
翌々日に、改めて訪れました。
その場所はアタカエンジニアリング。
石川県と富山の県境近くの工場。
そこには赤いクルマが1台。
聞くと、そのクルマはテストカーだったそうで、つまりプロトタイプだと思われます。
写真を撮らないという条件で、作製している所も見せて頂く事が出来ました。
中ではまさに組み立てが行われていて、ハンドメイドで作られる様はレーシングカーを彷彿させます。バックオーダーが控えているそうで、今からオーダーしても1年ほど先になるそうです。
さすがに試乗は出来ませんでしたが、見せて頂いたストリップと公開されている情報からどんなクルマか想像してみたいと思います。
<HFR 2000 Type Ⅱ:公式HPより参照>
全長/全幅/全高 (mm) 3790/1855/1085
ホイールベース(mm) 2160
トレッド 前/後 (mm) 1400/1600
車両重量(kg) 850
総排気量(cc)1998(ターボ)
最高出力 [PS/rpm]225/6000
最大トルク [kg・m/rpm]31.0/3200
タイヤ 前/後 205/50R16 / 245/45R16
ホイールベースが非常に短いのが印象的ですね。つまり、とてもヨー方向に曲がりやすい。一方でトレッドは前後で200mmも差があります。一般的にはリヤトレッドを広げるとスタビリティが高まります。そしてタイヤサイズですが、前が205に対して245というかなり後輪の太さを意識した選択をしています。これもスタビリティを高くしようという表れです。車重が850kgという数字からライトウエイトスポーツと言えますが、上記の太さのタイヤを使いこなすには少々面圧が足りない気がします。パワーはトヨタのMR2からの流用です。2リッターのターボカーなのでトルクは31kg・mという事であり、車重とあわせて考えれば相当加速してくれるでしょう。ガソリンタンクは運転席の両脇後方に搭載されていました。
さて、ここまでは数字を見た一般的なこと。ここからは私の勝手な想像です。
ホイールベースがここまで短いと、クルマが回転しようとする力とその立ち上がり早さはかなりのものです。その一方、後輪に太いタイヤを履きトレッドも拡大してあるという事は、後輪のキャパシティを上げ安定方向にするための処置であり、スピンまでの領域を拡充するものでしょう。リヤブレイクすると立て直す事は非常に難しいのだと思います。
タイヤの太さがここまで違うのは、前後重量配分による部分も大きいでしょう。前部はラジエターとバッテリー、ステアリングASSY(多分パワステ無し)にペダル類(ブレーキはブースター有り)くらいのものであり、非常に軽く作られています。一方で後部はエンジンにミッション、ガソリンタンクなど重いものばかりです。つまり、後輪の負担が大きくその分だけ後輪は太くされているのでしょう。(一般的なMRの正攻法とも言えます)実際、エンジンはミッションの上にレイアウトされておりコンパクトにまとまっている一方、後部の重心は高くなっていそうです。MRと言うよりはRRに限りなく近いレイアウトです。
これらを総合すると加減速は強烈そのもの。加速時はトラクションに車重の軽さが手伝ってシートに押さえ付けられる加速を見せ、ブレーキ時も後輪の重量配分が大きい分だけタイヤを効率よく使えます。しかし、追い込んで行くと重心の高い後部はナーバスな挙動を見せはじめる事でしょう。ステアリングを入れると、慣性のある後部は外側に膨らもうとしますがホイールベースの短さはその挙動をよりクイックに見せ、一気にスピンモードに。そこでアクセルを踏み後輪に荷重を与えます。クルマは安定を取り戻しますが踏みすぎると逆にホイールスピンを喫してしまいます。ここではLSDのセッティングが物を言いそうです。
ステアリングを戻す頃にはアクセルをガッツリ踏める事でしょう。その時はトラクションの良さが加速を助け4WDに負けない加速でコーナーを飛び出して行きます。このクルマはスラロームの様な連続する低中速コーナー(出来れば加減速の少ないタイミングで曲がるようなコーナー)で強さを発揮し、その通過速度と脱出加速で他のクルマを凌駕します。一方で、大きな減速を伴うヘアピンカーブはスリル満点です。スピンスレスレで挙動をコントロールしコーナーへ突っ込みに行きます。重心の高い後部をなだめて突っ込むには丁寧なアクションが必要です。今どきのクルマであればESC(車両姿勢電子制御機構)のおかげでアンダーステアにいてくれているでしょうが、そんな甘い事は言わせない乗り物だと言えるでしょう。
肝心な見た目(スタイル)を忘れていました。オリジナルストラトスより一回り大きなボディは迫力満点。全高の低さもポイントです。大きくラウンドしたフロントウィンドはとても大衆車には無い異質な雰囲気です。イタリアはアリタリア航空のカラーを纏えばコスプレ宜しくのラリーカー。とにかく目立つでしょうが、そんなクルマに乗りたい人はそうでなきゃ所有欲が満たされません。
開発者自身が申していましたが、このクルマは中年暴走族用の夢のクルマである、と。スーパーカー世代には本当に夢のクルマの一台ですが、このクルマはEVコンバートのベース車にも最適ではないかと勝手に考えています。骨格はアルミ押し出し材のスペースフレームで軽量だし、電池やコンバーターの搭載スペースも後部にある。EVならではの特別感も元々持っている外観から抜群。テスラロードスターと同じコンセプトだけど、あっちはエリーゼがベースなので外観上のインパクトはこっちが上。EVベンチャーが予想以上に苦しんでいる今、こんなに欲しくさせるベースカーは無いと思うんだけどなー。
<結論>
クルマを扱う事を楽しむには非常に良い選択だと思う。大変目立つし満足感も高い。但し、セカンドカーを持つ覚悟が当然必要。何かと比較して買うクルマではない。とにかく気に行って、とにかく好きで乗りこなしたいと思った人だけが買うべきクルマ。スーパーカーなんてみんなそうか。
☆石川県にこんな素敵なメーカーが存在している事を確認出来て、大変嬉しい訪問となりました。
Posted at 2011/04/10 02:12:35 | |
トラックバック(0) | 日記