔父の事務所に入ったばかりの頃、法務局で財産目録を取ったことがあった。
抵当権には百を超える不動産が担保され、職員がホチキスで綴じるのに苦労していた。
こんな分厚い謄本初めてと呟いた台詞が忘れられない。


いつの間にやらそんな財産を全て使い果たし、何ひとつ遺さなかった親父だけれど、
一族の長たる貫禄だけは最期まで保っていた。
祭りでも食事でも、ツルの一声で親族全員が集まった。
それも、もうないだろう。



生きざまを見せる男の背中ってのは、何歳の時の背中を言うのか。
息子の僕に、何を伝えたかったのか。
古いアルバムの写真を見ながら、ひとり考えてみる。










Posted at 2012/04/06 14:56:09 | コメント(10) | トラックバック(0) | 趣味
2012年04月01日 イイね!

Mercedes-Benz SL って どうよ

Mercedes-Benz SL って どうよ







つくづく、学校には縁がないと思っていた。


中学まで成績優秀だった俺は、進学するつもりだった難関校を急遽変更。
不本意ながら自宅から近い高校へ通うよう、親の説得に応じたものの、
自ら選べなかったことへの反発から、無気力で荒れた3年間を過ごした。


おまけに、大学受験寸前に家業が倒産し、家は破産。
働いてくれるかと親に言われ、あもすもなくその日から働く覚悟を決めたが、
その後の事情で、近所の私立に籍を置きながらバイト三昧の日々となった。


親に言われるまま、運命には逆らわず、なすがままに働いた。
家族で一致協力し合い、家計の為に休みなく時給を稼ぐ仕事に励んだ。
多忙で一所懸命だったけれど、その実、無気力な日々を過ごしていた。



そんな時、一般教養の授業で物理学のA教授に出会った。
駐車場にベンツのSLで乗り付け、態度はでかく、授業中も言いたい放題。
三流私学の全くヤル気のない学生を前に、A教授は吠える。


「僕の書いた本はブルーバックスのベストセラーにもなってるから、
 他の教授達みたく君達に購入を強制しなくても全く困らないよ」


そう言われても、買って読まないと試験はその本から出るに決まってる。
上から目線の見下したセリフに、学生から嫌われるのは当然。
でも、授業はわかりやすく、個人的には好感が持てた。



「授業料の高い私学の学生が、授業をサボってバイトだなんて、愚の骨頂。
 時給に換算する以前に、選択の誤りに気付かない愚かな行為だ」


なるほど、ふてぶてしくも堂々と語るA教授の言葉に、もう一度、
おのずと勉強したくなる大学を受験したいと思うようになった。
休講や空いたコマの時間を活用し、翌年センター試験を受けたのは自分の選択だ。
合格通知が見たかっただけのことと言いつつも、自らチャンスを呼び込んだ気がした。


自分で決めたことってのは、言い訳できず、後悔なんて無駄なこと。
自ら決断することで、行動や言動が責任をともなうことを知った19歳の俺。
己の道は己で決める、自主自立して大人、そんな当たり前のことに気付かされた。



あれから転学して卒業し、就職後に独立して10年。
ポルシェに乗る今も、ベンツのSLを畏敬の念をもって眺めている俺。
10年の歳月を経て、モデルチェンジをしてもSLらしさを失わない姿勢は、
メーカーのプライドを感じさせてくれる。


恩師なんて言葉を口にするのも恥ずかしいが、必然の出会いだったと今も思う。
時として人の言葉ってのは、心に響くものなんだよな。















Posted at 2012/04/01 19:57:05 | コメント(4) | トラックバック(0) | 暮らし/家族
2012年03月21日 イイね!

フェラーリ599 って どうよ

フェラーリ599 って どうよ











今年こそ、いや、今年度中にはガレージハウスを建てたいと思っている。
自宅ではなく賃貸の一戸建てで、2棟建ててみたい。
同じものではなく、対照的な家2軒を並べて建ててみてはどうかと。


木造2階建てで、コストを考え小さなものを。
電動シャッターはグリルタイプにして、ガレージの中が見えるように。
防犯も兼ね、玄関もシャッター内に設けてはどうか。


1階は、風呂、トイレ、洗面といった水回りとクローゼット。
2階に、生活に必要なリビング、キッチン、寝室をつくる。
核家族もしくは単身者用の1LDKと、シンプルな間取りで解放感を大切にしたい。


1、2階で24坪、LDKが12帖と寝室が6帖にそれぞれ収納。
小屋裏のロフトをつくり、子供1人までなら対応できるようにする。
トイレは2つ欲しいところだけれど、我慢してもらおう。


