第2話 脱獄

今日は不調で思考回路がまるで働かなかった。
仕事も上手くいかず、自暴自棄になりかけていたので、気分転換にドライブ…
と言うわけにもいかない。
さすがにガソリンジャンキーなワタクシでも今は我慢。
なので、久々に405の運転席に座った。
暫くしてエンジン音が聞きたくなりキーを捻った。
期待はむなしくも空振りに終わり、悲しい気持ちに支配される。
潰れたフロント周り、ヘッドライトのガラスは割れてしまっているのに球が生きているのかイエローの光が虚しく灯っている。
その光を呆然と眺めていると、何故だか頑張らなくてはいけないと言う気持ちが湧いてきた。
初めて出会ったあの日、確かに聞いたエンジンの声。
まだ走れる!
もうちょっと、あとちょっと 、微力ながら頑張ってみよう。
自分に出来ることは働いて給料を貰うことだ。
さぁ、明日からまた頑張ろう。