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2011年07月05日

大型ヘリカル装置(LHD)の見学報告

大型ヘリカル装置(LHD)の見学報告 暑い日が続いていますね。夏の照りつける太陽に、その膨大なエネルギーをひしひしと感じます。太陽の中心温度はなんと1500万度!太陽が輝いているのは、重力により閉じ込められたプラズマの中で4個の水素原子からヘリウムが生成される核融合反応によるものだそう。オーロラや雷、稲妻もプラズマでできていて、宇宙空間はほとんどがプラズマで満たされているとか。壮大な話ですね!

さて、大学共同利用機関法人自然科学研究機構・核融合科学研究所(岐阜県土岐市)にある大型ヘリカル装置(LHD)の見学会に参加したのが3月3日でした。その時の報告をしようと思いつつ、震災が起き、書かないままに時間が過ぎていきました。遅ればせながら、夏休みを迎える前にその時の様子を報告したいと思います。

この研究所は、2035年~40年頃の実現化を目指している核融合発電の基礎研究であるプラズマ開発の研究を行っています。プラズマと言えば薄型テレビを思いつきますが、身近なプラズマ技術としては、蛍光灯やネオンサイン、水銀灯、空気清浄機などがありますね!

「地上に太陽を」をスローガンに、核融合エネルギーは、東西冷戦の頃から国際協力で開発が50年にわたって進められてきました。実際の核融合発電炉では、1億度のプラズマの閉じ込めを目指しているそうです。 さて、見学会で最初にびっくりしたのが、装置の大きさです!写真でも、なんとなくこのスケール感がわかりますか?



ヘリカルとはらせんを意味する言葉だそうで、この装置は、らせん状にひねって成形した超伝導コイルを使い、ドーナツ型の磁場をつくっています。超伝導コイルのお陰で、電気抵抗による発熱が生じず、長時間にわたって継続運転ができるそうです。

下の写真は、真空容器の模型ですが、この中でプラズマが点く仕組みです。核融合を起こさせるには、プラズマを高温・高気密にして長時間閉じ込める必要があるとのこと。太陽は自分自身の重力でプラズマを閉じ込めていますが、地上で核融合を起こすためにさまざまな閉じ込め技術が試みられています。これはヘリカル方式ですが、他にトカマク方式、レーザー方式などがあるそうです。



見学会で説明してくださった武藤敬教授。この研究所では技術開発だけでなく、大学院生らの教育も行っています。

 

核融合エネルギーの燃料は海水中に含まれていて、重水素を利用します。海水を燃料にできるとエネルギー資源を自給することができるのは大きな利点ですね。



現在、ITER(イーター)という大型の実験装置が、日・米・中・韓・印・露・欧の国際協力のもと、フランス・カダラッシュで建設されようとしています。核融合発電に必要なプラズマ閉じ込め性能の最適化や制御技術の確立など、さまざまな実証実験や工学試験を行う予定だそうです。 建設期間が10年、運転期間は20年の計画で、水素プラズマ、重水素プラズマ、最後に重水素とトリチウムのプラズマでITERの目的である燃焼プラズマの制御実験が行われるそうです。

 

核融合発電は、放射線の安全上の対策が必要です。しかし核分裂と違い、核融合は核反応の暴走は起こらないといわれています。潜在的放射線リスクは、同規模の原子炉に比べると1000分の1程度と、相対的に小さいようです。しかし、核融合炉に含まれる放射性物質により被ばくすることがないよう、厳重に管理する技術や素材の研究開発が進められています。

「夢のエネルギー」と呼ばれ、革新的エネルギーに位置付けられている核融合発電ですが、とても難しい技術のため、難問課題がたくさんあるようです。しかし、世界のエネルギー問題解決に貢献すべく、将来的な実用化が期待されています。
ブログ一覧 | 核融合 | 日記
Posted at 2011/07/05 17:01:02

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この記事へのコメント

2011年7月5日 17:09

宇宙の謎は自分も大好きなテーマなんですけどね♪

いつかは人が理解できるものになってるんでしょうか。。
追い続けるものがあるっていいものですね☆

にしてもエネルギー・・・これはホントいろんな問題がでてくるんですねぇ(汗)
しかも実現させるまでの年数もハンパなく長い・・・

コメントへの返答
2011年7月6日 10:58
DC.さん

おはようございます。そうですか、DC.さんも宇宙の謎は好きなんですね。
解明されていることもたくさんあるのでしょうが、多くが未知の世界ですよね。

世界のエネルギーの需要は増えていくので、日本も含め、これからますます大変ですよね。核融合発電は、実用化までの時間がかかりますが、国際協力でできるだけ早く実現化をという声が高まっているようです。
2011年7月5日 18:03
写真がかっこよすぎ!まるでエウ゛ァの世界みたひ
コメントへの返答
2011年7月6日 11:00
おりはるこんさん

