大好きだった爺ちゃん。

私と同じ様な経験をしなくて済む人が一人でも増えればと思いブログにしました。


私が住んでいる場所から爺ちゃんの家までは新幹線とバスを乗り継いで少なくとも五時間かかる位離れている。
私が幼い頃は盆休みと正月休みに爺ちゃんの家に遊びに行くのが楽しみで仕方無かった。
そんでもって小さい頃は爺ちゃんは何処へ行くにも何をするにも一緒に居てくれた。
そんな爺ちゃんが大好きだった。

しかし、両親も年を取り私も仕事や付き合いもありたまにしか行けなくなってしまっていたある年末。
爺ちゃんが入院したとの知らせがはいる。
家族で御見舞いに行く事になったが私だけ仕事があり行けなかった。
何故かこの時はそれまでとは違い胸騒ぎのような不安にかりたてられ、行かなければならなかったのではと落ち着けずにいた。
母から連絡があり大したことないからすぐ退院できるだろうと言われとりあえず安心して、盆休みには必ず行くと決めて正月休みが終わった。

それから数ヶ月後GWすらまだ先の休日の朝に爺ちゃんが危篤との電話。
母と私の二人が新幹線に飛び乗り向かう。
まだ爺ちゃんの家まで半分の距離がある新幹線の車内で母の携帯が鳴り、席に帰ってきた母の顔は涙をボロボロ流し声を漏らさまいと唇を噛み締めていた。
何か言いたげだったが声になっていなかった。
多分、声を出したら泣くの我慢出来なくなってしまうからだろう。
私は電話の内容を教えてもらわなくても理解出来たし、あの時の母の顔と新幹線があんなに遅く感じた事を今でも覚えてる。

そして、あの年の正月休みに御見舞いに行けなかった事を後悔してる。
仕事を休んででも盆休みまで待たなくてもすぐに御見舞いに行かなかった自分自身を許せない自分が今でもいる。
爺ちゃんは入院してから１度も会いに行けなかった私を恨んでいるだろうと思ってた。


もう十数年昔の話だけど、少し前に叔父から今になって爺ちゃんの想いを知る事が出来た。

私が仕事で御見舞いに行けなかった正月休みは両親と弟が行っていた。
両親と弟が帰った後に爺ちゃんは叔父達を怒ったらしい。
『お前ら(弟の名前)ばかり声かけて(私の名前)に何故声をかけてやらんのや？(私の名前)が可哀想だろうが』
と怒ったみたい。
病気のせいでほとんど視力を失っていたので叔父達が(私の名前)は仕事で来てないよと爺ちゃんに言葉で教えても
『あんなに(私の名前)をほかっといては(私の名前)が寂しがっとる筈や』
と聞く耳持たずに何度も何度も言っていたらしい。
それを聞いて私は涙が止まらなかった。
恨んでるどころか私の事を気にかけ心配してくれていた。

そして、どれだけ辛い治療を受けても辛い苦しい嫌だと弱音を言わなかった爺ちゃん。
その爺ちゃんが私が車が好きで大切に乗り続けてる事を母から聞いていたみたいで私の車に乗せてもらいドライブしてみたいが自分は視力がもうほとんど失われているし、ここまでかなりの距離があるから運転させて来させるのは危ないからとぼやいた事があったらしい。
そんな事私は１度も言われたことがない。
いつも電話をするとたあいもない話をして終わってた。
ねぇ爺ちゃん、そりゃ無いよ、ねぇ爺ちゃんてばさ。
言ってくれれば仕事休んででも視力が有ろうが無かろうがどんなに遠かろうがドライブ連れていけるように爺ちゃんの病院まで迎えに行ったじゃんね。
ねぇ爺ちゃん、今聞いてももう叶えてあげられないよ。

私の事を恨んでいなかったと叔父から教えてもらえて長年つかえていたものがとれた気がした。
だが御見舞いに行けなかった事、爺ちゃんの願いを叶えてあげられない事、この現実は変わらない。
せめても今年のお盆は自分の車で爺ちゃんの墓参りに行こうと思う。


もしあなたがあなたの大切な人に何かしてあげたいと思っている事があって、それがまだ可能なら後回しにしないで今すぐとは言わないがしてあげて欲しい。
こんな辛い思いはしない事にこした事はないのだから。


ただ今回の事で再確認出来て良かった事がある。
それは私が今でも爺ちゃんが大好きだということだ。