
今日はアンプの話である。いわゆる外付けの外部アンプだ。アンプは、カーオーディオのなかでは、もっとも選ぶのが難しいパーツのひとつだと思う。
なぜ難しいか・・・まず、比較試聴が難しいからである。スーパーオートバックスあたりにいくと、試聴ブースでさまざまなアンプを聞き比べることができるが、はっきりいってデモボードでは細かな違いなどほとんどわからない。僅かに、A社のアンプは高域が目立つとか、B社のアンプは中域重視だ、といったことがわかる程度だろう。だいたい、アンプの周波数特性など、測定器で測れば可聴帯域で±1dbぐらいの差でしかないはずで、スピーカーや車内の音響特性の差に比べればものすごく小さな違いでしかないのである。
ではどうやって選んだらよいのか?私なりのアンプ選びの方法をご紹介したい。
1. ざっくりとパワーで選ぶ。
通常、再生に必要なパワーはせいぜい1チャンネルあたり10W程度である。その意味では、ウーハー用を除いてそれほどパワーのあるアンプを選ぶ必要はない。せいぜい、定格で50Wもあれば十分であろう。なお、2倍(+6dB)の音量を得るには4倍のパワーが必要だ。50Wで足りなければ、200Wが必要だと考えるべきなのである。その意味で、80Wや90Wのアンプを選んだからといって、50Wのものと比べて驚くほどパワーが出るわけではないということに注意して欲しい。
2. 感度設定範囲に着目する。
ラインアンプ(ラインドライバー)について以前書いたが、アンプのゲイン(感度)は低くすればするほどS/Nが向上する。入力の電圧レベルを高く、感度を低く設定できるアンプが望ましい。 例えば、8.0Vといった低感度に設定できるなら、その分だけ音のポテンシャルは上げられるはずである。
3. 冷却ファンの有無に着目する
個人的にアンプの冷却ファンは嫌いである。まず、ファンがあることによって、S/Nが低下する恐れがある。もうひとつは、ファンの故障である。ファンの故障はアンプ自体の故障に繋がりかねない。その意味で、ファンは無い方が良いと思うのである。
4. 雑誌での評価が高いアンプを選ぶ
雑誌のインプレを注意深く読むと、複数の評論家が、まるで口裏を合わせたように高い評価を与えているモデルがいくつか見つかるものである。そういったアンプは"当たり"である。総じて欠点が少なく、良質なアンプである場合が多い。「提灯記事だ」という方もいるだろうが、雑誌を読み続ければ、どれが提灯記事で、どれがまっとうな評価であるか、ある程度は見えてくるものである。
5. ショップの意見を尊重する
信頼できる店員さんやインストーラーがいたら、その人が薦めるアンプを買うといい。人間、人から背中を押されるのは悪い気はしないものである。「このアンプはお勧めだよ」といわれれば、不思議と良い音に聞こえるのである。それが人間心理である。これはアンプに限らず、すべてのオーディオ機器について言えることだ。
6. チャンネルあたり1~2万円を基準にする
つまり、4chで5万円から10万円程度の定価のアンプを選ぶとよい、ということ。私がカーオーディオに(再び)のめりこみ始めたころ、ある雑誌でMCカモ氏が言っていたことの受け売りである。つまり、このぐらいの価格帯のアンプがもっともコストパフォーマンスが高い、ということだと思う。では、10万円以上のアンプはどこが違うのか?きっともっと良い音がするのだろうが、もはやその差を聞き分けられるかどうかはかなり微妙なところだろう。
さて、じっくりと慎重にアンプ選びをしていたところ、毎年刊行されている"Car audio catalog"やAutoSound誌で、比較的低価格なのにもかかわらず、非常に高い評価を得ているアンプを見つけた。
ADDZESTのAPA4320である。このアンプ、5万円を切る価格にもかかわらず、10万円クラスに匹敵する評価を得ていたのである。出力が1chあたり80Wと比較的高く、ゲインの調整範囲が広いのも気に入った。冷却ファンが無いのも私好みだ。加えていえば、私の使用機器のなかにADDZEST製が一つも無いというのも、このメーカーを選ぶ理由としてプラスに働いた。
一度だけ量販店で音を聞いたが、意外と静かな音がするアンプだった。「静かな音」というのは、S/Nが高いという意味である。もう一つ、非常に音がフラットだという印象もあった。実は、低価格のアンプは低音と高音にちょっとアクセントを持たせたものが多いのである。価格も手ごろで、本体もコンパクトと、ADDZEST APA4320に気持ちはぐっと傾いたのである。
(つづく)
Posted at 2010/05/13 04:53:23 |
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