"スレンダー@ZABBIX2.2のお勉強会会場"でございます。
今日は、すこーし(ホントか?!)専門的かつオタッキーネタで失礼いたします。
いきなりですが、この記事をご覧になった方でZABBIXというソフトウェアをご存知の方はいらっしゃいますか?
オープンソースソフトウェア(OSS)の監視ソフトウェアなのですが、非常に高機能で、今現在、企業ユースで大変盛り上がってるソフトウェアです。
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『オープンソースソフトウェアって何じゃい?』と申しますと、超簡単に言うと"ソースコードを公開されていて、フリー(無料)で利用可能なソフトウェア”です。
オープンソースがどのくらいのインパクトがある話かと言いますと…Windowsのソースコードが公開され、単に利用するだけならタダになる、位のイメージです。実際Windowsがタダになる事はありませんが。
正確じゃないので、wiki貼っときます(爆)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AA%E3%83%BC%E3%83%97%E3%83%B3%E3%82%BD%E3%83%BC%E3%82%B9
と言う事で、今仕事で携わることの多いZABBIXを通じて、オープンソースの盛り上がりの面白さやその背景や所感について少し書いてみたいと思います。
因みに、今日の話のネタであるZABBIXはラトビア国発のソフトウェアでして、欧州、北米を中心に利用の輪が広がっており、近年日本でも大変注目されております。
#ラトビアってどこ?という方が大多数でしょう。ココ↓です。寒そうなイメージ。
それに呼応して去年からZABBIXの日本支社が立ち上がりました。
そして、ZABBIXをサポートするパートナー企業も増えており、日本でのZABBIX導入が現実的になっています。
ZABBIX自体はVer.1.0が2004年にリリースされて以降、機能拡張・不具合改修を経て現在Ver.2.0がメインバージョンとなっています。現在は仮想基盤(事実上VMWareのみですね)のhypervisor監視機能が追加されたVer.2.2がリリース間近との事で、本日私達ZABBIX社のパートナー企業によるVer.2.2の新機能評価、勉強・共有会が行われている、というわけです。
...うわー、この時点で9割5分は読んでくれないな、、と思いつつ気にせず続けます(苦笑)
『そもそも監視ソフトウェアって何?』
・・・という疑問を持って下さった方向けに簡単に説明しますと、企業システム(サーバやアプリケーション、ネットワーク、その他諸々)に何らかの障害が起こった時、それを検知し人間に通知したり、簡単な障害なら自動でリカバリー処理を行ってくれる、その様な仕組みを実現するものです。
これまでは、企業の重要なシステム向けの監視ソフトウェアと言えば(日本では)「日立 JP1/NNM」「IBM Tivoli Netview」「HP OVO」「富士通 System Walker」など、大手ITベンダー製品を使うのが一般的でした。
大手の監視ソフトウェア製品の場合、巨大な組織を動かしての開発費や手厚いサポートのペイの為にでしょうが、高額な初期費用、有償サポート(保守)費がかかってしまうのが通例であり、大規模システムだと保守費が○千万~億円となってしまうこともザラなのです。
この様な中、導入して利用するだけなら(OSSなので)無料、ミッションクリティカル(≒超重要)なシステム監視向けにもしっかりした有償サポートもあるZABBIXが注目され始めている、というわけです。
バグや何らかの障害があった際の拠り所となる保守費ですが、ZABBIXの場合は前述した大手製品の数分の一で済むはずです。
大手製品の保守費が1千万ならZABBIXなら数百万台でサポートを受けられると思われますので、感覚的には費用が最大一桁ほど安くなる感じでしょうか。
『OSSってタダでしょ?そんなソフトウェアが本当にミッションクリティカルなシステムの監視に使えるの?』
という声も多数あります。
それでもZABBIXは世の中に受け入れられつつあります。
