アバルト プント

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何の役にも立たない偏狭なクルマ評:アバルトプント - プント

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何の役にも立たない偏狭なクルマ評:アバルトプント

おすすめ度: 5

満足している点
デザインは、基本、ジウジアーロ。マイナーチェンジで一部変更されて残念なところはあるけれど、フォルムはいまだに何度見ても格好いい。ジウジアーロはもう引退してしまったので、彼がラインを引いたクルマに乗ることは貴重な体験だ。

その貴重なオリジナルフォルムにアバルトがオバフェンにしたり、エアロを付加したりしている。フロントフェンダーがオバフェンで盛り上がるところの処理などは、ぶつけた跡かとビックリされる。メーカー純正なのにカスタムの薫りも漂い、そこもまた麗しい。

そのデザインに、僕のようなヘタでもヘタなりに楽しめる足回り、そしてイタ車らしい元気なエンジン。日本の狭いワインディングでも走りやすいコンパクトなボディ。これ以上、何が必要だというのだろう。

この内容で、300万円を切る新車時のプライスタグはバーゲンすぎる。こんなにお買い得なクルマはもう出ないだろう。ウルトラ・ハイコストパフォーマンス。
この秋にも発売が予定されているアバルト124は、日本では500万円というウワサ。ざっくり、オリジナルの200万円高。それを考えると、アバプンは素のモデルで400万円前後でもおかしくはなかった。
不満な点


「あの装備が付いていない」「他のクルマにはこの機能が付いているのに」といった評を見ることがあるけれど、これだけキャラ立ちしたクルマだとそんなことは気にならない。
メインディッシュのステーキがうまければ、付け合わせの野菜がニンジンだろうがマッシュポテトだろうが、最悪付け合わせなんかなくても、どうでもよくなるのと同じ。

確かにヘッドライトはハロゲンだが、前車フォレスターのHIDよりは明るいので問題ない。サイドミラーの折りたたみは手動だが、それがどうした。手で動かせば良いだけのことだ。部品が減って、その分故障のリスクも減るというものだ。
総評
新車購入から3年経って、はじめての車検を迎えた。この機会に、これまでのインプレッション(贔屓の引き倒し?)をまとめてみた。

たぶん、いまさら「アバプン買おう」なんて殊勝な人は、「ラ フェラーリ買おう」という人よりも少ないんじゃないか。なのでこれを書いても、世の中には全く役には立たないと思う。

だけど、大好きなので、アバルトプント。よぼよぼのじじいになる前に、このクルマに乗ってアクセル踏めて、幸せだと思う。これがホントの“めっけもの”というものだ。
走行性能
無評価
昔、70年代のアルファロメオに乗っていた。とても良かった。
子育てが一段落したとき、もう一回アルファに乗りたいと思った。現行ジュリエッタが出ていたので試乗したが今ひとつピンとこなかった。

いろいろ乗ったあげく、選んだのがこれ。アバルト プント。
昔、僕が夢中になったイタリアン・コンパクトのスポルティングスピリットは、サソリのエンブレムに受け継がれていたらしい。

20世紀のアルファは良くも悪くも“伊達っこき”だった。
ちょっと速い程度のペースだったら、ウットリするほどのエンジンレスポンスと身のこなしを発揮する。実用的な速度域でのスポーツ性を重視した仕上げ。分かりやすいし取っつきやすい。誰とでもすぐに打ち解ける、陽気なイタリア人といった感じ。
だけど、ある程度以上のスピードになるとアゴを出す。追い込むとすぐにアンダーになるし、ツインカムなのに高回転が苦手だ。そういうところがとても伊達男っぽい。
とはいえ基本性能はしっかりしていたので、きちんとお金をかけてチューンすると、ビックリするくらい速くなる。

それに対して、21世紀に僕が手に入れたアバルトは最初っから、マジ。アクセルを開ければ開けるほど、コーナーでスピードを上げれば上げるほど、「もっと踏め」「もっと行け」とドライバーにせっつく。若い女に誘惑されて性欲の泥沼に嵌まるかのよう。まさにサソリの毒。

陽気で開放的なアルファに対して、エキセントリックでマニアックなアバルト。一見すると似ているようだが、よくよく乗ってみると方向性は全然違った。

乗り心地
無評価
プントのシャシーは、GMとフィアットが共同開発したガンマプラットフォーム。オペルからコルサ、アルファからはMitoが兄弟モデルとして出ている。
車重1.2トンで決して軽くはないが、その代わり屈強でミシリとも言わない。昔のアルファは、歩道の段差に乗り上げただけでミシミシ音を立てていた。
がっしりしたボディの恩恵で、オーディオの音がよく響く。ノーマルのサウンドシステムでも、中音が聞きやすい。3ドアで開口部が少ないということもあると思う。

ヨーロッパ車らしく、サスペンションのストロークはたっぷりある。ただし、車高を低く設定しているため、空車状態で縮み側のストロークはほとんど使ってしまっている。少しの凸ですぐにフルストロークしてボディを突き立てる。その刹那、堅いシャシー全体に鈍い音が走り人間にもそのショックが伝わる。でもそれだけでラインが乱れるようなことはない。堅いシャシーの恩恵だ。

その代わり、伸び側のストロークはありあまるほど。長野の山道でギャップに飛ばされたことがあった。一瞬、ボディが浮き、運転している人間も浮いた。が、それでもアシが怪物くんのごとく伸び、執拗に路面を捉えようとしていたのがわかった。ボディが不必要に煽られることもなく、そのためさほど怖くもなく、アクセルを緩めることもなかった。

