森の隈のブログ一覧

50年前、私は工業高校の機械科に進学した。

同級生に専業農家の大久保がいた。

農家なのに、なんで機械科に入ったの。農業高校のほうが良かったのでは。
と聞いたことがあった。大した意味はなく、なんとなく。

彼の答えは、

米の作り方は、農協が教えてくれる。
肥料も農薬も、農業機械も農協経由じゃないと買えない。

専業農家は、田んぼを広げて機械化しないとやっていけないが、泥の中で動かす農業機械は、メンテナンスが欠かせない。
農協は、メンテナンスも受付するが、その費用は高額なため、農家の利益を圧迫する。
大久保の親父さんは、独学でメンテナンスを覚えようとしたが、エンジンまではできなかった。

同級生の大久保は、高校卒業後、カーディラーの整備に就職し、エンジン関連の整備も覚え、農業機械のメンテナンスすべてができるようになりたい。
と、説明してくれた。

この後、年間の農薬代がいくら、農業機械のローンがいくら、と農協に支払う金額を並べ立て、米の売上金額が一千何百万円で、差し引き年間400万円が手元に残る。
爺さん親父お袋そして俺も働いて、この金額は安すぎると言っていた。

サラリーマンの子供として、のほほんと生きてきた15歳の私には、衝撃だった。
同じ年の奴が、人生の将来計画を立て、実行していることに。
そして、実家の経営状態を把握していることに。
帰って、親父の年収を聞いてさらに驚くことになる。少なくて(泣き

そして、６月生まれだった彼は、16歳になると中古のCB50を買い。
18歳になるとCB250セル付きを買い。
卒業後、日産のディーラーに整備で就職すると、ケンメリ2000GTXにローレル用の
L26を載せて、ツインの大口径キャブレターを付けて、推定150馬力は出ているはず、と自慢していた。

伊賀屋駅を使っていた大久保。今はどうしているかな。