
数年前に禁煙してからというもの、家で酒を飲む量が増えた。喫煙していたころは冷蔵庫にはビールも何も入っていなかったのだが、その私が就寝前のビールが欠かせなくなったのだ。そして最近はそれがウィスキーに変わった。
学生の頃は、「ウイスキーは悪酔いする」という単純な印象しかなかった。トリスやレッドを飲んでいたときのころである。これらの安いウィスキーを飲むとほんとうに悪酔いするのかどうかは別として、確かに飲んでうまいという感じはしなかった。
久しぶりにウィスキーを飲んでうまいと思わせてくれたのはサントリーの山崎である。香り高いうえに味も芳醇。ずっと口に含んでいたくなるような酒だ。やはり高い酒はよいものだな、とは思ったが、毎日愛飲するにはちと高すぎる。
いろいろ調べてみると、ウィスキー党はニッカを好んで飲んでいるようである。ニッカの創業者、竹鶴政孝の名は聞いたことがあるかもしれないが、この人こそ日本のウィスキーの父と呼ぶべき人物なのだ。驚くことに、サントリーでウィスキー作りを始めたのも、この竹鶴政孝なのである。竹鶴氏の話は調べればいくらでも見つかると思うので、ここでは割愛させていただくが、ウィスキー作りに対する考え方の違いから、氏はサントリーを退社し、北海道の余市で新たなウィスキー作りを始めたのである。それが現在のニッカである。ま、簡単にいうと、日本のウィスキーの本流はニッカ=竹鶴政孝にあるといっても過言ではないのだ。
いずれにしても、日本におけるウィスキーのトップブランドは紛れも無くサントリーである。然るに、サントリーの山崎とニッカの竹鶴を比べた場合、同格の製品の値段はサントリーのほうがずっと高い。これは他のブランドの製品に関してもまったく同様に当てはまる。すなわち、同格の製品であれば、ニッカのウィスキーのほうがはるかに安く買えるのだ。つまり、ニッカのウィスキーを買わない手は無い。
さて、現時点で私にとってもっとも信頼できるブランドは「竹鶴」である。このウィスキーであれば、誰にでもお勧めできる。もちろん、いちばん安い12年でまったく問題ない。普通に飲むのであれば12年で十分だ。ただ、サントリーの山崎と比べると、ずっと本場のスコッチに近く、ビート臭の強い味である。その点は好き嫌いが分かれるかもしれない。
「竹鶴」の話はいずれまたするとして、今日の話題は「余市」である。シングルモルトのこの酒は宮城で生産される「宮城峡」とともに評判の高いブランドである。最近飲んでいるのは、「余市」のなかでももっとも安い500mlの、その名も単に「余市」である。このウィスキーは寝かせた年数が記載されていない。ま、そんなことはどうでもよい。美味しければそれでよいのだ。
ショットバーで余市を飲んだときは、一口目から飲みやすいウィスキーだと感じた。ただ、竹鶴との違いははっきり感じ取れた。さて、今回は"家飲み"である。グラスに氷を入れ、ウィスキーと水を1:2で割った。ゆっくり口に含んだ印象は、
「少し粘土っぽい感じ・・・」
自分の感覚が信じられず、二杯目はロックにしたが、やはり油粘土風の後味が残る。で、いろいろネットで調べてみたが、やはり余市に対して同様の「粘土系の味」を感じている人がたくさん(というほどでもないかもしれないが)いるらしいことがわかった。また、ウィスキーの味に関する一般的な評価として、この「粘土っぽい」という表現が用いられていることもわかった。結果として、自分の感覚は間違っていなかったことを確信したが、今日は正直なところ、この後味がちょっと引っかかってしまった。「余市」好きな人たちは、これをして「余市の味」と感じているのだろうか・・・この風味を楽しめない私は、ウィスキーを飲む者として失格なのだろうか?。
今日のところは少し自分の舌とのミスマッチを感じた「余市」であったが、もう少し飲み進めたあとにもう一度このウィスキーを評価してみたい。また、この余市に感じたテイストを大事にして、これからさまざまなウィスキーを試してみたいと考えている。
Posted at 2011/06/17 01:30:18 |
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