
ヘッドライトやテールランプやフォグランプやライトのレンズが装着後にとある時に曇ってしまったことがある経験をお持ちの方がいらっしゃるのではないでしょうか。何を隠そう私の第一作目の殻割り作品も内部が曇ってしまったことがあります。
灯火類の殻割りは皆様御存知の通り非常に労力を費やす上に、取付は一日仕事です。そうやって苦労した「作品」が曇っている姿は、オーナーからすると非常に萎えるものであり、外目からみても哀れとしかいいようがありません。DIYやカスタマイズされた車が片手落ちの状態になっている姿ほど惨めなことはありません。
ところがこの「曇り」または「結露する」という状態について、正しく対策を入れて殻割りをされている方は非常に少ないのではないでしょうか。私は第一作目の反省から殻閉じをする際にはかならずやっていることがあります。
それは後述するとして、まずそもそも「何故」曇りが発生してしまうのでしょうか。
曇りの原因は「細かい水滴」の集団であり、元を正すと液体の「水」です。もちろんこの水をわざわざヘッドライトに封入する人など居りません(笑)。しかし現に水が内部にでているものですから、普通はこう考えます。「雨水がどこかから入り込んでしまった!コーキングが甘かった!」と。
実際に水滴となる雨水が入ってしまうのは論外でが、そこでコーキングをしまくってすべての穴を塞いでしまうのは実は愚の骨頂です。不思議なことに完璧なコーキングをしてもいずれ曇ってしまうことになってしまいます。そもそもヘッドライトやテールランプやフォグなどのライトユニットは
完全な密閉が敢えてされていません。
これはヘッドライトの裏の写真ですが、矢印のような箇所があります。
これは構造的にはこのようになっていて、ヘッドライト内部と外部に空気が抜ける構造になっています。
何を隠そうこれが曇り防止に一躍買っているのです。
まずは曇りの原因の一つである、つまりは水が突然出現するというメカニズムです。
下記の図を御覧ください。中学校の理科で出てくるグラフで飽和水蒸気量曲線といいます。
温度がたかければ高いほど水は空気中に水蒸気として漂うことができ、温度が低くなると、それが溶けきれなくて水となって出てしまいます。このグラフでは右側のような湿度80%の夏場で殻割りしたライトを密閉したとします。夜や朝方になると気温が下がるので、ライトのレンズ面は空気中に触れておりレンズの内側の表面も外気温に熱を奪われ冷たくなり、冷たい空気の層ができます。 ここに湿度80%で封入された空気が触れると、左側の棒グラフのようにたちまち冷やされ溶けきれなくなる水蒸気が水になって出てきます。これがヘッドライト内側に付着します。こうして「曇って」しまいます。
しかし先ほどのライトについている空気抜きによって、内部の湿度が80%であっても、徐々に外気の湿度と同じになり曇りも蒸発しなくなります。ほとんどの場合があったとしても一時的な曇りで事無きとなります。
曇りの原因のその2についてです。実はこれがいわゆる曇り被害の大きな原因です。下記の図を御覧ください。これは「雲」ができるメカニズムです。お空の雲も実は「曇り」の塊なのです。
なんと雲は空気中の「チリ」でできるのです!曇りであっても同じ事で、ヘッドライト中に
ホコリ・パーツの削り粉・タバコの煙/灰・手の油・有機溶剤系接着剤の蒸気、チリであればなんでもですが曇りを起こすトリガーがあればあるほど曇ができやすいのです。
曇りが取れない!といって困っているパターンの殆どが、このチリに水分が付着し、さらにチリ同士が水の中でかたまり、そこがさらに水浸しになるという連鎖が起こり大きな水滴になってしまう状態に陥っているのです。一度大きな水滴になってしまうと空気の流動がただでさえ少ないヘッドライト内では蒸発させることも一苦労です。こうなるともう一度殻割りをして内部を清掃するしか救済手段がなくなります。
これらの2つの原因となる状態が揃ってしまうといとも簡単に曇ってしまいます。それでは曇らなくするための方法について私が殻閉じの前に必ず行なっていることを述べます。
まず、乾燥した20℃くらいの部屋を用意します。夏場であれば冷房をガンガンかければよいですし、冬場は暖房をかけるだけでカラカラの部屋ができあがります。
次にとりる前のパーツにドライヤーもしくはホットガンを吹きかけパーツ表面に付着している水分や接着剤の溶剤を完全に飛ばします。接着剤の溶剤も要注意で、蒸気が曇りのトリガーとなります。カスタマイズヘッドライトが完成してもすぐにヘッドライトを閉じるのはNGです。
次にどこの電気屋や雑貨屋でも売っているエアダスターを用意します。
ひたすらかけまくります。要は表面に付着しているホコリ・チリをすべて吹き飛ばします。ここにどれだけ念を入れるかで曇りやすさが変わってきます。レンズ面だけでなく、内部のパーツすべてからチリ・ホコリを飛ばすくらいの勢いで清掃してください。 勿論ですが喫煙しながら、もしくはタバコの臭いがする部屋でこの作業はご法度です。喫煙者は衣服にも灰がついているので特に注意が必要です。
手の油がレンズ面内側についてしまっている場合は勿論パーツクリーナーなどで拭きとってください。油の汚れも曇りや水分は大好きなので大きな曇りが発生する箇所になってしまいます。
対策としては以上です。
空気抜きがないようなデイライトなども曇っていつの間にか水が溜まって水没して故障するケースがあると思います。この時点でその商品は完全な設計不良なのですが、ここでコーキングに走るのではなく、むしろ空気の出入りができる穴を開けてあげましょう。
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2013/02/10 03:14:36