建蔽率を考えると、最低1軒分の敷地が20坪ちょっとあれば計算上は建つ。
もちろん地形にもよるので、無駄なスペースもあるだろう。
スチールを多用するバージョンと、木を使う2種類を建ててみたい。



差別化のポイントは、クルマとともに賃貸で暮らす戸建て。
修繕積立金を決めて、15年後に大規模な改修工事を見込む。
利回りで考えては理に合わないが、新規事業への投資と思えばいい。


土地は駅前に確保した。
駐車場が足りなければ、向かいと裏に月極駐車場があるから借りられる。
設計管理と施工業者を誰に頼むか、その前に設計士を誰に依頼するか。


間取りは決まってくるので、デザインと材質で差別化できる感性が欲しい。
一人暮らしのクルマ好きや新婚さんが順に借りて、喜んで使ってもらえるデザイン。
そう考えると、設計士ってのは美的センスとデザイナーの要素が必要だと思う。


あまりに敷地が狭いのもどうかと思うが、都心には考えられた家が沢山建っている。
以前、試しに造った3階建ては、すぐにどっぷり田舎臭くなってしまった。
同じ失敗を繰り返したくはないが、東京から業者を呼ぶ訳にもいかないし。



ただ、せっかくガレージがあっても、収まるのが軽だったりするんだろうな。
費用対効果を考えると、ガレージを潰して2部屋つくるほうがマトモだし。
クレームの多い入居者だったりすると、対応に追われたりもするのかな。


通帳の残高眺めていたほうが、ずっと精神的に楽だろうな。
その一歩を踏み出すかどうかで、ここ1年悩んできた気がする。
憧れのフェラーリ599を買う人って、どんな神経してるのかと思ったりするが、
無駄に悩まないのが秘訣なのかも。














Posted at 2012/03/21 14:53:42 | コメント(5) | トラックバック(0) | 日記
2012年03月08日 イイね!

シトロエン DS4 って どうよ

シトロエン DS4 って どうよ










売ってるあたしが言うのも何だけれど、このクルマは売れると思う。
シトロエンDS4。


実車が届く前から、頻繁に問い合わせがかかってきた。
いつ日本に入りますか?
お店に並ぶのは、いつになりますか?


店長とエンジニアが上京し、講習を受けてきたのが昨年11月。
今年に入り、予約順に納車出来るようになったばかり。
ブースに実車が入ったのは、今月に入ってからのこと。


展示されたDS4を観て、あたし自身が感動してしまった。
これほど美しいシトロエンって、あっただろうか。
少なくとも、あたしが入社してから観た中には無かった気がする。


ついプジョーと比べられがちなシトロエン。
同じフランス車なのに、メーカーの広告費が違うのだろう。
派手路線で目立つ車種が並ぶプジョーブースと比べ、地味に感じていた。



あたしが務めているのは、インター近くに本社を置くディーラー。
もとはホンダのディーラーで営業をしていたが、2年前にこちらへ移動。
今はシトロエンのブースを担当している。


フランス車以外にも、ドイツ車、アメ車、2輪もあったり。
どれも専門性が求められる為か、特にメカニックの移動はほとんどない。
軽に乗るあたしがシトロエン売ってていいのかと思うが、
クルマ好きのマニアックな話題にもついてゆける程度には覚えたつもり。


そんなあたしが最近イイナと思っていた、アルファロメオのジュリエッタ。
軽の次はジュリエッタかなと密かに計画中だったところに、このDS4。
実物の美しさは感動ものだ。


小振りなボディ。
トップからリアに流れる曲線。
ヒンジを隠したリアドア。
解放感のあるフロントガラス。


どこから見てもシトロエンなのが、さらに良い。
ラリーカーっぽい走りを意識させたDS3とは、全く別モノ。
女性が乗っても男性が乗ってもカジュアルでも、上品さを感じさせる。


前人気が高かったことも、実物を前に頷ける。
言いにくいけれど、壊れるかどうかなんて別問題って気がする。
リアウィンドウが開かなくたって、「そういうもの」で済まされるのでは?


マニアックなお客様が多く、強引に勧める必要性を感じないシトロエン。
目的を持って買いに来るお客様を、イメージ良く案内する役だったりする。
でも、このDS4は「売りたい」と思えるほどインパクトあり。



美しいクルマ、シトロエンDS4。
一度、観に来ませんか?


ちなみに、あたしも彼氏募集中です。
キャッシュで買える独身のかた、お声を掛けて下さいね。












Posted at 2012/03/08 18:10:08 | コメント(8) | トラックバック(0) | 日記
2012年02月25日 イイね!

