ケミカルチューンをいろいろトライする一方、アマチュアが手を出せるチューンとして点火装置があります。
少し前にバイク用に「CDI」を作ってみたことがあります。
そのバイクはフライホイールマグネットによって数100Vという電圧を供給するものでCDIは比較的簡単に作ることができます。

左がもともとバイクについていたもの、右が自作したもの。
まるく見えている白いものは点火時に光るLED。もう一つの穴は点火時期微調整用の可変抵抗器を回すドライバーを突っ込む穴。
写真は自作1号機で高回転域で失火がひどくボツにしたもの。成功したものは今もバイクについています。形はほとんど変わらないからね。
中身はこんな感じ。

取り付けて走行してみて結果は… 特に変わらず。たぶん点火エネルギーが何も変わらないのでそうなんでしょう…
さて、点火装置で思い出すのが「プロフェッショナル ボンファイア」という点火システム。
もう40年も前でしょうか。

この写真は
この方のHPから拝借しました。
巷でもとても評価が高く、車好きの友人なんかは「これ以外に効果のある点火装置はない」とまで言ってました。
興味があったので、もう20年ほども前になりますが開発者のS氏を訪ねてみました。
S氏は映画会社に入社した後、映写技師になり、当時はアーク(火花)放電を光源にした映写機だったのでそんなことから高電圧、火花放電の技術に入った人だったと思います。
このプロフェッショナルボンファイアのうわさを聞き、FORDも技術導入したいとやってきたそうです。
確か回路図まで見せてくれて説明をしてくれました。探せばどこかにあるかも。
話も技術も理にかなっていて「ホンモノ」だと思いました。
以下はその詳細ですが、古い記憶ですし技術的な理解力の限界もあり真偽のほどは保証できません。
知ってる方は読み飛ばしてください。
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まず普通の点火装置の簡単な説明です。
添加するときはイグニッションコイルの一次側の電流を急激に変化させます。
従来は比較的大きな電流を流しておいて急に遮断して電流を「0」にします。最近はコンデンサーに貯めた電荷を急に流します(CDI)。
「急に止める」と「急に流す」の違いはありますが、「電流を急に変化させる」のには変わりありません。
一次側コイルの電流が急に変化すると、全体として変化させまいとして二次側コイルに電流が発生します。一次側と二次側の磁束合計を同じにしようとするわけです。
玉突きで、突いた球を置いた球の正面にまっすぐ当てると、突いた球が止まって止まっていた球が急に走り出すのに似ています。
プラグのギャップは普通電気を通さないので二次電流が流れようとしても流れられません。
そこで電流が流れない代わりに電圧が上がってきます。
ある電圧を超えるとプラグギャップが電気を止めきれなくなってついに電気が流れ始めます。絶縁破壊といいます。
ギャップを電気が流れるのを放電といって、このときの電圧は1万V以上と言われています。
放電部は温度がスゴク上がるので光って見えます。これが火花です。これで混合気に火をつけます。
この電圧はそのときの圧力や温度、混合気の状態などで違い、点火装置で決まるのではなくてプラグやプラグ近傍の混合気の状態で概ね決まります。
点火装置は安定して絶縁破壊できるだけの電圧を発生させる能力を必要とされますが、放電を始めさえすれば主として電流が点火状態の優劣を決めることになります。この電流が大きい点火装置が高性能ということになります。
高電圧が発生できるというのが分かりやすいので宣伝文句によくつかわれますが、私は放電持続電流が大きいことに意味があると思っています。
もちろん、高電圧を発生させようとすれば結果として電流も大きくなるのが常ですから特に矛盾があるわけではありませんが…
絶縁破壊には1万V以上の電圧を必要としますが、ひとたび放電を始めると500V以下でも放電は続きます。
これはプラグギャップ近傍の混合気が放電、燃焼によりプラズマ化して電気が通りやすくなるためです。
イグニッションコイルはまずは高電圧を発生させる必要がありますからそれを重点に設計されています。
結果として、放電開始後の電流は比較的小さくまたすぐに減少してしまうのが普通です。
点火がうまくいかないときというのは、放電しないか、放電しても燃焼が始まらないか、一旦点火してもすぐ消えてしまう場合などです。
これらが失火という現象で、普段でもいくらかは失火しているといわれています。
さて、「プロフェッショナルボンファイア(以下PB)」ですが、この装置は放電開始後の電流を強化するものです。
イグニッションコイルには放電開始後一次コイルに振動電圧が残ります。
これに目をつけ、別に500V程度の電源を用意しこれにより強い放電を続けさせようというのが「PB」です。
この新たな電源は二次コイルの接地側に割り込ませてあり、放電開始後はちょうど従来の二次コイル電圧に500V程度を加えた状態でしばらく放電が続くことになります。
これにより放電時に確実に着火することになり、また点火時期も安定します。
しかし、このように二次コイルは接地側を一次コイルと独立した設計になっており、有名なイグニッションコイルメーカーに作らせていたようですが、コイルが1本だけでいいならともかく、最近のように複数のコイルを使うにはコストの面から無理なようでした。
当時、ユーノスロードスターに乗ってましたが、ディストリビュータレスだったため使えませんでした。
また、ディストリビュータタイプ以外は作る気はないと言ってました。
しかし要は二次コイルの接地側に500Vを繋げてやればいいわけで自作も可能と考えましたが、一次コイルと二次コイルの端子が独立した適当なコイルが見つからず断念しました。
「プロフェッショナルボンファイア」でググってみるといろいろ出てきます。
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そんな「PB」ですが、最近でも旧車を中心にみんカラでも取り付け例などが出ていて、結構いい評価です。
最近、OKADA PROJECTSからプラズマグラウンドという商品が売り出されており、これが原理は違うかもしれませんが現代版「PB」のようです。
先日、ドライビングシューズを作っている
「MARUMITSU」さんのデザインスタジオに行きましたら、社長さんのBMWにつけたら「エンジンが別物になった」という話をスタッフの方から聞きました。
この雑誌にも載ってましたね。
考えてみよーっと。