
昨日のミッション分解作業中に、可動部分を一部キャンセルして他の部分だけ動かして点検したり、各所のクリアランスや噛合い状態をチェックして、更に部品単体でも確認作業はやっておいた
気になる箇所が何点かあって、明確な原因を再調査すべく・・・↑写真のように、ギアをクラッチハブを重ねてギアを入れたり、抜いたり、スペアのものと組み替えてみたり、純正と組み替えてみたり・・・クラッチハブ単体で動かしてみたり・・・
恐らく傍からみたらかわいくないガキが与えたれたおもちゃをわけが分からずいじくり倒してる絵に見えたはず・・・
で、このOS技研クロスミッションの3速が抜けるメカニズムを検証した結論を発表することにします

これはノウハウでもなんでもないし、割とこのミッションで3速抜けのトラブルを耳にしたので、こんないいミッションを使えないようにしか組めてないことが原因だから・・・
まず↑写真の左側のギア(即ちインプットシャフト)が4速で右側が3速ギア、間にあるのがクラッチハブ(スリーブ・リング・キーのassy)で写真の状態は3速にギアが入ってる状態。
この写真でいえば、4速側のシンクロギア(金色のギア)とクラッチハブスリーブのクリアランスが問題になる

厳密にいえばシンクロギアの切り欠きの溝とハブキーまでのクリアランスってことになる・・・

この写真は1枚目の写真から4速とシンクロの各ギアを外してクラッチハブを裏側からみたもので、3速に繋がってる状況・・・3箇所入ってるハブキーの左側の1箇所が完全に倒れてるのが確認できる・・・ハブキーが倒れたら3速に繋がってる状態を維持することができす、ギア抜けが起こります。
通常はキーがシンクロギアの切り欠きの溝にはまっているから、写真のように倒れることはないし、クラッチハブスリーブやハブリング・ハブキーの磨耗が酷くなければ倒れたりコケたりしにくい。
で、さっきの4速のシンクロからハブまでのクリアランスは4速はインプットシャフトだからケースに押さえつけられて位置は固定してるから、3速、つまりメインドライブシャフト(通称メンドラ)の先端が3速だから、メンドラのスラスト(前後)方向の突き出し量の調整で決めることになってる・・・
でもFD/FCの整備書ではこのクリアランスが2.0mmが基準で(FDの方が狭くする)はっきりいって2.0mmっていったら、ガバガバ状態

だからスラストスペーサーに厚みの種類があるけど、今まで開けたミッションで3.0mm以外のスペーサーが入ってるの見たことがない

だからオーバーホールっていったって、元から入ってる部品をその順番どおりに組んでいけば、ミッションは間違いなくちゃんと機能するものという考えで一般的には問題ないと思う・・・
でもOSのクロスミッションは強大なエンジントルクでもギアの破損やギア抜けが起こらないように、①カウンターギアとのバックラッシュを小さめの設定となってる ②ギア自体の強度もあるけど、ギアのカットはバックラッシュが大きくならないようにカウンターギアとの食い込む方向に力がかかっている ③強度を上げるため、ハブリングと噛合う量を純正より増やしてあるので、ほんの少し純正よりもハブリングの可動量が大きいはず
こういう特徴から、メンドラの振れが大きいのと、リング可動量からハブキーが倒れやすい構造と言える・・・つまり3速に入っている時は抜けない方向に機能してる(ノーマルでもそうだけど、回転が上がったり、駆動トルクがかかるとシフトレバーが勝手に現在のシフト位置に動いていくのが確認できるでしょ

)からかえって4速シンクロとハブまでのクリアランスが大きい調整では抜けやすい環境が整ってしまってるということがいえる・・・実際、2.0mmのクリアランスではシンクロの切り欠き溝とキーとのかかり具合は極めて薄い

この状態でメンドラが振れだすとどう考えてもキーが倒れると思われる・・・
FDの場合、最小クリアランスが確か0.6mm以上だったと思うから、シムを作ってでも詰めてやれば対策でき、ひょっとしたら4速の裏側にメンドラが刺さる構造だけど、これもかかりが増えることで振れがわずかでも抑えられるかもしれない(これはちょっと都合のいい発想かも

)
余談だけど、メンドラの振れはミッションケースにベアリングが固定される位置(つまり1速ギアの後ろ)を基準にして、先端側の3速のジャーナル部の振れを見ないと意味がない・・・ちなみに今の手持ちのメンドラで一番振れが小さいもので0.06mm、規定値は0.20mm以下だったけど、これを大きいと感じるか小さいと感じるか・・・以前OSクロスの3速がブローしたミッションのメンドラの振れは0.4mmを超えてた

つまり、エンジントルクとかで、クロスミッションが壊れるわけじゃなくて、異常なバックラッシュが原因でギアが破損してしまうんだから、メンドラと今回のようなクリアランス調整、などあとは一般的なミッションのメンテナンスでブローは防げる可能性がかなり高い優秀なミッションだってこと

一昔前でゼロヨンでとんでもないパワーのGT-Rなどでも使われてたけど、そんな壊れるようなヤワなミッションじゃないですよね

ギア比や使い勝手は先日のドライブインプレッションの通りで、FDならOS3速クロス&4.3ファイナルでギアが合わないと感じるコースやコーナーってあんまりないんじゃないかと思う

それぐらいフレキシブルに対応できる

改めていうけど、OSクロスは純正のケースに純正のギアとの組み換えでハイパワーに対応したものだからこそ、強度を上げるために形状が少し異なるから、純正の一般的な規定値よりも詰めないといけない・・・ただそれだけのことで、製品に何の問題もない・・・だからノウハウっていう問題じゃなく、チューニングパーツっていうものは、チューナーが創意工夫して取り付けるもの・・・創意工夫することで、パーツの機能度合いが大きく異なるケースが殆どだから、それこそがチューニングってことであり、取り説どおりにアッセンブルすることをチューニングとは言わない・・・で、創意工夫の為には物事をロジカルに分析し、一定の法則を見つけなければ工夫もままならない・・・
そういうものだからこそ、「ドコソコのメーカーのなんちゃらってパーツ付けたら解決するよ」とか「あのメーカーのこのパーツはすぐ壊れるで」とかそういう話は気分よく聞けない

ハードに使うとタマタマ良かったり悪かったりすることもあるだろうけど、一事が万事ではない
タマタマ今回、ミッションで悩んでみたけど、クロスミッションって本当にクルマを楽しくするし、気持ちいいし、エンジンチューンみたいなリスクもなく速くなるから、しょーもないイメージで避けられてるとしたら悲しいことだから、書きました・・・
サーキットだけなら5速フルクロスもアリかもって気もするけど、あまりにレーシー過ぎるのと4速に近づきすぎて、国際サーキットみたいにトップスピードも伸びるコースではファイナル設定が難しいから、3速クロスが合いの子でいいとこ取りって感じですね

最近のクルマが純正6速が増えてるけど、こういう3速クロスに一度乗れば、純正は6個に刻んでもクロスじゃねーなというのが分かりますね・・・
今日は保険の保険としてノーマルミッションに強化スリーブカラーを(かなりブチ殴って)組んでおいた・・・予定では、出番はなさそうだけど・・・
月曜日中には、ミッションパーツが入荷すると思うので、来週には仕上がる(ミッションの確認まで)予定です
