こんな流れから、まさか試乗できることになったE63 AMG!
セールスさんがクルマを玄関前に回してきてくれようと、エンジンをかけた瞬間・・・。
まだ乗ってもないのにノックアウトです。
あのスタート・ブリッピングの音は反則でしょう。
雨音が強く、しかもショールームの中にいたにもかかわらず、明らかに体に響く快音が空気を揺らしました。
そして
「ご用意できました」
とのお言葉をいただき、車に近づくと・・・。
「え!?右ハン??」
そうなんです。
今回の試乗車はこのクラスでは滅多にお目にかかれない右ハンドル仕様でした。
自分は左ハンだと思い込んでいましたので、嬉しい誤算です。
(もちろん、左も乗れますが自分が買うなら(え?)右ハンドルですので・・・^^;)
しかし、後に訊くとセールスさん曰く
「今ではAMGでも、半々まではいかないものも、4:6くらいで右ハンドル車ですよ。」
とのこと。
前置きが長くなりましたが、インプレ開始です!
デザイン
「オーラ」
現行W212 Eクラスは、個人的に最も好きなデザインの部類に入るクルマです。
純粋な「セダン」のカタチとしては、これ以上のデザインはないと思います。
そのEクラスにAMGのエッセンスを混ぜたE63。
オーバーフェンダー、ブラックアウトされたライト、巨大な開口部のフロントバンパー、ボディデザインに合わせた角型4本出しマフラー。
控えめながら明らか主張しているデザインです。
失礼ながら、ショールームのAMGスポーツパッケージが「普通のEクラス」に感じました。。。
インテリア
「スポーツカーというより、超高級サルーン」
ドアを開け、運転席に座ってまず驚いたのが、ステアリング形状です。
AMGスポーツパッケージのDシェイプ・3本スポークに対し、コンベンショナルな4本スポークでした。
シートはAMGといえど、サイドサポートはそれ程張り出ておらず、座り心地もメルセデスらしい「柔らかくしっかり」体をサポートするものでした。
専用のメーターパネルや質感最高のアルミ製パドルスイッチ、AMGスピードシフトMCT7のセレクターレバーによって、スポーツ的な要素もあるのですが、レザー張りのダッシュボードやツヤツヤのダークウッドパネルのせいか、全体から受ける印象は「超高級サルーン」といった感じがしました。
乗り味
「最高!」
Dを出て、歩道を超え、公道に出ようとした瞬間に思わず「ん!?」と言ってしまいました。
極太の18インチを履いているとは思えないほど、当たりがマイルドです。
新車と距離を走ったクルマという違いはあると思いますが、過去に乗ったW215 CL600は完全に凌駕し、W211 E320 CDIに匹敵するほどです。
しかし、ソフトゆえ不快なピッチが続くかと言えば、そんなことは全くなく揺れは1回でピタッと止みます。
定評の「メルセデス・ライド」はもしかして、AMGでより際立つのかなぁ、と感じました。
走行性能
「正直、試しきれないですが・・・」
まずは、注目の6.3ℓエンジン。
話が前後してしまいますが、Dでクルマを用意していただいた時に、セールスさんが「エンジンを切る」という憎い演出をしてくれました。
もちろん、運転するのは自分ですので、スタートボタンを押すと・・・。
「バォン!」と重厚な音でエンジンが目覚めました。
回転の感覚は「V8 6.3ℓ」というよりは「7200rpm回るNA」と言った印象で、密度が濃い感じでした。
しかし、余裕の大きさはさすが大排気量で、524馬力もあるモンスターとは思えないほど扱いやすかったです。市街地なら、流れをリードするためには1500回転も回っていれば十分です^^;
次に、AMGスピードシフトMCT7。
試乗中は恐れ多くてノーマルモードで乗っていましたが、それでもギアの繋がりは抜群によく、アクセルのON・OFFにももたつくことなく反応してくれ、ゼロ発進も至極スムーズでした。
実を言うと途中までコンベンショナルなATだと思っていました・・・。
しかし、シフトダウンとなると別で、60km/hでも6速に入ってしまうギアを5→4→3とシフトダウンすると、「ウロォン、ウロォン」と快音と共にブリッピングしてくれます。Eクラスの遮音性のせいか、メルセデスの
流儀か、外で聞くほどの音量ではありませんが、明らかに耳に響きます。
試乗当日は雨のため叶いませんでしたが、窓を開けてブリッピングの音を聞いてみたいです。
唯一の不満は、2ペダルMT全体のネガとも言うべき、極低速でのギクシャク感くらいです。
そして、一番印象が良かったのがブレーキです!
初期タッチから、やや深い場所まで、特にどの部分が利きやすいと言うわけではなく、全域が感覚とマッチします。恐ろしくコントローラブルで、非常に安心してブレーキングが出来ます。
これは、今まで乗ったクルマの中では何にも似つかない、孤高の雰囲気です。
もちろん、524PSを楽しむ領域では不満もあるかもしれませんが・・・。
コーナリングは全くと言っていいほど攻めれませんでしたが、交差点を曲がったり、レーンチェンジをするだけでメルセデスとの違いを感じました。
まるで、EクラスがCクラスになったかのようにスムーズです。
冗談抜きで130i並にクイックと感じる部分もありました。
・・・と、長くなってしまいましたが、2~30分ほどの試乗で感じたE63 AMGの印象です。
全体の感想としては、高級車とスポーツカーをハイレベルで融合させたというありきたりな感じになりますが、裏返せばこの短時間で双方を感じさせることが出来るクルマと言えます。
もちろん、値段が値段だけに簡単に手は届きませんが、唯一の不満である低速のギクシャク感が改善されれば、相当魅力的なクルマです!
試乗後にはプレゼントもいただき、大満足の試乗体験でした^^;