ノーマルのサスペンションは、僕のような素人が奥多摩にあるような山道で走りやすいようにセッティングされている。どんなスピードでも公道であれば、しっかり安定してロールしてタイヤのグリップの状況がよく分かる。つまり、アクセルが開けやすい。
ただし、サーキットでは今ひとつ。どんなコーナーでもすぐにストロークを使い切ってしまう。電制のデフが働き、アクセルを開けても前に進まなくなる。アクセルを開けるまでの“待ち”が多くなる。

オプションでも設定されているコニに替えたら、車高が下がったこともあって重心が下がり、より安定した動きで振り回しやすくなった。これはこれで良いが、ただでさえ短い縮み側のストロークが限定されるようになり、街中では跳ね回るようになった。スタビリンクをノーマルからThreeHundred製に替えたら、動きがスムーズになり走りやすくなった。
積載性
無評価
大人4人がゆったり乗れる。ホイールベースが長いため、中速から高速のコーナーの気持ちいいこと。一般道であれば、自分が思うよりはるかかなたに限界があるので、早めにアクセルを開けても安心して豪快にコーナーをクリアできる。
タイヤをディレッツァZIIに、サスをコニに替えてから、限界がさらに上がりもはや迷宮状態。クルマとの対話感が薄くなったというか。このまま行くと不意に事故りそうと、不安になってきた。なので、タイヤはミシュランにPS4に“グレードダウン”。自分のレベルに合ったタイヤで、もう一回、きちんとした走り方を勉強し直そうと思う。

ESCなどの電制は律儀なくらいに効く。ただ、発動するときのタイミングと、ドライバーがアクセルを開けたりするリズムと合わず、コーナーの途中でちぐはぐな挙動になってしまう。要は慣れない。今のところ、ESCはサーキットでしか発動させたことはないので大事には至ってない。アンチスキッドとか電制デフは、街中でもしょっちゅう効いてくれる。強めのブレーキをかけるとハザードが点滅する機能は、人目のあるところで作動させてしまうとちょっと気恥ずかしい。

燃費
無評価
ハッキリとしたエンジンのキャラクターがこのクルマの大きな魅力。「もっと開けろ」とせき立てる、昔ながらのフィアットエンジン。ノーマルでもスポーツモードでも基本的に同じ。スポーツモードで不整路面だと、どこに飛んで行くか分からないじゃじゃ馬な性格があり、そこにアクセルの“開け甲斐”を感じる。

その際の音も素敵。内燃機関の中で、いかにもパワーが生み出されているという音。機械なのに生命の営みの音がする。必要以上にアクセルを開け、その息吹を解き放ちたくなる。
考えてみれば、排気系はマルミッタ・アバルト。本物だ。感動しないわけがない。

基本、最近のターボらしく中低速からモリモリとトルクが出てくるタイプ。高回転は得意じゃないと思っていたけれど、エンジンが馴染んできたり、ThreeHundredのECUのおかげもあるのか、レッドゾーンまできっちりと回した方が速い。実際、そうして走る方がサーキットでもタイムが上がった。

とはいえやはりターボなので、低速のレスポンスは悪い。街中で細かく回転を合わせたい時などは不満を感じる。この点は昔のNAアルファが圧倒的に素晴らしかった。バンバンと軽くシフトダウンしながら交差点を左折して立ち上がるだけでもスポーツを感じた。

このエンジンにも、サソリ秘伝のワザがいろいろ効いているらしい。硬めのオイルに、プラグは9番、その他いろいろ。街中ばかり低回転で走っている個体は、プラグかぶりを起こすらしい。なので、エンジンを止めるときは空ぶかしをした方が良いかも、とディーラーから教えられた。おいおい、70年代のキャブのクルマじゃあるまいし。こんな“古風”なところも、サソリのエンブレムにふさわしいとさえ思ってしまう。病膏肓に入る、とはまさにこのことだ。

燃費はサーキットで瞬間燃費計で見る限り、3〜4km/Lといったところ。ターボの割にはけっこう走ると思う。
故障経験
「イタ車って、壊れない?」とよく聞かれる。でも、これは次の2点で間違っている。

まず1点目は、壊れないクルマはない、ということだ。病気になりにくい人はいるけど、死なない人がいないのと同じで、壊れにくいクルマは作れても、壊れないクルマはトヨタにだって作れない。

そして2点目は、そんなに壊れやすいクルマを作っていたら、いまの時代、市場からさっさと退場させられる。つまり、会社がつぶれる。フィアットもドン・コルレオーネのように、イタリアからアメリカに進出するほどのビッグカンパニーに成長した。そうそう壊れるクルマをのんびりと作っていていいわけはないだろう。

しかも、ボンネットを開けると「Bosch」のマークがあちこちに見られる。ドイツと共同開発のシャシーでも分かるように、今どき生粋の「イタ車」なんてない。生粋のドイツ車ならあるのかもしれないけど。

そもそも「故障」というのはうちの場合、「出先から戻れなくなる」ということなので、それからすると以前、東名御殿場でアルファのウォポンがブローして以来、「クルマの故障」というのは経験していない。

この3月、富士の耐久レースにお誘いを受けてプントで走ることになった。ブレーキなど基本的な部分をメンテナンスしているだけのクルマで、しかも当日はウェットだったので何回かコースアウトしたけれど、ノートラブルで1スティント50分を走りきった。いきなりサーキットを長時間走っても壊れない。そういうシーンで信頼性に関するこのクルマのポテンシャルはすこぶる高いといえる。

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