2010年11月30日
このブログの話題の中心でもあるカーオーディオ.一応,自分の趣味であるから,書店ではかならずカーオーディオ関係の書籍には目を通すようにしている.そのなかで,おそらくいちばん高級志向の雑誌がある.AutoSoundである.はっきり言うと,最近のAutoSoundはつまらなくなってしまったと思う.ただ,具体的にどこがつまらなくなったのかを述べるのはなかなか難しいことだ.
まず一つには,特定の機器に内容が偏っているという点である.ここのところiPod関係の話題が多いのだが(それ自体は否定しない),記事の内容的にみて,どことなく勢いに任せて紙面を作っているような印象がある.iPodのロスレスの音とCDの音のどちらが優れるか,といった議論は,実は極めて危険な議論なのである.この議論すら危険なのだから,圧縮音源の議論はもっと危険だ.オーディオの聖域を侵しかねない問題なのである.私は以前に書いたように圧縮音源容認派だが,iPodが登場した途端に音源に関する議論の立ち位置がどうも曖昧になっているように思われるのだ.ちょっと奥歯にものが挟まったような表現になって申し訳ない.
特定の機器に記事が偏っているという意味では,デッキ(HU)もそうだ.ここのところはカロッツェリアのDEH-P01ばかりである.確かに優れた機種だが,このデッキばかりに内容が傾倒してしまっては,カーオーディオ市場は決して活性化しない.この雑誌自体が新しい製品を生み出す核になるような記事がぜひ欲しい.
この雑誌を支えている功労者とも言える先生なので,ここで意見を申し上げるのはたいへん僭越ではあるが,脇森先生の最近の記事は視点を見失っているのではないかと思う.ご自分の求めている音に迷っているのかもしれない.ほんとうは美味しいとは思わない料理を美辞麗句を並べて(無理やり)褒めあげているような文章である.アンプにフェーズを使ったり,スピーカーにブラックスを使っていた頃は,先生の文章から主義主張がはっきり聞こえてきたものである.いや,主張でなく,音が聞こえてきた.そう,かつてのAutoSoundは,紙面から音が聞こえたのである.いつしかその音は聞こえなくなった.それはなぜか・・・
「脇森先生,ほんとうにDIATONEの音が気に行っていますか?実はそうではないのではないですか?プロセッサを使うことが,ほんとうに良い音につながると思ってらっしゃいますか?」
「マイ・フェバ」のコーナーもそうだ.かつては評論家の方々の生の声,音に対する生の想いがひしひしと伝わってきた.また,ごくありふれたトラブルに悩み,それをショップとともに解決していく姿も非常に共感できた.それがいつしかつまらない記事ばかりになってしまった.
別にたくさんのスピーカーやアンプを並べて点数を付けなくてもいい(そういう雑誌は他にもある).評論家の先生方が,思い入れのある機器を存分に語って頂く方が,この本にはあっていると思う.個人的には内藤毅氏がこの雑誌を離れたことがかなり効いているのではないかと思う.何か事情があるのかもしれないが・・・
一度,ホームページ経由でAutoSound宛にメールを書いた.その際,非常に丁寧な返答を頂いた.編集長の嶋津さんである.カーオーディオ市場自体の不況もあって,この雑誌に限らず多くのカーオーディオ系雑誌が苦境に立たされているが,いつかきっと嶋津編集長が今の状況を打開してくれるに違いない.がんばれ,AutoSound!
Posted at 2010/11/30 01:22:59 |
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