BMW 5 って どうよ

BMW 5 って どうよ











「2、3か月前、何かありました?」
いつもの理容室に来て、変な問いかけをされ返事に困っていると、
「禿げができてますよ。それも何か所も」


髪を切りながら驚いたように後ずさりされると、良い気はしない。
何度も「うわっ」とか「えっ」とか言われては、たまったもんじゃない。
短くしてくれと言った俺が悪いのか。


「これ、たぶんですけど、ストレスによる脱毛だと思います。
 はやく戻るといいですけど・・・」


髪のプロにそう言われると、歯科医の俺としては返事に困る。
予期せず膿が飛び出してくると、反射的に一瞬後ろへ引いてしまう時がある。
俺の髪を切る彼が、今まさにそんな感じだ。




ここ半年ほど、忙しいと言うかトラブル続きだった。
多忙とスタッフの退職が重なり、冷静さを装いながらもいら立っていた。
おまけに技工士を替えざるを得ず、慣れない対応に追われていた。


痺れ出したのは、左側の側頭部だった。
だんだんと痺れる範囲が広がり、頭頂部から頬辺りまで痺れていた。
気にしなければそれまでのことと、風呂でマッサージする程度で済ませていた。


理容師のセリフが気になり、内科医の友人に電話してみる。
診療時以外に個人的な相談は避けたいが、病院にかかる気は全く無かった。


「右手で指を鳴らしてみろよ」

健康相談は毎度のことなのだろう。
尋ねると、ダルそうに淡々と告げられる。
携帯電話越しに指を鳴らしてみるが、どうってことはない。


「片足で立っていられるか?」

左手で携帯を耳に充てたまま、右手を横に伸ばし右足をあげる。
これも大丈夫、問題ない。


「ふーん。ま、その2つが出来なくなったら手遅れってことだ。
 そのうちに呂律が回らなくなって気付くかもな。
 人生、何が大切か、考えろよ」




翌日、大学にお願いし、臨時の歯科医師を交替で派遣してもらうよう依頼。
休暇をとると妻とスタッフに伝え、2カ月間の休養を決めた。
自営の仕事に区切りなんてつくはずもなく、職場放棄のようなものだ。


と言って、家にいても何もすることが無い。
妻は労わってくれる訳でもなく、いつものように家事をしている。
子供たちは学校に出かけ、部活動と塾に通い、会話が増えるでもない。


「どこか1人で旅行でもしてきたら?」
妻にそう言われても、内心ときめく訳もなく、読書にふけるばかり。
散歩するほど年寄りでもなく、ジョギングするほどの体力も無い。




クルマを磨くことにした。
道具としか考えていなかったBMWを、時間をかけて洗車しワックスをかける。
すると、これまで気付かなかった細かな傷や、ボディラインが見えてくる。


ショップでホイールとタイヤを替えてみた。
店員に勧められるまま購入したシュニッツァーにピレリ。
外観も乗り味も、シャープなイメージに変わった気がする。


「カッコイイですよね、このクルマ。
 私の一番好きなBMWなんです」

店員の女性に言われると、悪い気はしない。
あまり気にせず乗っていた5年目の530i。
家族4人、安全に移動できれば良い程度の理由で、勧められ購入した。


物事へのこだわりなんて、深く考えてこなかった気がする。
追われるように患者を診て、次々に辞めてゆく歯科助手を募集しては面接し、
ローテーションを割り当てて給料を支払う。
大学を離れ、開業してからというもの、ローンの支払いだけを考えてきた。


「良かったら運転してみる?」

どうしてこんなセリフが出てきたのだろう。
口に出した自分が一番驚いている。
やはり俺は病気なのかも、そう、病気のせいだと言い訳まで考えていた。


「明日は休みなんで、昼からの待ち合わせでいいですか?」

言いながら見つめる彼女の瞳が潤んだ気がした。
こんな気持ちは久しぶりと言うか、熱いものが身体にこみあげてくる感覚。
冷静にと自分自身に言い聞かせつつも、笑顔を押さえられそうにない。


リハビリなんだ、これは。
俺にとって必要な出会いを、神様が授けて下さったに違いない。
はにかむような若い彼女の笑顔が眩しい。




奥のバックヤードから2人を観て、ほくそ笑む男がひとり。
ツナギの袖をたくし上げた彼氏の腕に、黒いタトゥが覗いていた。











Posted at 2012/02/25 16:34:18 | コメント(6) | トラックバック(0) | 日記

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