そうですね!たしかにはじめて装置を目の前にした時にそんな印象を受けました!
2011年7月5日 18:45
 こんにちは

 なんか写真はエヴァの世界みたいですね。

 そして、新しい海水が燃料に出来たら良いですね。なんか早く実現して欲しいですね。
コメントへの返答
2011年7月6日 11:05
天草シノさん

おはようございます。やはりエヴァの世界ですね!
そうですね、海水を燃料にできれば、可採年数も気にならず、無限にありますね。着々と技術を積み重ね、実現化できるといいですね。
2011年7月5日 18:53
すごい施設ですね!
安全な核融合発電はやく出来て欲しいです。

クルマのサイトだし、ヘリカルLSDの見学も、そのうちやってくれますかf^^;
コメントへの返答
2011年7月6日 11:11
ovatarさん

そうなんですね、規模がとにかく大きく、また複雑な仕組みの装置で、エヴァみたいでしょう?
ヘリカルLSDの見学ですか!みんカラ編集部が協力してくれるかな?
2011年7月5日 19:00
これだけ技術があるのに、国は何をしてるのでしょうか?

また、今回の某大臣辞任で、無駄な国会を開くお金があるなら、被災地の方の暑さ対策、熱中症対策と技術を早く生かして、不安を解消して欲しいです。

すみません、愚痴になりました。
コメントへの返答
2011年7月6日 11:20
Z5Jさん

そうですね、今の日本の状況には愚痴りたくなりますね。

被災地の復興と住民の不安解消にできるだけ注力しなくてはいけませんね。このところの暑さといい、被災地でもいろなことが大変になっていることでしょう。それを思うといたたまれません。
2011年7月5日 19:12
今晩は南馬と申します。海水が燃料というのが正に「夢のエネルギー」。核分裂ではなく核融合発電の放射能リスクが小さい点が良い。こんな折、安全に対する技術を進め実用化が早まるといいですね。
コメントへの返答
2011年7月6日 11:23
南馬一誠さん

おはようございます。
海水が燃料で、まさに夢のエネルギーですね。
現場で開発されている研究者の皆さん、かなり真剣に実用化に向けて取り組んでいるという印象でした。
2011年7月5日 19:56
真由美さん、こんばんは。

リスクの少ないエネルギーが開発されれば素晴らしいことですよね。

しかし、物凄く複雑そうな装置ですね。
コメントへの返答
2011年7月6日 11:27
cedcedさん

おはようございます。放射線リスクを可能な限り低くするための開発が進められているそうです。やはりこの点はとても気になるところですよね。
はい、ものすごく複雑な装置でした。見るからに相当難しい技術という印象を受けますね。
2011年7月5日 21:29
こんばんは

>写真でも、なんとなくこのスケール感がわかりますか?
たばこの箱でも置いてくれれば(爆)
比較対象がないのでどのくらい大きいのか判断できません(汗)

以前にも書きましたが20年後、30年後では遅いように思います。
それまでに全く違った技術が発見、実用化されるかもしれません。
そうなったらそれはそれで歓迎できることですが今まで費やしてきた期間が全て無駄になる可能性もあります。
無駄にしないためにも早期の実用化を望みます。
コメントへの返答
2011年7月6日 11:33
Gen1さん

あ、そうですね、比較する対象があればスケール感がより伝わりますねー。
最初の方の大きな写真は、階段をずっと上がって、装置を上から見た写真です。
大型機械でもここまで大きいものはそうそうないのではと思いました。

20年、30年後では遅い・・・。
そうしたご意見もあるでしょうね。
スピーディさが問われる時代で、技術は刻々と進歩していきますものね。

早期の実現化を目指してほしいですね。
2011年7月5日 22:18
松本さん、こんばんは。

私も宇宙や星の話は好きなので、核融合は興味があります。
恒星のエネルギーの源である核融合が本当に実現できれば本当に凄いことだと思います。
早く実用化できるといいですね。

核融合研究所は仕事でも多少関係があるので(私自身は直接ないのですが)、応援してます。
コメントへの返答
2011年7月6日 11:37
katsutaさん

おはようございます。
katsutaさんも宇宙や星の話がお好きなんですね!
私もプラズマや核融合について、いろいろ本を読んでみたのですが、おもしろいなと思いました。

