2012年07月12日
プロが教えない本当のドライビングテクニック パート4 タイヤの使い方編
とりあえずは最終回として、タイヤの使い方を直伝したいと思います。
一言で「タイヤを使いこなす」と言うのは簡単ですが、F1ドライバーでもこの作業が最も難しい事で、私自身も現役時代(今も現役と思ってる!?)これに苦労しました。
ウンチクはおいといて、早速話をしていきましょう!
サーキット、峠などですぐに最大のグリップ力が欲しい時、出来る限り短時間でタイヤの内圧の上昇、内温度、表面温度を適正な値まで上げる必要があります。
では具体的に「どうするか」ですが、みなさんはもうご存知かと思いますが、縦方向での加減速で主にタイヤの内圧、内温度を上げる事に全身全霊をかけましょう!とにかく低いギアでの急加速、フルブレーキングをスタートギリギリまでやり続ける事が勝利の第一歩なのです。アウトラップ、フォーメーションラップ問わずマシンが動き出してからはもう勝負が始まっていると思ってください。
駆動方式によって暖め方は異なり、MR、RRはフロントタイヤに熱が入りにくいので減速(フルブレーキ)をより頑張ります。(※後方注意) FF車はリアタイヤに熱が入りにくいのでサイドブレーキを多様し、これまた最後の最後まで加速中に引く(特に有効)事を心がけましょう。サイドブレーキのないレーシングカーは別ですが・・・・・・(笑)
よく決勝前にダミーグリッドからスタート練習を兼ねてスタートダッシュしている車を見ますが、ローンチコントロールのない私達の車の殆んどはこの時のクラッチミートの回転数を決めて加速し、タイヤのスピン状況で本チャンのスタートクラッチミート回転数を決めます。1000回転もダミーと決勝のスタートで替える事は無いですが、もう一周ある場合、更に熱がタイヤに入る訳で、より高い回転数でのミートが可能なのです。但し、ダミースタートで思いのほかホイールスピンが多い場合は、ダミースタートと同じ回転数でミートするのが良いでしょう。
あとタイヤを暖める為に、ハンドルを左右に振りタイヤを暖めているドライバーを見ますが、これは加速も減速も出来ない状況の時だけしましょう。(加減速ほど効果はないので)
注意点としては、フォーメーションラップ中、前後の車両との距離を十分にとる事、前車との距離を隊列を崩さない程度に十分空ける事、加減速中も必ず、ミラーで後方確認をする事です。そしてスタートの自分のグリッドの5M手前まで加減速を最後まで頑張る事なのです。
(但し、必ず前後左右の車両、ダミーなら人にも細心の注意を払うこと!!!!!!!)
次に、レーシングスピードでのタイヤの使い方ですが、走行初期、中盤、後半とタイヤのグリップの変化の中で、アンダー、オーバーを感じてきた場合、走行初期なら必ずと言って良いほどアンダーならフロント側、オーバーならリア側が発熱しきってないのでしょう。この場合、飛び出さない、スピンしない程度にその状況を逆に維持し続ける事で発熱を誘発しましょう!良い方向に変化が起こり始めたと感じた場合は、今の走り方がBESTなので変える必要はないのです。よく初期の発熱不足の理由でその車の状況から「車に合わせた運転」をしているドライバーは既にライバルから置いてきぼりをくらってます(笑)
中盤から後半にかけて挙動変化が出てきた場合、先ほどとは真逆で、出来るだけ挙動を出さないように心掛けた運転を行います。アンダーオーバーでタイヤの表面温度が一時的に限界を超えて発熱すると、越え方にもよりますが、例えばオーバーステアによって103%発熱したとすると、リアタイヤのグリップを戻すのにその後4~5個のコーナーを抑えて走らないとグリップが戻りません!まして大きくオーバーステアを出し、120%の表面発熱をさせてしまうと、2~3周はグリップ回復を望めないでしょう!!
タイヤが完全に発熱していないのに「アンダーや」「オーバーや」と言うアナタ!まだまだですぞ!!!
タイヤは丁度良い状態で発熱し続けると最大のグリップを約束してくれると同時に、97%で走っていれば103%の走りを一瞬だけ容認してくれるが、100%使い切って走っている場合、101%のタイヤ表面温度の上昇を見逃さず、必ずしっぺ返しが待ち構えています。でも速いのは100%で、如何に100%に近い走りが出来るかがキーポイントで、97%で走っているドライバーは、たまに101%で走るドライバーには敵わないのです。アウトラップでまだタイヤの冷えた滑るマシンをコントロールしながらタイヤを暖め、タイムの速いドライバーが勝者なのです。
フォーミュラでも上級カテゴリーに行けば行く程、「今のカテゴリーのタイヤをやっつける」事の出来るドライバーだけが、より上のカテゴリーのマシンでタイムを削れる訳で、「範囲内の人」はそれ以上のカテゴリーでの活躍は無理で、昨今のF1ではそこまで上がってきたてのドライバーでさえ、直ぐには「タイヤをやっつける」事が難しく、ラップたびに、タイヤが冷えてラップタイムが落ちるなんて事があるほどなんですから!!!!!
30分全開で走って、タイヤが上手く全体的に磨耗してトレッド面が綺麗な状態なんて嘘じゃないですが、全体にササクレが出来ている状態じゃないと使い切って無いんですよ~~
どんなタイヤでも30分全開で3本も走れば、完全に終わります。。終わらない人はまだまだですぞ~
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Posted at
2012/07/12 13:01:33
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