先日NHKのサイエンスZEROで水星の特集がありました。私はこれまで太陽系の惑星には様々な探査機が送られていますので、もうある程度は知られているものだと思っていましたが、実は水星に関しては技術的に難しく過去に探査機はマリナー10号が1975年に一度だけ近くを通り過ぎただけでした。そのため、水星の4割しか撮影できませんでした。これほど水星探査が遅れている理由としては太陽から一番近い惑星のため太陽からの発生する高温と強烈な電磁波による通信障害などがあるからです。
ようやく2004年に水星探査機のメッセンジャーが打ち上げられて、2011年に水星の周回軌道に乗り、ついに水星の全体像を見ることができました。しかし、到着まで何故7年も掛かってしまうのかと言いますと、宇宙船や探査機の場合は方向転換するたびにロケット噴射を使うと大量の燃料が必要となりますので、惑星の重力で方向転換するスイングバイという技術を使うことで燃料を節約できます。メッセンジャーでは地球で一回、金星で二回、水星で三回スイングバイが使われました。さらに太陽の近くでは大きな重力の影響で探査機が加速してしまうため減速スイングバイを何回も使って無事にたどり着きました。そのため、最短距離だと1億キロのところ79億キロという超長旅となってしまいました!?
余談ですが宇宙空間では予想外の事態が発生すると孤立無援になり即乗組員の命に関わるので絶対的な信頼性が求められるため、最新技術よりこれまで実績のある「枯れた技術」が採用されるケースが多いです。
枯れた技術の宇宙技術の例としてはアポロ用のコンピューターがファミコン並みと言われるくらいの低スペックな物だったり、意外に思われるかもしれませんがロシアのロケットのソユーズもそうです。過去に二度死亡事故を起こしているアメリカのスペースシャトルに比べ、ソユーズは基本設計は古いもののこれまで30年以上死亡事故はありません。とは言えソユーズ運行当初は死亡事故やトラブルを何度も起きておりそういった苦い経験をフィードバックし改善を続けることで今日の信頼性を得るに至っています。それ故にいまだに国際宇宙ステーションへ行くためのロケットとして使われているワケです!
枯れた技術の熟成で安全性を高める手法は日本の原発にも見習って欲しいものです!
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2015/02/05 06:48:31