お仕事で研究所ともつながりがあるんですか。実用化に向けてがんばってほしいですね。
2011年7月6日 0:28
手塚先生 の未来技術がやっと手のとどくところまで来たのですね。
昭和30年代のマンガの中に、街の中心で輝く、もうひとつの太陽が描かれていました。確か、永遠のエネルギーだったかな。 「人類が太陽を手に入れた」との記述だったはずです。

とわ言え、壮大な装置もまだ実験段階、一刻も早くの実用化を期待しますが、まだまだ時間がかかりますね。   安全第一

梅干しから核融合まで、真由美さんのブログの壮大さに感服いたします。
   梅干しも壮大な化学反応ですね。 もう一つ梅酒の化学反応も楽しみです。
コメントへの返答
2011年7月6日 11:44
元CIVICの狼さん

手塚先生の未来技術が、近づいてきましたね。子どもの頃にマンガに出てきた未来技術や未来都市は、ずっと遠い将来のことだと思っていました。「人類が太陽を手に入れた」という言葉、ロマンがありますね。もうひとつの太陽が描かれていたんですね。その一コマ、見てみたいです。

はい、安全第一!早期実現化を視野に入れつつ、安全で確かな技術の確立が求められますね。

そうですか!最後の元CIVICの狼のコメントに吹き出してしました。
自分ではまったく意識していませんでした。
言われてみれば、梅干と核融合が併記されているブログはちょっと不思議かも、ですね(笑)
2011年7月6日 21:45
核融合は未来に逃げて行く技術だからなぁ。
技術的には確実に進歩していますけど、いつまでたっても実用化が見えて来ませんね。
研究が進めば進むほど新たな問題が出て難しさが見えて来て難問を掘り起こしているような感じです。
たぶん2050年になってm実用化は出来ていないでしょう。
それに核融合炉を起動させるには原子力発電所くらいの電力が必要と言うなんだかお馬鹿な装置です。起動してしまえば維持電力はそれほどでもないんですけどね。

で高速増殖炉などの核燃料サイクルよりは確実に夢が有りますね。もんじゅも早く燃料取り出し装置を修理して廃炉して欲しいものです。
コメントへの返答
2011年7月7日 23:46
jawayさん、

こんばんは。現場で開発している研究者たちのお話、またいろいろ文献にも目を通してみましたが、核融合発電はとても難しい技術のようですね。
私も見学に伺う前は、「今世紀中の実用化は無理」といった話をまわりから聞かされました。jawayさんのようなご意見を開発現場の皆さんも耳にされてきたと思います。
期待を持ちすぎてはいけないと思いますが、現場で直接お話を伺って、少し印象が変わりました。
今世紀中頃までの実用化は厳しい目標設定かと思いますが、いつの日がブレイクスルーがあるかもしれません。
核燃料サイクルについては今まさに活発に議論されていますね。
2011年7月7日 15:33
はじめまして、イイネから来ました。

核融合、凄い技術なんでしょうが、3月の福島原発の事故を考えると、何よりも安全管理が一番大切ですよね。

いくら近未来の素晴らしいエネルギーであっても、一つの事故で地球が滅亡する様な危うい技術であればそれは人間が使用するに値しないと思います。

地球上では人間が生物界、食物連鎖の頂点に立ってます。それをいいことにやりたい放題・・・。
全ての生命に関して責任を持った行動が必要でしょう。それが出来ない技術なんて不必要です。
コメントへの返答
2011年7月7日 23:44
MARTELLIさん

はじめまして。
初コメありがとうございます!

福島第一原発の事故の影響は甚大ですね。
開発現場の皆さんも安全管理の技術開発と情報公開について、一層真剣に取り組まれるようです。

技術への信頼が損なわれると、社会に受け入れてもらうことはできませんね。
技術論だけではあらゆるテクノロジーは理解されないと私も思います。
2011年7月12日 22:05
ヘリカルだのドーナツ型だのと読んでいるうちに
トカマクかっ!とか思ったんですが違うんですねw

スゴイ大きな装置ですね。人がみんな小さく見えr・・
って、ああ、小さいんですね、実際にwww
コメントへの返答
2011年7月14日 18:16
VISOR Ⅶさん

そうなんですね、いろいろ型があるんですね。
図で見ると、もっとわかりやすいんですが、図で示せずすみません。

はい、とても大きな装置です。
今まで私が見た内では最大規模です。
見学も受け付けているそうですので、ご興味があればぜひ!

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こんにちは。松本真由美です。 エコやエネルギー問題についてのさまざまなこと、大学での雑感、プライベートの出来事、ご紹介したい人、講演やイベントについてなど...
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