
今夜、この雨は雪にかわるかな?
非金属チェーン・オートソックを使う機会があったのでインプレッションを・・・
ときは2009年12月31日~2010年1月1日のこと。
1泊2日の年越し旅行、軽井沢は毎年訪れているが、冬の軽井沢は初めて。
前々から天気予報は気になっていたが、31日の天気予報は「曇りのち雪」。
トランクに題のオートソックを載せ、碓氷軽井沢IC目指してアルピナを走らせる。目的地までICあと一つのところでオンボードコンピュータが「ピーー」っと外気温3℃を告げる。地熱を持たない橋の上などが凍結し始める気温らしい。
ICを降りるころには-1.5℃を示している。路面は濡れているが凍結はしていない。雪も降っていない。チェーンの脱着するクルマが数台いる。この先は軽井沢市街はで峠越えだ。
「とりあえず、このまま行ってみよう! 凍結していたら一旦引き返すか、考えよう!」
今から考えるといささか無謀だったかもしれない。タイヤはミシュラン・パイロットスポーツ・・・サマータイヤ。実はこのタイヤでの雪道走行は、一度経験があった。それは、関東地方を大雪が襲った6年前のこと。(関東地方では10センチ積もれば大雪) 国産FR勢が発進でホイールスピンしながらテールを横に振る中、前後50:50バランスのBMWはサマータイヤを履いたFRであるにもかかわらず平然と発進する。そこそこの坂道も登って行く。ただしその時、駐車場へ向かう歩道の5センチほどの段差は乗り越えられずに断念したことを付け加えておく。勢いをつければ行けそうだったが、段差を越えたあとのブレーキに不安があったので安全策をとった。
上り坂の途中、雪が降り出した。路面にも5センチほど積もった雪が見え始める。
「やっぱり、あまかった。」
ほどなく平坦な路肩に縦列駐車の列ができていた。最後尾にクルマを止めトランクからオートソックを取り出す。自分の後ろに数台の列ができるのを待って、装着に取り掛かる。路肩でのチェーン装着は薦められたものじゃないが、せめてもの安全策。
あらかじめ説明書は読んでいたが、再度サラッと読み返し袋から取り出し装着を試みる。
「手が入らない!」
フェンダーアーチのホイールクリアランスがほとんどないためタイヤ裏側まで引っ張ることができない。
車載ジャッキでクリアランスを確保する。念のため車輪止めを強めに咬ませ、タイヤが地面から浮かない程度にジャッキハンドルを回す。
上半分被せたところでクルマを動かし、タイヤを上下反転させる。もう一度ジャッキで上げて、残り半分を被せる。左右の両輪やってからほ方が効率は良いとは思ったが、大事をとって片輪ずつ。
余談だが、BMWの車載ジャッキは良くできている。片手でも楽に回せる。
「完成!」
そのころ、先に止まっていたクルマは、未だ説明書を見ながらラバーチェーンと格闘していた。
芯から数センチずれてしまったが、説明書きを信じてクルマを進める。電動ミラーを下に向け、後輪を確認する。異音や振動もない。前輪は素のサマータイヤ、コーナリングフォースを探りつつ目的地を目指す。説明書きのとおり、しばらく走ると自動的に芯に合っていた。
下り坂に差し掛かったところで、国産高級FRサルーンが横向きに止まっている。車輪はフルステア、横を向いている。しかもその車輪は後輪! 既にローダーが来ていた。 オキノドク・・・
無事峠を越え平坦路に。前後の安全を確保した上で、フルブレーキを試す。最初は極低速から、低速、中速・・・オートソックを履いていない前輪にABSが大きく作動する。
直線・・・フルブレーキで得た感覚にあわせて車間をとり、徐々にペースアップ。50km/hまでスピードを上げても振動やノイズがない。実に快適。
調子に乗って、後輪のグリップを試したくなった。前輪がコーナーの頂点をかすめるころ、右足のアクセルペダルをほんの少し強めに押してみる。
「やべっ!」
後輪のグリップとウラハラに、前輪がアウトに出ていく。前輪はサマータイヤ、当然の出来事だった。
裏を返すと、前輪はサマータイヤであることを忘れてしまうぐらい安心感がある!
前輪にも履いて試してみたい衝動にかられるが・・・
たまに見る、道路と垂直に後ろ向き侵入で坂になったコンビニの駐車場。後輪が歩道の段差を越える。タイヤから氷を砕く音が聞こえる。アイドリングスピードで坂を上って行く。・・・使える。
新雪にタイヤ跡の付いていない裏通り・・・これといった不安はない。
旧軽井沢、プリンスアウトレットで極寒・大雪の中ショッピング、食事を楽しみ、帰路に・・・
碓氷軽井沢IC入り口で、オートソックを脱ぎ、パッケージの袋に収める。このとき初めて、ナイロン製のロング手袋が同梱されていたことに気づいた。ヘアカラーを買うと付いてくるような使い捨てのものだが、それでもロング手袋を持ち合わせていない人にとっては十分親切である。
それから、パッケージの袋が2つ折りで長袋になっている理由もこのとき解った。汚れたチェーン(チェーンではないが)を無造作に入れられるよう配慮されているのだろう。
自宅に戻ってから、そこそこに洗浄・乾燥してから、丁寧に折りたたんで再びパッケージ袋に戻しておいた。この程度の使い方なら、あと2、3度使えそうだ。
まれにしか雪が降らない地域に住んでいる人、まれにしか雪の降る地域には行かない人にとって、また非常用として、お勧めできる一品。事実、私も購入してから3年目にして始めて使った。
ただし、チェーン規制の高速道路では使用できないし、舗装路を走ると一気に寿命を迎えることが予想されるため、ハードな使用にはお勧めしない。
それから、最近のランフラット装着車で、車載ジャッキの乗っていないクルマは、フェンダーアーチのクリアランスにご注意を!
それから、ほとんどのBMW車は標準タイヤではチェーン装着不可とされていることを付け加えておく。
実は、前車320iのタイヤサイズである245/40-17に合わせて購入したもの(HP645)で、アルピナの後輪255/35-18にはタイヤ幅が1センチほど不足していることはナイショです。
オートソックの購入は、デンシ電気店さんで!