
図は、HVバッテリのレベル2~8と、HVバッテリ蓄電量SOC(%)との関係を示しています。
SOC値を知るには専用のTNPメータが必要です。
本講座では、TNP専用メータによるマニアックな数値解説をするつもりはなかったのですが、THSII の制御がSOC値をもとに行われていることから、各バッテリレベルがどのあたりのSOC値を示しているのかを知っておくことは無駄ではないだろう、ということで取り上げてみました。
初期の講座に書いたように、バッテリレベルをBLと略します。
ナビ画面をメニューボタンで「情報」→「エコ情報」→「エネルギー」に設定すると、エネルギーモニタが表示されます。バッテリ蓄電量はBL1~BL8の8段階で表示されます。
下図はBL2(2コマに色がついている状態)です。
このときのTNPメータ(プリウス30型オーナであるなおゆきさん開発の
SuperMID C-1)の表示を示します。
今回、新たに登場する言葉 「SOC」 は、State of Charge の略語で、HVバッテリの蓄電量を % で示しています。
※SOCの表示分解能は0.4%(0.3%のときもある)です。
さて、冒頭の図に戻って説明します。
一番左の列のBL欄の数字はバッテリレベルのことです。
真ん中の列(up)と右の列(down) の数字はSOC(%)の閾値(しきいち)を示しています。
説明するのが難しいのですが、BLがアップしていくときと、BLがダウンしていくときのSOC値が違うことを示しています。
アップする場合の例
現在BL3のとき、SOCが50.8%にアップするとBL4に変化します。
現在BL4のとき、SOCが54.0%にアップするとBL5に変化します。
ダウンする場合の例
現在BL4のとき、SOCが48.6%にダウンするとBL3に変化します。
現在BL3のとき、SOCが45.0%にダウンするとBL2に変化します。
このように、BLがアップする場合とダウンする場合でSOCの値が異なります。
(ヒステリシスがあるといいます)
BL3の範囲は
BLアップ時は 47.0% ≦ BL3 < 50.8%
BLダウン時は 45.0% < BL3 ≦ 48.6%
BL4の範囲は
BLアップ時は 50.8% ≦ BL4 < 54.0%
BLダウン時は 48.6% < BL4 ≦ 51.6%
※不等号に注意
BL4の取りうる範囲はアップダウン双方向を考えると 48.6% < BL4 < 54.0% となります。
SOC(またはBL)に応じてCT200hのハイブリッドシステムがどのように制御されているか、特徴的なところのみ簡単にリストアップしてみました。
1)SOCは40%~80%の範囲を外れないように制御されている
79.5%(?)にアップすると満充電対策として放電制御が、
39.5%にダウンすると、強制充電制御が行われます。
2)強制充電は39.5%→50.0%まで
強制充電(エンジン回転による充電モード)は、SOCが39.5%に
落ちたとたんに開始され、50.0%に蓄電量が回復するまで続きます。
一度パワーオフしてしまうと強制充電モードから抜けることができます。
3)エンジン走行時の充電電流は低BLほど大きい
中BLでは少なく、
高BLでは逆にモーターアシストが入りやすくなります。
BL2では20A前後、BL3では10Aちょっとの充電電流が期待できますが、
BL4では10A以下、BL5以上では充電電流はあまり得られません。
(備考)
HSI 20%のモーター等速走行ではモーター電流は10A程度の
ことが多いです。平地走行時の充放電バランスのとり方は別途
まとめる予定です。
4)中低速での低BL走行のメリット
平地の中低速道路でエコ運転(モーター多用)に徹すると
BL2~BL3あたりで制御されることが多いです。
低BLで走行するとエンジン走行時の充電負荷が大きく燃費が
悪化しますが、充電量が多いのでその分モーター走行距離を
伸ばすことができ、結果、トータル燃費を上げやすくなります。
5)長い下り坂を走行すると満充電になる
BL8の上の方(SOC79.5%)に達すると満充電対策として
放電制御が行われます。回生ブレーキによる充電は行われなくなり
モーター走行がメインになるだけでなく、バッテリでエンジンを
回し続ける状態が続きます。
6)EVモードはSOC50%以上でオン可能、45%未満で強制解除
車庫での車入れ替えなどのチョイ移動ではEVモードが役立ちます。
起動直後にEVモードをオンにすることで暖機発生を抑えることが
できるからです(暖機開始後はEVモードに入りません)。
SOC50%がEVモードオンの境目ですが、BL3でOKなこともあるし、
BL4でもNGのことがあります。
(BL4の取りうる値は 48.6% < BL4 < 54.0% だから)
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