現在、色々なところでこの件について議論がされているようです。私は、この状況は過渡期のものであり今さら議論する必要性はないものと考えているのですが、色々なご意見を拝読している中で気になる点が幾つかあります。
1.PHEVが急速充電することは悪か
EVやPHEVといった充電して走る車両の、国内における社会的存在意義は石油依存度の低減とCO2排出量の抑制です。それを鑑みれば、ハイブリッド走行になったPHEVを外出先で急速充電すること自体は、社会的正義と考えるべきでしょう。
また、「PHEVは充電しなくても帰れるのだから、、、」と言った論調もありますが、これは急速充電器の使用を「電欠の恐れがある際に家(または目的地)にたどり着くための電力を充電する用途に限定すべき」としているものと考えられます。であれば、以下のケースも同列に議論すべきでしょう。
・家まで帰ることが可能な電池残量があっても外出先で急速充電するEV
・家まで帰るのに必要な電力量以上を充電するEV
・意図的に自宅で十分に充電をせずに外出先で急速充電をおこなうEV
2.日産はZESP会員のためだけに急速充電器を設置しているか
販売店のホームページには基本的にどの店舗においてもZESP会員に関する記載は以下のように記載されています。
『優待情報:日産ゼロ・エミッションサポートプログラム会員は、無料』
したがって、あくまでZESP会員は「料金を優待する対象」であって、ZESP会員のためだけに存在しているということではないと考えるべきでしょう。
なお、料金の記載については販売会社によって違いがあります。したがって、一体どこの販売会社のどの店舗について議論しているのか、という点を明確にする必要があるでしょう。
(例)
『日産プリンス東京 成増店』 1回:540円(税込み)
『
神奈川日産 子安店』 日産車:無料または30分540円(税込)、他社車:30分540円(税込)
『
群馬日産 渋川店』 無償開放中。営業時間外利用はセルフサービスにてお願い致します。
『
静岡日産 千代田店』 30分540円(税込み)※営業時間外は無料です
3.国の補助金に関する議論
この議論で気になるのは、利用している補助金を「
次世代自動車充電インフラ整備促進事業」と断定して議論しているケースです。
平成24年度以前の急速充電器に対する補助金は「
CEV等導入補助金(充電設備)」です。(「次世代~」は平成24年度の補正予算で創設され、平成25年度以降に設置された充電器に適用されています)
ちなみに、「次世代自動車充電インフラ整備促進事業」には第1から第4の事業まであり、第4の事業として補助金を受給する場合には一般に開放する義務すらありません。また、CEV等導入補助金においては、すべてのケースで一般に開放する義務はありません。
なお、いずれも有料無料については、充電器の所有者にすべてが委ねられています。
4.三菱の充電器は24時間化していないか
少し前に
ブログで記載しましたが、24時間化は進んでいるようです
5.三菱の充電器を利用するLEAFの存在
三菱ディーラーが有料化および認証器の設置を進め、日産ディーラーやその他の場所への充電器の設置が進んだ現在はだいぶ目にする機会が減りましたが、このケースも存在しています。
また、現時点でも夜間に無料で利用できる三菱店舗は存在し、そこをLEAFユーザーが利用しているケースもあると考えられます。
したがって、「日産ディーラーを三菱ユーザーが」という議論は本来正しくなく、「他社ディーラーを利用するEV・PHEV」という形で議論することが望ましいでしょう。
なお、首都高や道の駅など、三菱が設置した充電器も世の中にはあります。(ちなみに、首都高は今年の3月までは完全無料でした。)その恩恵をLEAFユーザーも受けてきたことは、本議論の論点ではないにせよ、忘れてはならない事実だと考えます。
6.今後の充電インフラ
冒頭に「過渡期」と記しましたが、私が過渡期と判断している理由は次の3つの存在です。
①日産ディーラー充電器への認証器設置の動き
②「
PHV・PHEV・EV充電インフラ普及支援プロジェクト」
③新会社「
日本充電サービス」
①については、JCNのホームページを見ていれば、日産ディーラーへの認証器設置が進んでいるのが分かります。(トップページの最下段に「日産販売店充電サービス開始情報」があります)
認証器が付けば確実に課金ができ、盗電等の議論は消滅しますし、JCNカードを持っている三菱ユーザーには当然、利用する権利がある訳です。
②は、日産・三菱・トヨタ・ホンダが共同出資しての、充電器設置プロジェクトで、急速充電器を4000基設置するそうです。日産と三菱が共に費用を出している以上、両社のユーザーが共に使うことは当然ですし、タイトルにPHEVとある以上、日産も三菱もPHEVで利用することを前提に進めていることは明らかです。
③は、②で設置した充電ネットワークを運営する会社だそうで、同じくカーメーカー4社が出資しています。ここでは、『自動車メーカー4社は、それぞれ電動車両ユーザーへ「一枚の充電カード」をお渡しし、NCSが管轄する全ての充電器をいつでも利用できる、ユーザーにとって利便性の高い充電インフラネットワークサービスを年内を目途に提供していく。』とされています。
この「一枚の充電カード」で利用できる充電器に、日産・三菱両ディーラーの充電器も入ってくると、私は考えています。(そうでなければ、わざわざ「一枚の」という表現をするとは考えられませんから。)
7.個人的意見
認証器が設置された充電器を、料金を払ってLEAFもアウトランダーも公平に利用する。その姿が間もなく実現されようとしている今、わざわざこのような議論をすることに、どのような意味があるのでしょうか。
そして、本来商売敵であるカーメーカーが手を組み、共同で会社を立ち上げてまでの充電インフラの取り組みを進めている中、ユーザーサイドではいがみ合っている現状をメーカー側はどのように見ているのでしょうか。私は、少々さみしいものを感じます。
また、本議論の発端となったとも言える国沢さんですが、その方について私は疑問を持っています。
こちらのサイトを見ていただければ分かりますが、国沢さんは元々、電気自動車を1回の移動距離が10km以内のシティコミューター以外には使えない存在と断定し、EVで長距離を移動しようとすることや、そもそも電気自動車自体を否定的に論じていた方、というのが私の認識です。
他にも
色々なトラブルを起こしていきている方のようですし、そのような方の発言を元に、両社ユーザーが非難しあうなんてバカバカしくないでしょうか。
そしてこういった状況を見て、これからEVやPHEVに乗りかえようとする方が二の足を踏んでしまえば、それこそEV・PHEVの普及を妨害するものに他なりません。
Posted at 2014/06/01 00:28:21 | |
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