2012年10月26日
世にクルマ本は多しといえど、これほど愛情を込めた評価書はないかもしれない。
原書房から出版されている『図説 世界の「最悪」クルマ大全』は、イギリス在住のクレイグ・チータム氏が、「世界のガッカリクルマ」を愛と非情の狭間で揺れ動きながら評価している、なんとも趣きの深い書である。
本文はもとより、キャッチコピーも秀逸なものが多く、思わずうなずいたり、吹き出したり・・・。
少し、紹介してみよう。
アルファロメオ・アルファスッド
「南イタリアの難破船」ボディは2年ともたずに難破船のごとくサビつく。
ルノー・14
「フランスの失態」取り柄どころか、興味をそそる点を探すのも至難の業。
ランボルギーニ・エスパーダ
「制御不能のパワー」砲丸投げの選手なみの腕っぷしがないとカーブを曲がれない。
ランチア・ベータ
「ランチアを変えたクルマ」ショールームを出る前からサビ始める有様だった。
ラーダ・リーバ
「前代未聞のひどさ」ハンドリングは恐怖のひと言につきる。
ラーダ・ニーヴァ
「ブタみたいな走りの農園車」ブレーキが効くかどうかは、運転する人の運次第。
リジェ・アンブ
「何があっても買っちゃいけない」ブレーキがちゃんと効いているとは思えない。
オースチン・アンバサダー
「血統書付きの駄馬」デビューした時から寿命が尽きていた。
AMC・ペイサー
「AMCの転落」前と後ろを別の人間がデザインしたとしか思えない。
ルノー・フエゴ
「燃えるクルマ」前触れもなく炎に包まれるという悪癖の持ち主。
シェコダ・エステル
「ラリードライバーのお気に入り」戦慄のオーバーステアはまさにラリーの気分
ZAZ・ザポロジェッツ
「史上最強の運転体験」シフトレバーはギアを落とすと空気ポンプみたいな音がした。
ダットサン・120Y
「ダメ・デザインの見本」サビつく速さたるや、猛烈な勢いで家の柱を食い尽くすシロアリなみ。
フォード・マーベリック
「戦慄のハンドリングと落胆のパフォーマンス」塗装はけばけばしく、ルーフはビニル樹脂だ。
オースチン・アレグロ
「ヨーロッパ随一のカルト車」ジャッキを当てる場所が悪いと窓が落ちてしまう。
などなど、チータム氏のコメントをうまく翻訳した川上完氏の文才にも敬意を払いたくなるような、見事な解説が続く。
決して、一方的にケチをつけているのではなく、当時のご時世や会社の状態などを散りばめながら、世のガッカリ車を愛おしく見つめる筆者に共感すら覚えた。
クルマ好きなら、一度は読んでみてほしい、話のネタに・・・。
Posted at 2012/10/26 00:27:02 | |
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