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2009年12月12日

鉄とアルミとカーボンと

鉄とアルミとカーボンと 現行インサイトや多くのクルマは鉄製のフレームです。
愛車、初代インサイトはアルミフレームを持つ少し変わったクルマです。

最近ではアウディやジャガー、ロータスなどが頻繁に使っていますし、旧車のスーパーカーでも使っています。飛行機の技術が自動車に下りてきたと考えれば、そう珍しくも無いかもしれません。

ホンダでアルミフレームと言えば外せないのがNSXでしょう。どちらも目的はクルマを軽く作る事に有ります。何せアルミは鉄の約1/3の比重ですもん。

前置きが長くなりましたが、クルマの「味」はフレーム材質で変わるのか?と兼ねてからの思う所について徒然なるままに書いてみます。反論、賛同、違った視点の意見があれば是非ともコメントくださいね。
(長文になります、すいません)


よくジャーナリストさんの書く記事には「アルミフレーム特有のパシッとしたフィーリングが…」と言う表現が見られます。何だパシッって?とも思いますが、初代インサイトに乗っていると何となく分かります。ステアリングやブレーキの際に荷重を与える、抜くをした際のフレームの変形の戻ってきかたとスピードからパシッって表現するのかなと思います。

これはアルミフレームによるものでしょうか?多分正解ですが、これはアルミフレーム特有の構造とも密接に関係してきます。

パシッって訳ではないですが、そもそもこの事を考えだしたきっかけは、現行インサイトに試乗した時でした。

最初はモーターのアシスト量と性質、CVTのセッティングなど気にしていましたが、轍のひどい道を走行時にリヤダンパーが吸収しきれずフレームがバタバタと振動しました。ここで断っておく必要があるのが、決して現行インサイトのフレーム剛性は低い訳ではないと言う事です。

現行インサイトに限らず、モノコックの鉄製フレームを持つ最近のクルマの設計コンセプトは、いかにして同じ(か軽く)質量のフレームで剛性を向上させられる構造とできるかによります。

簡単な発想の方法として、より強靭な鉄と置き換える手法があります。いわゆる高張力鋼板やクロモリ(クロームモリブデン鋼)などです。クロモリは自転車などスペースフレームでは一般的ですが、合金な為に溶接で組成や金属の粒界が粗大化し強度が落ちる事、材料コストが高い事が難点です。

(昔、クロモリでフォーミュラ用フレームを一台作製しましたが、大変苦労した思い出が・・・)

高張力鋼板を使った場合、軽くする為には従来より薄く作る必要があり、薄くてもベコベコしない様にするには構造を工夫して力が加わった時の変位量を少なくなるよう拘束します。これで、軽くて剛性の高いクルマの完成です。

これで終わり?
ここから「味」は生まれるでしょうか?

パジェロなどの大型SUVやアメリカの一部の乗用車はラダーフレームと言う構造を持ちます。ラダー(はしご)をフレームとして使い、その上にボディを乗っけます。
モノコックフレームではないこれらは、ラダーフレーム構造をなり立たせる為にある程度の肉厚な鉄骨を使っています。これはかなり重くなるし、モノコックフレーム同等の剛性にする為には更に重くなるでしょう。

ちなみに、前述のパジェロはオヤジの愛車で15年以上乗っていますが、重さこそあるけどフレームに関しては頑丈で芯のある良いフィーリングです。さすがにブッシュ類がヘタってきてましたけどね。

軽くて剛性の高いフレームに特化した場合、現行インサイトの様なモノコックの進化は正解です。しかしフレームを「バネ」として考えると疑問が浮かびます。

軽くて(薄くて)剛性が高いと言うことは、それだけ振動は高周波の傾向です。でも振動の収束はなかなかしないでしょう。薄い鉄板をハンマーで叩くと「グワァァァァァ…ン」と音が収まるまで時間が必要です。厚い鉄板では「ガンッッ…」と言った所でしょうか。

これが「味」として作用する要素のひとつ、振動周波数特性だと言えるでしょう。

現行インサイトがバタバタしたのは、実際には(フレームが原因であっても)フレームだけの問題ではなくブッシュや外気温度によるゴム類の固さの影響、左右独立懸架ではないH型のサスペンション、ダンパーのセッティング、タイヤの空気圧など様々な要因が重なって発生したものだと思います。

ある程度フレームが重い高級車などは、やはり振動の収束は良いです。ここで一度まとめると、


・フレームの味とはフレームのバネ特性・収束性の事である。

・剛性と重さのバランスがフレームの味を決める。


バネ特性を持つと言うことは、弾性変形の範囲でフレームは使われる事になります。
ここで改めてアルミフレームを考えます。

アルミの比重は鉄と比べて約1/3ですが、強度も約1/3です。ですから単純な置き換えは出来ません。基本的には強度を同等とすると体積が3倍になるので断面係数が上がります。その構造を工夫すれば、より剛性のあるフレームが考えられます。

ではバネとして考えるとどうでしょう?アルミのバネなんてあまり一般的ではありません。何せアルミは弾性変形領域が少なく、バネとして使うには不便だからです。
ただ体積が鉄よりあるので振動の収束は高いと言えます。同じ質量で鉄と比較すれば、アルミの方が体積がある為に振動の収束は抜群に良くなり、それがパシッとしたフィーリングにつながるものと考えます。

最後に、LF-Aで話題になったカーボンフレームはどうでしょう?
(写真はTMS2009のヤマハブースより)

カーボンは金属ではなく、元はポリアミド(ナイロン)を炭化させて作ると東レの人が言っていました。ですので、バネ特性に加えて減衰特性も持ち合わせています。(振動を熱エネルギーに変換して大気に放出する)

残念ながら、カーボン製のクルマに乗った試しは無く本当の所は分かりませんが、設計次第では非常に乗り味の良いクルマに仕上がるのではないでしょうか?

<結論>
フレームの材質によって乗り味は変わるが、それは材質が起因するものだけではなくその特徴を活かした構造による所も大きい。また、フレームのひずみ・振動収束性・減衰特性が味の正体だと考えられる。


ちなみに、以前にヤマハからパフォーマンスダンパーと言うフレームの振動を吸収するダンパーが発売されました。確かに理にかなっています。アルミフレームでも効果があるのか気になるアイテムです。
ブログ一覧 | クルマ
Posted at 2009/12/13 01:05:15

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