海外では銀行系のシステム監視に大規模導入されている事例もあるそうですし、日本の大企業の中でも安価な保守費のメリットを享受するため『ZABBIXを試してみようか』という気運が高まっています。
事実、自分の業務管轄下でもZABBIX関連の引き合いが非常に増えておりまして、OSSの盛り上がりを肌で実感している所です。
今日のZABBIX2.2の勉強会でも、参加者が各企業の枠を超えて新機能の調査/検証結果を発表したり、質問で更なる深堀り、気になる点や改善点の意見交換などが行われ、活発なコミュニティになりつつあると感じました。
と言う事で、私自身(なんとなく…爆)OSSのコミュニティ的なものに参加しちゃってるわけですが... A^^;;
少し前はLinux、MySQLなどのメジャーなOSS製品の盛り上がりがありましたが、その頃の自分は大手メーカ製ソフトウェアを利用したシステム設計/構築を担当するSEだったので、OSS黎明期の盛り上がりを経験出来ずじまいでした。
今、ZABBIXを切り口としてOSS製品の盛り上がりの最中に居られるのが楽しかったりします。
一般的な製造業では、製品を無料で公開し利用してもらうなんていうビジネス形態は考えられないと思います。
『タダほど高いものはない』という言葉もあるくらいですし。
個人的にも、無料の製品が生む経済効果ってヤツを今一つ信じ切れてなかったりします。
この利用無料という文化、パソコンでは昔から便利なフリーソフトの形を通して沢山ありました。
皆さんお使いであろう圧縮解凍ツールLHA(Lhaplus)を始め、WEBブラウザも無料が当たり前だし、細かいことを言わなければパソコンで行う作業の大概の作業はフリーソフトで出来ちゃうはずです。
この無料で他者が作成したソフトウェアを利用するという流れが、ビジネスで利用される企業システムにまで波及している。
スレンダー的には、自分がOSSを使ってお客様のシステムを作るというお仕事をする立場になって、今更ですが(汗)…この事をとってもセンセーショナルな事だと思うわけです。
『OSSの存在は知っていてコスト効果も分かるけど、構築や運用のノウハウがない』というお客様が実に多い、そこに私たちSIerの生きる道、稼ぐ道があったりするのですが、こんな稼ぎ方がいつまで出来るかといわれると疑問です。これって、これまでのベンダー製ソフトウェアがOSSに変わっただけでパラダイムシフト出来てるとはとても言えない…今のうち新たな生きる道を考えないといけない我々(システム構築屋さん)だったりします。
おっと、横道にそれてしまった…閑話休題。
OSSの黎明期、OSSの開発に携わっていた技術者の多くがボランティアに近い形での参画だったはず。
そして、思い思いに必要な機能を追加したり、バグフィックスしていくことで、ソフトウェアベンダーが作り出すソフトウェア製品となんら遜色ない製品が誕生し始めます。
企業システムでは、ソフトウェア製品に対して『誰かが責任を持つ』という形になっていないと、どんなに良いモノであっても採用することが困難です。
一般的には、ベンダーソフトウェア(OracleとかJP1とか)はソフトウェアベンダーが品質責任を持っています。アプリケーションなら開発したSIerもしくは自社の開発部隊でしょうか。
先進的な企業では人柱的にOSSを採用し様々な構築/運用ノウハウが蓄積していきました。
その様な積み重ねによりOSSの有用性が証明され、ソフトウェアベンダーもビジネスの種としてOSSのコミュニティに参加するようになって、OSSであってもきちんと設計/構築、そしてサポート出来る土壌が出来上がってきた事が、昨今のOSSの盛り上がりの一つの要因なのだろうと考えます。
この様にソフトウェアベンダーが参画してのOSS導入が一般的になってきた昨今、OSSのあり方も黎明期とはだいぶ変わってきていると思います。
例えば、MySQLが現在Oracle社に取り込まれているといううのも一つの例だと思います。
Oracle社による閉鎖的な空気?とでも言いましょうか、誤解を恐れず言えばMySQL潰しに映る、そんな空気を嫌ってか、各LinuxディストリビュータはMySQL互換の「MariaDB」への移行が始まってるようです。
次回は『OSSって本当にビジネスになるのかな?』という点について自分なりに考察してみたいと思います。
…って次回あるんかい?!
みんカラでは100%需要無いネタだなぁ(爆)