
「電気自動車って、電池交換式になるんでしょ?」
「今の電気自動車は、電池交換式じゃないからダメだ」
ベタープレイスが東京で実証事業をおこなっていることもあり、そう思っている人、意外といます。そして、日産がこれを採用すると思っている人も。
(日産は、日本において採用の予定はないと言っています。例のデュアリスのタクシーも製作しているのは東京R&Dで、日産は絡んでいません。)
さてこの方式、必ずしもいい点ばかりではありません。
まず、交換するためには予備バッテリーが必要となります。これはつまり、走行する電気自動車の数の数倍の電池が世の中に存在するということです。
すると、このバッテリーを製造するための環境負荷が問題となります。そして当然コストも。このコストは、何かしらの形で電気自動車ユーザーが負担することになります。
コスト面ではさらに、電池交換ステーションの建設費や、電池の管理費も加わってきます。このコストは、急速充電器に比べ、大きなものとなるのは間違いありません。
その他にも技術的な課題として、
■コネクタの挿抜耐久性の確保が困難。
■200kg以上にもなるバッテリーパックの固定部の信頼性。
■バッテリーパックの規格化による、車両パッケージングや動力特性などの自由度の喪失。
etc...
ベタープレイスは、軍用機の技術があると主張していますが、軍用機の場合、専従のメカニックがいる上に使用頻度は少ないと思われます。果たして、自動車に求められる耐久性のレベルがクリアできるのか。
また、電池は現在でも発展途上の技術です。同じリチウムイオン電池でも、あらゆる特性の電池が競い合っていて、車両側も特定の電池を前提に開発されています。航続距離はもちろん動力性能だって、モーターではなく電池の性能によって決まります。
また、国の目標では、急速充電器が2020年に5000基、普通充電器を200万基設置するとされています。
それらを鑑みると、ベタープレイスの主張するバッテリー交換式は、一般に普及するとは、あまり思えません。
しかし、今回の実証事業のような、タクシーなどの特定のフリート用途では実現性はあると思います。
ただ過去を振り返ると、プリンス自動車の前身である「たま電気自動車」も、当初はバッテリー交換式を採用していました。しかし、航続距離が増えるのと同時にそれを廃止しています。
歴史は繰り返すのか、それとも今度はこちらが主流となるのか。今後の展開が楽しみではあります。
Posted at 2010/06/04 00:47:29 | |
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