
前回べスパについて書いたのはもう1年くらい前のことだった。
あれからしばらくして、暖かくなってきた頃には震災やらあって、そのうち梅雨が過ぎて夏になり、久しぶりに引っ張り出してみた。エンジンを掛けるのにキックが多いのは、単にプラグが汚れていただけのようで、長く乗ってなかったために混合のオイルがタンク下にたまり、それが悪さをしているのではないか、という感じで、プラグを清掃してみれば、一発で掛かるようになった。
ところが走り始めて、ブレーキを踏むとエンジンが止まる現象が起こるようになった。というか、1回や2回でなく毎回。ここで6Vの昔のべスパについて御存じの方は、「あぁ、アレか」とピンと来るのであろうが、6Vべスパに乗ってちょうど20年になる私は、長い間にそんな話はどこかに置いてきてしまったようで、すっかり原因が分からず、そのままホロを被っていた。
そうこうしているうちに、止めている自宅駐車場の床にオイルの混ざったガソリンがジャジャ漏れになっていた。これも旧式べスパにはよくある症状で、だから駐車する場合には、ガソリンコックをC(Close)にしておかねばならないのである。そんなことも20年前にはよく知っていた話だったのに、日常的に乗らないと忘れてしまうものなのだ。
さて、そんなことなので、私はまずキャブをバラして清掃しないといけないと思っていた。が、これまた思っていただけで数カ月が過ぎていた今年の初めのこと。たまたま会社で久しぶりに会った同僚と話していると、「キャブなら簡単にできるよ」というので、再び気分が盛り上がり、自宅に近々来てみてもらう約束にして、私はついに半年ぶりにべスパをガレージから引っ張り出した。
幸いなことにボディは錆もほとんど出ておらず、見た目的には何の変化もなかった。
ジャジャ漏れになってから慌てて(遅ればせながら)CloseにしておいたコックをOpenの位置にして、やはりプラグを気休め程度に拭いてからキックしてみると、すぐにエンジンは掛かった!「何だ、ジャジャ漏れになって乗れないのかと思っていたら、全然動くじゃん!」と思い、次に前から分かっていた左リアのウインカーの球切れを調べることにした。
外してみると、クルマの室内球のようなものが入っている。台湾仕様だけの、変わったウインカーだが、玉は12V10W。さすがは台湾仕様、こんな70年代の車両でも12V化されているのか、と思いつつ、近所のバイク屋に「クルマで」行った。そこのバイク屋は普通のヤマハのショップだったが、べスパを診たこともあるといい、奥からいろいろ箱を引っ張り出してくれて、玉を探してくれた。しかし、「こんなクルマの室内球みたいなのは、バイクには通常使わない」とのことで、やはり見つからなかった。
私はその足でオートバックスへ行った。すると、やや大きさが違う(長さが若干長い)ようだが、その玉は「やはり」「クルマの室内球として」見つかった。何はともあれ、よかった。早速家に戻って玉を交換。エンジンを掛けて家の周りをテストドライブ。しかし先の「ブレーキを掛けるとエンジンが止まる」症状は直ってなかった。
ここで原因が分からず、メゲそうになったが家に一旦入ってネットで調べてみることにした。「ブレーキを掛けるとエンジンが止まる」で検索。すると・・・一発でヒット!その原因とは「リアブレーキの玉が切れていると、リアブレーキを掛けるとエンジンが止まる」というものだった。
私は愕然とした。なぜなら、先のガソリンコックの話と同様、その話は6Vのべスパではよく知られた話で、事実20年前の大学生の時代にべスパを足にしていたころには、私自身リアのブレーキランプの玉を「予備」として常に持ち歩いていたからだ。20年間途切れることなくべスパを所有しておきながら、何てことなのだろう。
翌日、私は改めてオートバックスへ行き、今度は切れていたリアブレーキの玉を買いに行った。
不思議だったのは、ウインカーは12Vの「正しい」台湾仕様だったのに、ブレーキランプは6Vだったこたことだ。「ひょっとして12Vであるべき玉が6Vなんか入っているから、切れてしまったのではないか」と思い、念のため「元と同じ」6Vと12Vと両方の玉を買い求めて帰ることにした。どっちにしたって玉の値段など二百円程度である。もしどちらか一方だけで間違いだった場合、また「クルマで」パーツを求めて行かないといけないことになり、それではまた半年くらいホッタラカシになってしまうかも、という危惧もあった。
帰って早速玉を取り替える。というか、ネットで原因を発見して初めて「自分のべスパのリアブレーキの玉が切れているかも」と思ったくらいで、ウインカーが切れているのは気が付いていたが、リアブレーキまで切れているとは思いもしなかった。このことを捉まえて、「べスパというのは、(重要保安部品である)リアブレーキの玉が切れると、ブレーキを踏んだらエンジンも止まって教えてくれる」という説もあるようだが、これは間違いらしい。
で、まず試したのは「正しい」台湾仕様の12Vの方である。玉を変えて、エンジンを掛け、家の周りを一周してみる。しかしダメだった。やはり「リアブレーキを掛けるとエンジンが止まる」のである。ちなみにべスパは前ブレーキはブレーキランプとは連動していない。なのでエンジンが止まるのは、リアブレーキと連動する、床踏み式のリアブレーキだけだ。
仕方がない、念のため買っておいた6Vの玉のほうに変えてみた。すると・・・今度は止まらない。どうしたことだろう?しかし、これで念願叶って?またべスパを乗りまわせるようになった。成人の日のかかった3連休でもあったので、家の周りの近場だけだが、後ろに子供を載せて、チョロチョロ走り回った。もちろんジャジャ漏れして減っていたガソリンも足したし、同じく長期置いておくと減ってしまうタイヤの空気圧も適正にしておいた。
ネットで見つけた「なぜ玉が切れるとエンジンが止まるのか」だが、もともと設計が古いべスパの場合、6V仕様であるばかりでなく、ブレーキランプの設定がなかったため、その電源系統を直接プラグ行きの系統から取ってあるらしい。だから、玉が切れてブレーキを踏むとエンジンが止まる、というのである。しかし私にはまだなぜなのか?だ。だったら、玉が切れた時点でもエンジンがかかるのは不思議ではないか。(←この疑問には何と中学生の私の息子が予測ながら正しい答えを教えてくれた。何とも情けない。答えは、「リアブレーキがスイッチになって、エンジン行きの電源系統をリアブレーキ側に切り替えている」だった。だから球切れしていると、ブレーキを踏むと「閉じた」系にならず、エンジンも止まってしまうのだ)
何はともあれ、「普通に」乗れるようになった私の150スプリント。この「追い風」に乗じて、前から気になっていた部分のプチレストアをすることにして、部品をネットから注文した。
Posted at 2012/01/15 21:57:48 | |
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べスパ150スプリント | 日記